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「あきちゃんの不動産お役立ちコラム」の記事一覧(112件)

不動産暦50年のあきちゃんが神戸市北区の皆様に不動産に関するお役立ち情報をお届けします。

実際にあった相談事例をお話しします
カテゴリ:あきちゃんの不動産お役立ち情報  / 投稿日付:2026/07/22 07:18

こんにちは。神戸市北区で50年、不動産屋をやっております田中章雄、通称あきちゃんです。

今日は、いつもの「こうしなさい」という話ではなく、私が実際にこの店で受けてきた相談事例を、そのままお話ししようと思います。数字も状況も、ほとんど手を加えていません。

実際

50年もこの仕事をやっていますと、ありとあらゆる相談が持ち込まれます。嬉しい相談もあれば、聞いていて胸が痛くなる相談もあります。

うまくいった話ばかり並べても、皆さんの役には立ちません。だから今日は、失敗した話も、私が力になれなかった話も、正直に入れます。

ここで一歩、立ち止まってください。

これから出てくる方々は、決して特別な人ではありません。北区のどこにでもいる、普通のご家族です。だからこそ、明日は我が身だと思って読んでいただきたいのです。


結論から申し上げます


相談に来られる時期が、早いか遅いか。私が50年見てきて、お客さんの手取りを一番左右したのは、これでした。

物件の良し悪しでも、業者の腕でもありません。「もう少し早く来てくれていたら」と、私が何度唇を噛んだか分かりません。

はっきり申し上げます。不動産の相談は、困ってからでは遅いことが多いのです。今日の事例を読んで、その意味を感じ取っていただければと思います。


1. 「査定額が高い会社に任せた」Aさんの話


まず、藤原台のAさん(当時65歳)の話をします。奥様を亡くされ、お一人になった一戸建てを売って、駅前のマンションに移りたいという相談でした。

Aさんは私のところにも来られましたが、他に2社にも査定を頼んでいました。私が出した査定は「2,600万円」。ところが別の会社は「3,100万円」と出してきた。

Aさんは迷わず、高いほうの会社に任せました。当然です。500万円も違えば、誰だってそちらを選びます。私は「その値段では、たぶん売れませんよ」と一言だけ伝えました。

半年後、Aさんがまた店に来られました。家は、まだ売れていませんでした。3,100万円で出したものの問い合わせすら来ず、そのころには「2,700万円」まで下げていた。それでも売れない。買い手からは「ずっと売れ残っている家」という目で見られていました。

これは断言できます。最初に高い値段をつけて売れ残った家ほど、あとで安くなります。最初から適正な値段で出していれば、Aさんの家は2,600万円前後ですっと売れていたはずでした。結局この家が売れたのは、さらに半年後。値段は「2,400万円」でした。


2. 「兄弟で揉めたくないから」と何もしなかったBさんの話


次は、少し重い話をします。北区のBさん(当時70歳)ご兄弟の話です。お父様が残されたのは、有馬に近い実家が一軒。評価額で「2,800万円」ほどでした。

3人兄弟で、皆さん仲は良かった。だから「揉めたくないから、今は何も決めないでおこう」ということになった。

50年やってきて分かったことがあります。「仲がいいから大丈夫」というご家族ほど、後で揉めます。なぜか。仲がいいから、誰も嫌われ役になって「こうしよう」と言い出せないのです。

その間も、空き家の固定資産税は毎年「10万円」かかり続けました。誰も住まない家は傷むのも早く、雨漏りが始まり、庭は荒れ放題になりました。

5年経ちました。長男さんが体を悪くされ、「もう現金にして分けたい」と言い出した。ところが今度は、次男さんの奥様が「あの家には思い出がある」と反対された。家族だけの話が、家族の外まで広がってしまった。ここまで来ると、私のような不動産屋にはもう手が出せません。

最終的にこの家が売れたのは、私が相談を受けてから7年後。値段は「1,900万円」まで下がっていました。払い続けた固定資産税と合わせれば、1,000万円近くを失った計算になります。はっきり申し上げます。この損は、お金を惜しんだから出たのではありません。「話し合いを後回しにした」から出た損です。


3. 「早く動いたおかげで救われた」Cさんの話


暗い話ばかりでは申し訳ないので、うまくいった話もします。岡場のCさん(当時68歳)の話です。Cさんは、まだお母様がお元気なうちに相談に来られました。

「母が施設に入ることになりそうだ。実家をどうすればいいか、今のうちに考えておきたい」

これが、一番いい相談の来かたです。困ってからではなく、困る前に来られた。私はCさんに、慌てて売る必要はないこと、ただしお母様がご存命で意思がはっきりしているうちに、家族で方針だけは決めておくことをお勧めしました。

Cさんは、ご兄弟とお母様を交えて一度きちんと話をされました。「母が施設に入って空き家になったら、無理のない値段で売って、施設の費用に充てる」。これだけ決めておいた。

一年後、お母様が施設に入られ、家は空き家になりました。方針が決まっていたので、Cさんご兄弟は迷いませんでした。私はすぐに「2,500万円」で売り出し、大きく値引きすることもなく「2,450万円」で決まりました。

同じ北区の、同じような築年数の家です。それでもBさんとCさんで、これだけ結果が変わりました。差は、たった一つ。動いた時期だけです。


4. 業界の裏側を、この事例から申し上げます


ここで、業界の裏の話をします。なぜ、最初に高い査定を出す会社があるのか。Aさんのケースがまさにそれです。

高い値段を言えば、売主は喜んで契約してくれます。専任媒介という、その会社だけが売る契約を取れる。あとは時間をかけて、じわじわ値下げをお願いしていけばいい。売れなくても、業者はほとんど困りません。困るのは、売れ残った家を抱えた売主だけです。

これを私は「高預かり」と呼んでいます。高く預かって、あとで下げる。50年見てきて、一番売主を損させてきた手口です。

もう一つ。空き家を放置したBさんのようなご家族に、あえて何も言わない業者もいます。傷んで安くなった家を、あとから買取業者が安く仕入れる。誰かの後回しは、必ずどこかで誰かの儲けになっているのです。


5. デメリットも正直に申し上げます


ここまで「早く動きなさい」と申し上げてきましたが、正直にマイナス面も書きます。早く動くことにも、しんどさはあります。

親御さんがご存命のうちに家の話をするのは、気が引けるものです。「縁起でもない」「財産を狙っていると思われないか」。そう感じて、切り出せないお気持ちはよく分かります。Cさんも、最初は「母にどう切り出せばいいか」と、ずいぶん悩んでおられました。

それでも、と私は思います。気まずさを避けて後回しにした結果が、Bさんの7年です。少しの気まずさと、1,000万円の損。どちらを取るかという話です。

もう一つ、正直に申し上げます。早く相談に来られても、私が救えないこともあります。相場そのものが下がっていく地域では、どんなに早く動いても、値段の下落は止められません。不動産屋は魔法使いではありません。


まとめ


今日は、私が実際に受けてきた相談を、そのままお話ししました。

  • Aさんは、高い査定に釣られて、かえって安く売りました
  • Bさんは、後回しにして、7年で1,000万円近くを失いました
  • Cさんは、困る前に動いて、きれいに売り切りました

3人の差は、財産の多さでも、運でもありません。相談に来られた時期と、決断の早さ。それだけでした。

これは断言できます。不動産で得をする人と損をする人を分けるのは、頭の良さでも、お金の多さでもありません。「早めに、正直な人に相談したかどうか」です。


最後に、これだけは申し上げたい


今日出てきた方々は、どこにでもいる普通のご家族です。あなたのご家庭と、何も変わりません。

もし今、頭のどこかに「そのうち考えないといけないな」と引っかかっている家があるなら、それが動きどきです。売る売らないを決める前で構いません。「うちの場合はどうなるか」を、一度聞きに来てください。

売るための相談ではなく、損をしないための相談として、いつでもお待ちしています。

センチュリー21・ハートピア
田中章雄

50年見てきた相続のリアル
カテゴリ:あきちゃんの不動産お役立ち情報  / 投稿日付:2026/07/21 10:32

こんにちは。神戸市北区で50年、不動産屋をやっております田中章雄、通称あきちゃんです。

今日は、私が50年この仕事をやってきて、一番たくさん立ち会ってきた場面についてお話しします。相続です。

50年相続

家を買う人、売る人、いろんなお客さんと付き合ってきましたが、一番多かったのは、やっぱり親御さんが亡くなったあとの実家をどうするか、という相談でした。

ここで一歩、立ち止まってください。相続というのは、法律の話でもなければ、税金の話が中心でもありません。私が50年見てきたのは、もっと生々しい、家族の話でした。

結論から申し上げます


相続でもめる家族と、もめない家族の差は、財産の多さではありません。

「早く動いたか、後回しにしたか」。これだけです。

はっきり申し上げます。何千万の財産があってもきれいにまとまる家族はまとまりますし、実家一軒しかなくてもバラバラになる家族はバラバラになります。50年やってきて、それだけは断言できます


1. 「うちは仲がいいから大丈夫」が一番危ない


一番多い失敗パターンから申し上げます。生前、ご兄弟の仲がとても良かった。だから何も決めずに親御さんが亡くなった。そういうご家庭ほど、あとでもめます。

神戸市北区のAさんとBさん、ご兄弟の話をします。お父さんが残したのは、北区の実家一軒だけ。評価額でだいたい2,400万円ほどの家でした。お二人とも「仲がいいから話し合えばすぐ決まる」と思っていた。

ところが、いざ売る段になって食い違いが出ました。お兄さんは「早く売って現金で半分ずつ分けたい」。弟さんは「思い出のある家だから、もう少し置いておきたい」。どちらも間違っていません。だからこそ、決着がつかない。

その間、誰も住まない家の固定資産税は毎年12万円かかり続けます。庭は荒れ、雨漏りが始まり、家の価値はどんどん下がっていきました。3年後、ようやく売れたときの値段は1,800万円。600万円下がっていました。


2. 相続した家は「早く売る」だけが正解ではない


今、逆のことを言うようですが、これも本音です。「相続したらとにかく早く売れ」という業者がいます。私は、そう単純ではないと思っています。

なぜなら、相続した家の売却には「税金の期限」というものが絡むからです。亡くなった方が一人で住んでいた実家を、相続した人が売る場合、一定の条件を満たせば3,000万円まで税金がかからない特例があります。これを使えるかどうかで、手取りが数百万円変わることもあります。

ただし、この特例には期限があります。おおまかに言うと、亡くなった年から数えて数年以内に売らないと使えなくなる。ここが、業界が意外と丁寧に教えてくれないところです。

「早く売れ」と急かす業者は多いのに、「なぜ早く売ったほうがいいのか」「いつまでに売れば税金が有利なのか」を、数字できちんと説明してくれる業者は少ない。これは覚えておいてください。急がされる理由と、あなたが本当に急ぐべき理由は、別物です。


3. 「とりあえず名義はそのまま」が一番あとで泣く


もう一つ、50年で山ほど見てきた失敗があります。親御さんが亡くなったあと、名義変更をしないまま放置する。「今は住む予定もないし、面倒だから、名義はお父さんのままでいいか」。これが、10年後、20年後に地獄を生みます。

実際にあった話です。北区のCさん(当時70歳)が、私のところに相談に来られました。お母さまの実家を売りたい、と。ところが調べてみると、その家の名義は、亡くなったお母さまのそのまた父親、つまりCさんのおじいさんのままでした。50年近く、名義がそのままだったのです。

こうなると、おじいさんの相続人が全員関わってきます。すでに亡くなっている方も多く、その子や孫まで相続の権利を持っている。全部で11人の同意が必要でした。

会ったこともない親戚に頭を下げて、実印をもらって回る。中には「ハンコ代をよこせ」と言う人もいる。Cさんは、家を売るだけのために、一年以上を費やしました。名義変更というのは、面倒でも、その代の人が元気なうちにやっておくものです。これは断言できます。


4. 相続で本当にもめるのは「お金」より「気持ち」


ここが、税理士さんや弁護士さんとは違う、私たち現場の人間だから見えることかもしれません。相続でもめるとき、表向きの理由はお金です。「取り分が不公平だ」と。けれど本音を聞いていくと、たいていお金の裏に別のものがあります。

  • 自分だけが親の介護をした
  • 兄さんは家を出て何もしなかった
  • 妹ばかり可愛がられた

こういう長年の気持ちが、相続をきっかけに一気に噴き出す。家という財産は、それを表に出す引き金になりやすいのです。

だから私は、相続の相談を受けたとき、いきなり「いくらで売れます」とは言いません。まず、ご家族がどういう気持ちでこの家と向き合っているのかを聞きます。家の値段より先に、家族の気持ちを整理する。遠回りに見えて、これが一番もめない道でした。


業界の裏側も、正直に申し上げます


相続がからむ売却は、実は不動産業者にとって「おいしい仕事」です。売主が複数いて、みんな不動産に詳しくない。急いでいる。土地勘もない。こういう状況は、業者からすると、値段を安めに誘導しやすい。

たとえば、相続人の代表者一人とだけ話を進めて、他の兄弟の目が届かないうちに「これくらいが相場です」と、相場より少し安い金額で話をまとめてしまう。買取業者に横流しして、両手で手数料を取る。そういう業者が、残念ながらいます。

だから相続の売却こそ、相続人全員が同じ情報を共有できる、信頼できる一社に頼むべきなのです。


デメリットも隠さず言います


正直に申し上げると、相続の相談は、私たちにとって手間のかかる仕事です。話し合いが長引くこともあれば、ご家族の間に入って気まずい思いをすることもある。すぐにお金にならないことも多い。

だから、相続案件をあまり歓迎しない業者もいます。「まとまってから来てください」と、突き放されることもあるでしょう。でも私は、まとまる前の、一番ぐちゃぐちゃな段階でこそ、相談してほしいと思っています。まとまってから来られても、もう手遅れなことが多いからです。


まとめ


もう一度申し上げます。相続でもめるかどうかは、財産の多さではありません。早く動いたか、後回しにしたかです。

親御さんがお元気なうちに、家をどうするか、名義はどうなっているか、一度でいいから家族で話しておく。それだけで、あとの何年分もの苦労が消えます。縁起でもない、と思わずに。それが、残される家族への一番の思いやりです。


最後に、これだけは申し上げたい


相続は、誰にとっても初めての経験です。分からなくて当たり前です。売る売らないを決める前で構いません。名義がどうなっているか分からない、という段階でも構いません。神戸市北区、西宮北部、三田で実家のことが気にかかっている方は、どうぞ一度、気軽にお声がけください。

50年、この街で家族の相続を見てきた人間として、あなたの側に立ってお話しします。

センチュリー21・ハートピア
田中章雄

不動産を子供に残すということ
カテゴリ:あきちゃんの不動産お役立ち情報  / 投稿日付:2026/07/19 10:10

こんにちは。神戸市北区で50年、不動産屋をやっております田中章雄、通称あきちゃんです。

今日は、少し重たい話をします。「この家は、子どもに残してやりたい」という、あの言葉についてです。

kodomo

私はこの言葉を、50年で何百回聞いたか分かりません。親御さんの気持ちとしては、これほど自然なものはないと思います。自分が一生かけて手に入れた家を、子どもに渡してやりたい。当たり前です。

ですが、その「残してやりたい」が、子どもさんにとって重荷になってしまった家を、私は数え切れないほど見てきました。

ここで一歩、立ち止まってください。今日の話は、いつかあなたのご家庭にも必ず関係してきます。


結論から申し上げます


不動産は、残せば喜ばれるものではありません。

残して喜ばれる不動産と、残されて困る不動産が、はっきり分かれます。そして、その分かれ目は「値段」ではありません。「売れるかどうか」です。

はっきり申し上げます。子どもさんが困るのは、価値の低い不動産ではありません。売ろうにも売れない不動産です。


1. 「残す」と「押しつける」は紙一重です


親御さんは「財産を残す」つもりでいます。ですが、子どもさんの側から見ると、相続した不動産は財産であると同時に、義務でもあります。

固定資産税がかかります。草が伸びれば近所から苦情が来ます。屋根が傷めば直さないといけません。空き家のまま置いておけば、10年で家は驚くほど傷みます。

神戸市北区で、築45年の一戸建てを相続された方がいらっしゃいました。ご長男のAさん(52)です。大阪にお住まいで、ご自身の持ち家がありました。実家に戻る予定はありません。

固定資産税は年9万円ほど。それだけ見れば、大した負担ではないように思えます。ですが、実際にAさんが払い続けたのは、それだけではありませんでした。

  • 年2回の草刈りに 4万円
  • 台風で飛んだ瓦の修理に 18万円
  • 火災保険が空き家扱いになり、掛金が上がって年 4万円
  • 月に一度、大阪から車で1時間半かけて見に来る時間

Aさんはこうおっしゃいました。「親父には感謝しています。でも、正直に言うと、この家は僕にとって毎月のしかかってくる宿題なんです」

これが、現実です。


2. 売れる家を残すか、売れない家を残すか


50年やってきて分かったことがあります。子どもさんが本当に助かるのは、「高い不動産」ではありません。「換金できる不動産」です。

たとえば、藤原台や岡場駅の徒歩圏にある家。これは残されても子どもさんは困りません。使わないなら売ればいい。買い手がいます。

一方で、私が「これは残さないほうがいい」と申し上げてきたのは、こういう不動産です。

  • 再建築ができない土地
  • 前面道路が狭く、車が入らない土地
  • 山を切り開いた造成地の奥のほう
  • 擁壁が古く、直すのに数百万かかる土地
  • 農地や山林で、市街化調整区域にあるもの
  • 共有名義になっている土地

こういうものは、価値がゼロなのではありません。売る手段が極端に少ないのです。

不動産で一番怖いのは、値段が安いことではありません。買い手がいないことです。値段が安いだけなら、安く売れば終わります。買い手がいなければ、永久に終わりません。


3. 一番多い失敗は「とりあえず全部残す」です


これは断言できます。相続で子どもさんが苦労するご家庭の大半は、親御さんが「何も決めずに」亡くなられたご家庭です。

悪気があるわけではありません。ただ、「まだ元気だから」「そのうち考える」と後回しにされているうちに、その日が来てしまうのです。

私が担当した中で、一番しんどかったケースをお話しします。三田市にお住まいだったBさん(享年86)のご家庭です。

Bさんが残されたのは、ご自宅と、若い頃に買われた山林、それから昔の同僚と共同で買った土地の持分でした。3つとも不動産です。現金はほとんどありませんでした。

お子さんは2人。長女のCさん(59)と、長男のDさん(56)です。

ご自宅は売れました。ここまでは順調でした。問題は山林と、共同名義の土地です。

山林は、買い手が見つかりませんでした。不動産屋に頼んでも「うちでは扱えません」と断られる。値段の問題ではなく、そもそも市場がないのです。

共同名義の土地は、もっと厄介でした。共同で買った同僚の方もすでに亡くなられていて、その相続人がどこにいるのか誰も知らない。全員の同意がなければ売れません。

結局、この2つは今も、CさんとDさんの名義のまま残っています。Cさんが私におっしゃった言葉を、今でも覚えています。

「父は良かれと思って残してくれたんでしょうけど、これ、私が死んだら子どもに同じことをさせるんですよね」

そのとおりなのです。売れない不動産は、世代を越えて引き継がれていきます。しかも、相続のたびに権利者が増えて、どんどん売りにくくなっていきます。


4. 業界の裏側を、正直にお話しします


不動産会社は、売れる不動産の相談には熱心です。当たり前です。売れれば仲介手数料が入るからです。

ですが、売れない不動産の相談には、本当に冷たい会社があります。「うちでは扱えません」で終わり。ひどいところは、電話にも出なくなります。

それだけならまだいいのですが、もっとよくないのはこういうやり方です。売れる不動産と売れない不動産をセットで持ち込まれたときに、売れるほうだけを先に売って、売れないほうは「また今度考えましょう」と放置する。

ご遺族からすれば、売れるほうが片付いたので、一件落着したような気になります。ですが、本当の問題は何も解決していません。

もう一つ、申し上げておきたいことがあります。近年、「不要な不動産を引き取ります」という業者が増えました。引き取り料として、こちらが数十万円から百万円単位のお金を払って、引き取ってもらう仕組みです。

これ自体は、選択肢として悪いものではありません。本当に処分の道がない不動産なら、お金を払ってでも縁を切るという判断は、ときに正しいです。

ですが、中には、実は普通に売れる不動産まで「これは価値がありませんね」と言って引き取り料を取り、その後で普通に転売している業者もあります。

引き取り業者に渡す前に、必ず一度、まともな不動産屋に「本当に売れないのか」を確認してください。これだけで、数十万円が守られることがあります。


5. デメリットも正直に書きます


ここまで読んで、「じゃあ、生きているうちに売ってしまえばいいのか」と思われたかもしれません。そう単純でもありません。正直にお話しします。

まず、親御さんが生きているうちに売ると、譲渡所得税がかかることがあります。相続してから売ったほうが、税金の面で有利になるケースがあるのです。

相続した空き家を売る場合の「3000万円の特別控除」という制度もあります。要件は細かいのですが、うまく当てはまれば、税負担が大きく変わります。

ですから、「早く売れば必ず正解」ではありません。ここは税理士さんに一度確認していただく必要があります。

それから、もっと大事なことがあります。家を売るというのは、親御さんにとって、住む場所を失うということです。

50年住んだ家です。庭に植えた木があります。柱に子どもの背丈の傷が刻んであります。「税金で得だから売りましょう」と、私は簡単には言えません。

私が申し上げたいのは、売れということではないのです。決めておいてくださいということです。


6. 親が元気なうちに、これだけはやってください


やることは、そう多くありません。

一つ目。持っている不動産を、全部書き出す。

自宅だけではありません。昔買った山林、田んぼ、共有の土地、遠方の別荘地。全部です。ご本人しか知らない不動産が、必ずと言っていいほど出てきます。

二つ目。それぞれについて、「売れるかどうか」を一度確認する。

査定して値段を出すという話ではありません。「これは買い手がいるのか、いないのか」を知るということです。ここが分かるだけで、打つ手が変わります。

三つ目。売れないものは、親御さんが元気なうちに手を打つ。

売れない不動産の処分は、時間がかかります。半年、一年かかることも珍しくありません。しかも、名義人ご本人が動けるうちのほうが、圧倒的にやりやすいのです。亡くなってから相続人が動こうとすると、書類の数が一気に増えます。

四つ目。誰に何を残すのかを、口に出して伝えておく。

遺言があるかどうかで、その後の10年が変わります。


まとめ


50年やってきて分かったことがあります。

子どもさんに本当に喜ばれるのは、大きな不動産ではありません。整理された不動産です。

売れるものは残していい。使ってもらえばいい。売りたければ売ってもらえばいい。売れないものは、親御さんの代で片付けておく。

これができているご家庭のお子さんは、相続のときに「ありがとう」と言います。これができていないご家庭のお子さんは、相続のときに黙り込みます。

私は、その両方を、この目で何十回も見てきました。


最後に、これだけは申し上げたい


「うちの不動産、子どもに残して大丈夫でしょうか」

この相談を、私は一番大事にしています。

売る売らないの話ではありません。あなたが残そうとしているものが、お子さんにとって支えになるのか、荷物になるのか。それを一緒に見ておきたいのです。

値段をつけるだけなら、どこの会社でもできます。私がやりたいのは、その先の話です。

ご自宅の登記簿と、思い当たる不動産をメモしたものだけお持ちください。あとはこちらで調べます。お子さんに、いいものを残しましょう。

センチュリー21・ハートピア
田中章雄

相続トラブルを防ぐ方法
カテゴリ:あきちゃんの不動産お役立ち情報  / 投稿日付:2026/07/18 06:25

こんにちは。神戸市北区で50年、不動産屋をやっております田中章雄、通称あきちゃんです。

今日は、私が50年この仕事をやってきた中で、一番「もったいない」と思ってきた話をします。相続で、仲の良かった兄弟姉妹が壊れていく話です。

souzokutoraburu

相続でもめる家というのは、実はお金持ちの家だけではありません。むしろ、普通の家庭のほうがもめます。

不動産が一軒あって、それを兄弟で分ける。ただそれだけのことで、なぜあんなに人が変わってしまうのか。50年見てきて、私にはもう理由が分かっています。

ここで一歩、立ち止まってください。今日の話は、あなたのご家庭にも必ず関係があります。


結論から申し上げます


相続トラブルは、相続が始まってから防ぐものではありません。

親が元気なうちに、たった3つのことをやっておくだけで、ほとんどのもめごとは消えます。それは、財産を全部見える形にすること、誰が何を継ぐか先に決めておくこと、そして遺言を残しておくことです。

この3つをやらなかった家が、私の目の前で何十軒と壊れていきました。


1. なぜ「普通の家」ほどもめるのか


はっきり申し上げます。もめる一番の原因は、財産の中身が「家一軒」だからです。

現金なら、3人兄弟で三等分すればいい。きれいに割れます。ところが、財産が実家一軒だと、そうはいきません。

家は真っ二つに切れないのです。

長男が「俺が住むから家をもらう」と言えば、次男と三男は何をもらうのか。家の値段が3000万円だとして、長男が家をもらうなら、次男と三男に1000万円ずつ現金を渡さないと不公平になります。

でも、長男にそんな現金はない。だから「家をもらう代わりに、お前たちには悪いが現金は勘弁してくれ」となる。ここで、もめるのです。

現金が少なくて、不動産が財産の大半を占めている家。これが一番危ない。日本の普通の家庭は、たいていこの形です。


2. 私が見てきた、壊れた兄弟の話


実例を一つ、お話しします。

神戸市北区にお住まいだったAさん(享年83)のご家庭です。お父さんが亡くなって、残ったのは築40年の一戸建てと、わずかな預金だけでした。

子どもは3人。長男のBさん(58)、次男のCさん(55)、長女のDさん(52)です。3人とも、若い頃は本当に仲の良い兄弟でした。

問題は、遺言が一枚もなかったことです。

長男のBさんは、親の介護を10年間、一人で背負ってきました。だから「俺が家をもらって当然だ」と思っていた。ところが妹のDさんは「法律では3人とも同じ権利のはず。私にも3分の1ください」と言い出したのです。

Bさんからすれば、10年間おむつを替えてきた自分と、盆と正月に顔を出すだけだった妹が、同じ取り分というのは納得できない。

Dさんからすれば、法律で決まった権利を主張しているだけ。

どちらも間違っていないのです。だから、余計にこじれました。

結局、家庭裁判所の調停まで進み、2年かかりました。家は売らざるを得なくなり、売れたお金を3人で分けて終わりです。その後、3人は一度も口をきいていません。

親御さんが「うちの子たちは仲がいいから大丈夫」と言っていた、あのご家庭の話です。


3. たった3つで、9割は防げる


これは断言できます。相続のもめごとの9割は、親が元気なうちの「準備」で消せます。

やることは3つだけです。

一つ目。財産を全部、紙に書き出しておくこと。

どこにいくら預金があるか、不動産はどこにあるか、借金はないか。これを一枚の紙にまとめておくだけで、相続が始まったときの混乱が半分になります。

亡くなってから「あれ、この土地、誰も知らなかった」というのが一番もめます。

二つ目。誰が何を継ぐか、家族で先に話しておくこと。

親が生きているうちに、家族全員で一度、テーブルを囲んで話す。「この家は誰が継ぐのか」「継がないなら売るのか」。これを親の口から言ってもらうのです。

死んでから子どもだけで決めようとするから、もめる。親が生きているうちなら、みんな親の前では強く出られません。

三つ目。遺言を残しておくこと。

これが一番効きます。「家は長男に、預金は次男と長女に」と、親がはっきり書いておく。それだけで、裁判になる家はほとんどなくなります。


4. 業界の裏側と、正直な話


ここで、業界の裏の話もしておきます。

相続が発生すると、不動産会社は一斉に群がってきます。「相続したご実家、すぐ売りましょう」と。悲しみに暮れているご遺族に、間髪入れずに営業をかけてくる会社があります。

なぜか。相続直後は、相続人が疲れ切っていて、判断力が落ちているからです。「早く楽になりたい」という気持ちにつけ込んで、相場より安い価格で買取に持っていく。これがよくある手口です。

はっきり申し上げます。相続した不動産を、慌てて売る必要はありません。

四十九日が終わるまでは、まず動かなくていい。落ち着いてから、複数の会社に査定を出せばいいのです。

それから、遺言について一つ正直に言っておきます。遺言があっても万能ではありません。「遺留分」といって、法律で最低限保証された取り分があります。遺言で長男に全部渡すと書いても、他の兄弟が請求すれば、一定額は渡さなければなりません。

だから遺言を書くときは、この遺留分を計算に入れて、他の兄弟にも最低限は残す形にしておく。ここまでやって、初めて完璧です。


5. デメリットも正直に書きます


いいことばかり言うつもりはありません。

生前に「誰が家を継ぐか」を話し合うのは、正直、しんどいです。

親に「死んだ後の話」をするのは、気が引けます。「縁起でもない」と怒られることもあります。兄弟の間でも、お金の話をした瞬間に空気が悪くなる。これは事実です。

遺言を書くのにも、公正証書にすればお金がかかります。数万円から、財産額によっては十数万円。専門家に頼めば、さらに費用が乗ります。

でも、考えてみてください。この数万円をケチったせいで、裁判に2年かかり、兄弟が一生口をきかなくなる。どちらが高くつくか。

私は、答えははっきりしていると思います。


まとめ


50年やってきて分かったことがあります。

相続でもめるかどうかは、財産の額では決まりません。準備をしたかどうかで決まります。

財産を全部見える形にする。誰が何を継ぐか先に話す。遺言を残す。この3つを、親が元気なうちにやっておく。

たったこれだけで、あなたのご家庭は、Aさんの兄弟のようにはなりません。


最後に、これだけは申し上げたい


相続の相談は、親御さんが元気なうちに来ていただくのが一番です。

亡くなってからでは、できることが限られてしまいます。生きているうちなら、打てる手はいくらでもあるのです。

「うちはもめないから大丈夫」と思っているご家庭ほど、一度、話を聞かせてください。私は売るための相談ではなく、あなたのご家族が壊れないための相談に乗ります。50年、神戸市北区でそれをやってきました。

どうぞ、お気軽にお声がけください。

センチュリー21・ハートピア
田中章雄

不動産と税金の基本
カテゴリ:あきちゃんの不動産お役立ち情報  / 投稿日付:2026/07/17 07:17

こんにちは。神戸市北区で50年、不動産屋をやっております田中章雄、通称あきちゃんです。

今日は、多くの方が「難しそうだから」と後回しにするテーマ、不動産と税金の話をします。

zeikin

「税金は税理士さんの仕事でしょう」と言われます。その通りです。私は税理士ではありませんから、個別の申告のお手伝いはできません。それでも、この話を今日する理由があります。

50年やってきて分かったことがあります。不動産で大きく損をする人は、値段の交渉で負けたのではありません。税金を知らないまま、売る日を決めてしまったのです。

100万円の値引きには半日悩むのに、200万円の税金には一言も触れないまま契約する。そういう場面を、私は数え切れないほど見てきました。

ここで一歩、立ち止まってください。今日の話は、覚えるための話ではありません。「売る前に、これだけは確認してください」という話です。


結論から申し上げます


不動産の税金は、山ほどあるように見えて、たった4つの場面しかありません。

買うとき。持っているとき。売るとき。渡すとき。

この4つです。そして、あなたが本当に気をつけるべきなのは、そのうちの「売るとき」だけです。

さらに言えば、覚える数字は3つで足ります。「5年」と「3,000万円」と「3年」

この3つを知っているかどうかで、手取りが200万円、300万円と変わります。順番にお話しします。


1. 買うときの税金


家や土地を買うと、値段とは別にお金がかかります。

まず不動産取得税。買った不動産の評価額に対してかかる税金で、本来は4パーセントです。ただし住宅と住宅用の土地については軽減されていて、今のところ3パーセントで済みます。この軽減は期限付きで、これまで何度も延長されてきました。

次に登録免許税。名義を自分に書き換えるための税金です。相続で引き継ぐ場合は評価額の0.4パーセント。売買で買う場合はもっと高くなります。

それから印紙税。売買契約書に貼る印紙です。1,000万円を超えて5,000万円以下の契約なら、今は1万円ほど。金額としては小さいので、ここで悩む必要はありません。

はっきり申し上げます。買うときの税金は、金額が決まっていて、逃げ場もありません。だから、ここは考えなくていいのです。問題は次からです。


2. 持っているときの税金


不動産を持っている限り、毎年かかるのが固定資産税です。評価額の1.4パーセント。市街化区域なら、これに都市計画税が最大0.3パーセント上乗せされます。

ここに、知らないと痛い目を見る仕組みがあります。

住宅が建っている土地は、200平米までの部分について、固定資産税の計算のもとになる金額が「6分の1」に圧縮されます。小規模住宅用地の特例といいます。200平米を超えた部分は3分の1です。

言い換えると、家が建っているというだけで、土地の税金は6分の1で済んでいるということです。

これは断言できます。だから家を壊すと、税金が跳ね上がります。

空き家を「片付けてすっきりさせよう」と解体した途端、翌年の固定資産税が一気に上がって驚く方がいます。6分の1が外れるのですから、当たり前なのです。解体は、売る目処が立ってからにしてください。


3. 売るときの税金


ここが本番です。家や土地を売って利益が出たら、その利益に税金がかかります。譲渡所得税です。

覚えるのは、まず「5年」という数字です。

持っていた期間が5年を超えていれば長期。税率は20.315パーセントです。5年以下なら短期。税率は39.63パーセントです。

倍近く違います。同じ家を、同じ値段で売っても、です。

そして、ここに落とし穴があります。この「5年」は、売った日から数えるのではありません。売った年の1月1日の時点で5年を超えているかどうかで判定します。

つまり、2026年に売るなら、2020年の大晦日までに買っていないと長期にはなりません。2021年の1月に買った家は、2026年中はずっと短期のままです。感覚では「もう5年経った」と思っていても、税務署の数え方は違うのです。

次の数字が「3,000万円」です。

自分が住んでいた家を売る場合、利益から3,000万円を引けます。居住用財産の3,000万円特別控除といいます。これがあるので、普通の住み替えなら税金はゼロで済むことがほとんどです。

さらに、住んでいた家で所有期間が10年を超えていれば、税率がもっと下がります。利益6,000万円までの部分が14.21パーセントになります。

最後が「3年」です。

これは相続した空き家の話です。条件が合えば、相続した親の家を売るときも3,000万円を引けます。ただし期限が厳しい。亡くなった日から3年目の年末までに売らないと使えません。しかも令和6年からは、相続人が3人以上いる場合、一人あたり2,000万円に減らされました。

「5年」「3,000万円」「3年」。この3つだけです。


4. 渡すときの税金


最後に、次の世代へ渡すときの税金です。

相続税には基礎控除があります。3,000万円に、法定相続人の数かける600万円を足した金額。相続人が3人なら4,800万円までは相続税がかかりません。

多くのご家庭は、この枠に収まります。「うちは相続税がかかるのだろうか」と何年も心配していた方が、計算してみたら全然かからなかった、ということはよくあります。

生前に渡す場合は贈与税です。1年に110万円までなら、贈与税はかかりません。

ただし、これは断言できます。不動産は110万円ずつ切り分けて渡せません。土地の持分を毎年少しずつ動かす方もいますが、登記の費用が毎回かかりますし、共有名義は後々もめます。私は勧めません。


5. 実際にあった話


北区のEさんご夫婦の話をします。

ご主人が58歳のとき、転勤で家を手放すことになりました。2021年の3月に買った家です。売ろうと決めたのが2025年の秋でした。

「もうすぐ5年ですから、税金は安いほうですよね」

そうおっしゃいました。買ったのは2021年3月ですから、2026年3月で丸5年。感覚としては間違っていません。

でも違うのです。1月1日で数えるからです。2026年の1月1日時点では、まだ4年10か月。短期のままです。長期になるのは2027年の1月1日から。つまり、2026年中に売ったら短期、2027年に入ってから売れば長期。それだけの違いでした。

Eさんの家は、利益がおよそ1,000万円出る計算でした。

  • 短期で売れば、税金はおよそ396万円
  • 長期で売れば、およそ203万円

差は193万円です。

年をまたぐだけで、193万円。私はそれをお伝えして、「急ぐ事情がないなら、年明けの引き渡しにしましょう」と申し上げました。Eさんは黙って計算し直して、それから「誰も教えてくれませんでした」と言いました。

その前に相談されていた大手の会社は、11月の時点で「年内に決めましょう」と勧めていたそうです。


業界の裏側を正直に話します


なぜ、その会社は年内を勧めたのか。

正直に申し上げます。不動産会社にも、決算があります。3月や12月に売上を立てたい会社は、年内の決済を勧めます。あなたの税金より、自分の期の数字が先なのです。

しかも、逃げ道が用意されています。「税金のことは税理士さんにご確認ください」。この一言です。

宅建業者は税理士ではありませんから、個別の税務相談はできません。これは法律で決まっていて、正しいのです。ただ、この正しさが便利に使われることがあります。「うちは税金の話はできませんので」と言っておけば、売り急がせた結果あなたが200万円多く払っても、こちらの責任にはならない。そういう構造になっているのです。

はっきり申し上げます。税務の判断はできなくても、「1月1日で5年を数えます。一度税理士さんに確認されたほうがいい」と伝えることはできます。それを言うか言わないかは、法律の問題ではありません。誠実さの問題です。


ここは正直に、デメリットも話します


では、税金を軸に売る日を決めればいいのか。そう単純でもありません。

Eさんのように2か月待つだけなら簡単です。でも「長期になるまであと2年待ちましょう」となったら、話は変わります。その2年で相場が10パーセント下がったら、税金で得した分など吹き飛びます。北区でも、2年で数百万円動く場所はあります。

空き家も同じです。3,000万円控除のために解体して更地にしたのに、思ったように売れず、6分の1の特例が外れた高い固定資産税を何年も払い続ける。こういう方を、私は実際に見ています。

それから、特例には併用できないものがあります。住宅ローン控除と居住用の3,000万円控除は、同じ時期には使えません。片方を取れば、片方を諦めることになります。

税金は、判断材料の一つです。判断のすべてではありません。ここを取り違えると、税金には詳しいのに、損をする人になります。


まとめ


もう一度言います。

不動産の税金は、買うとき、持っているとき、売るとき、渡すとき。4つだけです。

そして、あなたが本当に確認すべき数字は3つです。

  • 長期か短期かを分ける「5年」。1月1日で数えます
  • 住んでいた家で使える「3,000万円」控除
  • 相続した空き家を売る期限の「3年」

家が建っているだけで土地の税金が6分の1になっていること。だから壊すと跳ね上がること。これも覚えておいてください。

全部を勉強する必要はありません。売ると決める前に、この3つを誰かに確認してもらう。それだけで、損の大半は防げます。


最後に、これだけは申し上げたい


税金の話は、地味です。誰も好きこのんで調べません。だから、みんな同じところで損をします。

そして怖いのは、損に気づかないことです。値引きで100万円下げたら悔しさが残ります。でも税金で200万円多く払っても、「そういうものか」で終わってしまう。誰も教えてくれないからです。

私は税理士ではありません。ですから申告のお手伝いはできません。その代わり、「その売り方だと税金で損をしますよ」「その日付は一度確認したほうがいい」と申し上げることはできます。必要なら、信頼できる税理士さんもご紹介します。

私は「売らせるため」ではなく「損をさせないため」に、この仕事を50年やってきました。売ろうかと考え始めた段階で構いません。値段の話をする前に、まず日付と特例の確認から、一緒にやりましょう。

センチュリー21・ハートピア
田中章雄

相続で一番損する売り方
カテゴリ:あきちゃんの不動産お役立ち情報  / 投稿日付:2026/07/16 06:13

こんにちは。神戸市北区で50年、不動産屋をやっております田中章雄、通称あきちゃんです。

前回は「相続で一番得する売り方」の話をしました。今日はその裏返し、「相続で一番損する売り方」についてお話しします。

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50年やってきて分かったことがあります。相続の売却で損をする人は、たいてい同じ道を通ります。頭が悪いわけでも、運が悪いわけでもありません。ただ、疲れていて、急いでいて、誰にも相談しなかった。それだけです。

親が亡くなって、四十九日が済んで、ようやく一息ついた頃。郵便受けに「相続不動産 高価買取」のチラシが入り始めます。電話も鳴ります。そこから、損への道が静かに始まります。

ここで一歩、立ち止まってください。今日話す「損する売り方」を一つでも避けられれば、あなたの手取りは数百万円変わります。


結論から申し上げます


相続で一番損する売り方は、これです。

期限に追われて、税金の特例を確認せず、一社の言い値で、急いで手放す。

急いで、確認せず、言われるまま。この3つが重なったとき、人は一番損をします。順番に、私が現場で見てきた実際の損を話します。


1. 「早く現金にしたい」で買取に投げる


一番多い損がこれです。相続した実家を、業者の「買取」で手放す。チラシに「即現金化」と書いてある、あれです。

買取というのは、不動産会社があなたから直接買う取引です。仲介と違って、内覧もいらない、すぐ現金になる。楽なんです。疲れているとき、この「楽」に飛びつきたくなる気持ちはよく分かります。

でも、これは断言できます。買取の値段は、相場の7割前後です。

3000万円で個人に売れる家が、買取だと2000万円そこそこ。この差の800万、900万円は、そっくりそのまま業者の利益になります。業者は買い取った家を、少し手を入れて、あなたが売れたはずの3000万円で売り直すだけです。

急いでいない相続なのに、「気持ちの疲れ」だけで買取に投げる。これで数百万円を捨てる人を、私は何人も見てきました。


2. 一番高い査定に飛びついて「塩漬け」にする


買取とは逆に、こういう損もあります。数社に査定を頼んだら、一社だけ飛び抜けて高い数字を出してきた。「うちなら3500万円で売れます」と。嬉しくなって、その会社に任せる。

はっきり申し上げます。飛び抜けて高い査定は、契約を取るための「エサ」であることが多いです。

これを業界では「高預かり」と言います。高い値段で預かって、まず契約を取る。売れないのは当たり前です。相場より500万も高いんですから。そして3か月経った頃、「反響が弱いので少し下げましょう」と言ってくる。下げて、また下げて、結局は相場より安い値段で、疲れ切ったあなたが手放す。

高い査定に飛びつくと、時間だけが過ぎて、最後は相場割れ。これが「塩漬け」です。相続案件は売主が相場を知らないことが多いので、この手が本当によく効きます。


3. 兄弟で意見が割れて、底値で投げ売る


相続がやっかいなのは、売主が一人ではないことです。

三田のケースをお話しします。母親が亡くなり、実家(築45年)を姉妹3人で相続しました。長女は「じっくり高く売りたい」、次女は「早く現金にして分けたい」、三女は「思い出があるから売りたくない」。

見事に三人三様でした。話がまとまらないまま半年が過ぎ、固定資産税と管理の話でギスギスし始める。最後は次女が「もういいから安くていいから売ろう」と言い出して、相場より300万円安い値段で決着しました。

これは断言できます。相続で一番の敵は、買主でも業者でもなく、「兄弟の足並みが揃わないこと」です。揃わないと、必ず一番せっかちな人の意見に引きずられて、底値で投げることになります。


4. 税金の特例を確認せず、期限を逃す


これが金額として一番大きい損です。相続した空き家を売るとき、条件が合えば利益から3000万円を引ける「特別控除」という強い制度があります。ところがこの制度には、細かい条件と、厳しい期限があります。

  • 昭和56年5月31日以前に建てられた家であること
  • 亡くなった親が一人で住んでいたこと
  • 売る相手が親族でないこと
  • 耐震リフォームをするか、家を取り壊して更地にしてから売ること

さらに一番怖いのが期限です。相続が始まった日から3年目の年末までに売らないと、この控除は使えません。相続税そのものの申告は10か月以内。相続税を取得費に足せる「取得費加算」という別の特例も、3年10か月以内です。

先ほどの三田の姉妹は、この期限に気づかず、耐震も解体もしないまま普通に売ってしまいました。3000万円控除は不発。譲渡所得税で数百万円、余分に払うことになりました。

しかもここに、あまり知られていない落とし穴があります。この3000万円控除、令和6年からは、相続人が3人以上いる場合、一人あたり2000万円に減らされました。姉妹3人はまさにこれに当たります。知らずに手放すと、二重、三重に損をするわけです。


不動産屋が言わない業界の裏側


なぜ相続の売却で、こんなに損が起きるのか。正直に申し上げます。相続案件は、業者にとって「一番おいしい」からです。

売主が相場を知らない。悲しみと疲れで判断力が落ちている。相続人が複数いて意見がバラバラ。急いでいる。これだけ条件が揃うと、買取に誘導するのも、高預かりで囲い込むのも、簡単なんです。

「相続に強い」「相続専門」をうたう一括査定サイトもたくさんあります。全部が悪いとは言いません。でも、そこに登録している会社の中には、あなたの家を安く仕入れて転売したい会社も、平気で混じっています。「専門」という言葉は、あなたを守る言葉とは限りません。


ここは正直に、デメリットも話します


では、とにかく慌てず、じっくり時間をかければいいのか。そう単純でもありません。

空き家を持ち続ければ、固定資産税がかかります。庭の草も伸びます。屋根も傷みます。誰も住まない家は、驚くほど早く傷みます。兄弟間の「あの家どうするの」という気まずさも、長引くほど関係を削っていきます。

そして、先ほどの3年の期限。急がなさすぎて期限を過ぎれば、それはそれで控除を失います。だから「急ぐな」ではありません。「期限から逆算して、正しく急げ」です。ここを取り違えると、今度は逆方向で損をします。


まとめ


相続で一番損する売り方を、もう一度言います。期限に追われて、税金の特例を確認せず、一社の言い値で、急いで手放す。

買取に飛びつく。高い査定に釣られる。兄弟でまとまらず底値で投げる。特例と期限を確認しない。この4つのどれか一つでも、数百万円が飛びます。

逆に言えば、やることは決まっています。まず相続登記を済ませる。税理士に特例と期限を確認する。複数の目で相場を確かめる。そして兄弟で「いつまでに、いくらで」を先に決めておく。それだけで、損の大半は防げます。


最後に、これだけは申し上げたい


相続の売却は、一生に何度もあることではありません。だからこそ、知らないうちに損が起きます。そして一度手放したら、やり直しはききません。

私は「売らせるため」ではなく「損をさせないため」に、この仕事を50年やってきました。相続した家や土地のことで、少しでも迷いや不安があれば、売ると決める前に、どうか一度ご相談ください。値段の話をする前に、まず期限と特例の確認から一緒にやりましょう。

センチュリー21・ハートピア
田中章雄

固定資産税が6倍になる話
カテゴリ:あきちゃんの不動産お役立ち情報  / 投稿日付:2026/07/14 07:51

こんにちは。神戸市北区で50年、不動産屋をやっております田中章雄、通称あきちゃんです。

今日は、知らずにやってしまうと、あとで泣くことになる話をします。「固定資産税が6倍になる話」です。

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「まさか、そんなに増えるわけがない」と思われた方こそ、最後まで読んでください。

私が50年やってきて、この一件で顔を真っ青にされたお客さんを、何人も見てきました。

結論から申し上げます


相続した空き家を、深く考えずに解体して更地にしてはいけません。

家を壊して土地だけにした瞬間に、その土地の固定資産税が、最大で6倍近くまで跳ね上がります。

これは断言できます。「片付けるつもりで壊しただけ」で、翌年から税金が何倍にもなって届く。こういう相談が、今も毎年のように私のところへ来ます。


1. なぜ家を壊すと税金が上がるのか


はっきり申し上げます。ここを知らない人が、本当に多い。

土地の上に人が住むための家が建っていると、「住宅用地の特例」というものが効きます。これは、住まいの土地にかかる固定資産税を安くしてくれる仕組みです。

200平方メートルまでの部分は、固定資産税の計算のもとになる評価額が「6分の1」に減らされます。だから、家が建っている土地の税金は、もともとかなり安く抑えられているのです。

ところが、家を壊して更地にすると、この「6分の1」がまるごと外れます。外れた瞬間に、税金の計算のもとが一気に元の額に戻る。これが「6倍になる」の正体です。

ここで一歩立ち止まってください。「家があるうちは安かった」のではありません。「家があったから、特別に安くしてもらっていた」のです。その特別扱いは、家を壊した年の翌年から、きれいさっぱり消えます。


2. 神戸市北区のAさんの話


実際にあった話をします。

神戸市北区にお住まいだったAさん(当時71歳)。藤原台の親御さんの家を相続されました。築45年の古い一戸建てで、誰も住まなくなって2年ほど。庭の草も伸びてきて、近所の目も気になる。

Aさんは「もう住む人もいないし、更地にしてすっきりさせよう」と考えました。解体費用は、木造で160万円ほど。決して安くはありませんが、Aさんは「これで管理の手間から解放される」とほっとされていました。

問題は、その翌年です。それまで年12万円ほどだった固定資産税の通知が、65万円を超える額になって届いたのです。

Aさんは役所に電話をかけました。「計算間違いではないか」と。けれど、間違いではありませんでした。家を壊したことで住宅用地の特例が外れ、正規の税額に戻っただけだったのです。

Aさんはこうおっしゃいました。「解体屋さんも、そんな話は一言もしてくれなかった」。これが現実です。


3. 業界の裏側を正直に申し上げます


なぜ、こういうことが起きるのか。

解体業者さんは、家を壊すのが仕事です。税金の面倒までは、基本的に見てくれません。悪気があるわけではなく、専門が違うのです。

問題は、一部の不動産屋のほうです。「更地にしたほうが早く売れますよ」。こう言って、解体をすすめる業者がいます。たしかに、更地のほうが買い手に土地の広さや形が伝わりやすく、売りやすい面はあります。

けれど、その裏で「更地にすると、売れるまでの間、固定資産税が何倍にもなりますよ」という話を、きちんとしない業者が多いのです。売れるまで半年かかれば、その半年ぶんの高い税金は、すべて売主さんの負担です。すぐ売れる保証などありません。売れ残れば、上がった税金だけを毎年払い続けることになります。

もう一つ、脅し文句のように使われるのが「特定空家」という言葉です。「このままだと特定空家に指定されて、どのみち税金が上がりますよ。だから今のうちに壊しましょう」。こういう言い方をされると、慌てて壊してしまう方がいます。

たしかに、屋根が崩れかけている、ゴミが放置されている、そういう本当に危険な空き家は、行政から指導が入り、住宅用地の特例を外されることがあります。しかし、それは「今すぐ、あなたの家が」という話ではありません。きちんと管理して、傷んだところを手当てしていれば、いきなり指定されるものではないのです。慌てて壊す前に、まず本当に指定される状態なのかを、冷静に確かめてください。


4. 正直に、デメリットもお話しします


「では、絶対に壊すな」と言っているのかというと、そうではありません。家を残すことにも、当然デメリットはあります。

  • 古い家をそのまま放っておけば、雨漏りや白アリで傷みが進む
  • 台風で瓦が飛んで、隣の家や車を傷つければ、その責任は持ち主にくる
  • 草木が伸び放題になれば、近所とのいさかいの種になる

管理には、それなりの手間もお金もかかるのです。

だから、本当に大事なのは「壊すか、残すか」を先に決めることではありません。「いつ、どういう形で手放すのか」を決めてから、逆算して壊すかどうかを考えることです。

買い手が決まってから壊せば、更地で高い税金を払う期間はほとんどありません。先に壊してしまうから、売れるまでの間、高い税金を払い続けることになるのです。この順番を間違えるだけで、何十万円も損をします。


まとめ


もう一度、結論を申し上げます。相続した空き家を、深く考えずに先に壊してはいけません。

家を壊した瞬間に、住宅用地の特例が外れ、固定資産税は最大で6倍近くまで上がります。解体するなら、買い手のめどが立ってから。これが鉄則です。

「すっきりさせたい」「近所の目が気になる」という気持ちは、よく分かります。でも、その気持ちだけで壊すと、上がった税金という形で、何年もツケを払うことになります。


最後に、これだけは申し上げたい


50年やってきて分かったことがあります。不動産で損をする人は、たいてい「順番」を間違えています。壊してから考える。売り出してから慌てる。これでは、いつも後手にまわります。

相続した家をどうするか迷っておられるなら、壊す前に、一度だけ私に相談してください。税金がどう変わるのか、いつ壊すのが一番損をしないのか。数字で、正直にお話しします。

相談していただくだけなら、一円もかかりません。壊してしまってからでは、遅いのです。

センチュリー21・ハートピア
田中章雄

再建築不可の土地をどうするか
カテゴリ:あきちゃんの不動産お役立ち情報  / 投稿日付:2026/07/13 07:06

こんにちは。神戸市北区で50年、不動産屋をやっております田中章雄、通称あきちゃんです。

今日は、相談に来られる方の顔がいちばん曇る話をします。「再建築不可」の土地を、どうするか、というお話です。

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親から相続した実家を売ろうと思って業者に見せたら、いきなり「これは建て替えできない土地ですね」と言われた。頭が真っ白になった。そういう方が、この5年で本当に増えました。

先に、いちばん大事なことを言っておきます。慌てて手放さないでください。ここで一歩立ち止まってください。


結論から申し上げます


再建築不可の土地は、二束三文ではありません

売り方さえ間違えなければ、あなたが思っているより高く手放せる可能性があります。逆に、売り方を間違えると、本来の半分以下で買い叩かれます。この差が、そのまま数百万円になります。

これは断言できます。再建築不可の土地で損をする人は、たいてい「最初に来た買取業者」に、そのまま売ってしまった人です。


1. そもそも、なぜ建て替えられないのか


まず、なぜ再建築不可になるのかを知っておいてください。理由が分かれば、対処法も見えてきます。

いちばん多いのは「接道義務」を満たしていないケースです。建物を建てる土地は、幅4m以上の道路に、2m以上接していないといけない。これが法律で決まっています。ところが古い町並みだと、こういう土地が山ほどあります。

  • 前の道が4m未満しかない
  • 道路に接している間口が2mに足りない
  • そもそも建築基準法上の「道路」に接していない

神戸市北区でも、有馬や道場の古い集落、区画整理前からある住宅地には、こうした土地が普通にあります。

昔は建てられたんです。50年前は、そんな細かいことを誰も言わなかった。だから今、家は建っている。でも一度壊したら、もう新しい家は建てられない。これが再建築不可の正体です。


2. 対処法その一、隣の人に売る


50年やってきて分かったことがあります。再建築不可の土地を、いちばん高く買ってくれるのは、たいてい「お隣さん」です。

なぜか。あなたの土地は単独では建て替えられなくても、隣の土地とくっつければ、間口が広がって再建築可能になることがあるからです。隣の人にとっては、自分の土地の価値が上がる話なんです。

実際にあった話をします。北区の藤原台に近い古い住宅地で、Aさん(70歳)が相続した実家の土地がありました。間口が1.8m。あと20cm足りなくて再建築不可。買取業者に見せたら「350万円が精一杯」と言われたそうです。

私はAさんに「その前に、お隣に声をかけさせてください」と申し上げました。隣のご夫婦は、庭を広げたいとずっと思っておられた。話をつないだら、780万円で買ってくれました。

同じ土地です。売る相手を変えただけで、430万円変わったんです。


3. 対処法その二、セットバックして建て替え可能にする


前の道路が4m未満の場合、「セットバック」という方法で建て替え可能になることがあります。道路の中心線から2m下がったところまで、自分の敷地を道路として提供する。そうすると、その土地は再建築可能になります。

ただし正直に申し上げます。これは敷地が削られます。庭や駐車スペースが狭くなる。角地でもなければ、そう気軽にできる話ではありません。それでも「建て替えられない土地」が「建て替えられる土地」に変わるなら、資産価値は跳ね上がります。

自分の土地がセットバックで救えるかどうかは、市役所の建築指導課で無料で調べられます。売る前に、必ず一度確認してください。


4. 対処法その三、そのまま貸す、そのまま使う


建て替えはできなくても、リフォームやリノベーションはできます。築40年の古家でも、中を直せば十分住めます。最近は「あえて再建築不可の安い家を買って、自分好みに直して住む」という若い方も出てきました。家賃を抑えたい人には需要があるんです。

はっきり申し上げます。売り急がず、リフォームして貸せば、月5万円でも年間60万円。10年で600万円になります。焦って安く売るより、持っておいて家賃を取るほうが得なケースは、実際にあります。


5. 業界の裏側、買取業者が絶対に言わないこと


ここからが本音の話です。再建築不可の土地を、買取業者はなぜ喜んで買うか。安く仕入れて、直して、高く貸すか売るかできるからです。彼らにとっては「おいしい物件」なんです。

だから彼らは、こう言います。「再建築不可だから、住宅ローンも組めないし、買い手なんてつきませんよ。うちが買ってあげます」。これは半分は本当で、半分は誘導です。確かに一般の買い手には売りにくい。でも「隣に売る」「セットバックする」という選択肢を、彼らは絶対に教えません。教えたら自分が安く買えなくなるからです。

もうひとつ。「囲い込み」です。あなたの土地を預かった業者が、わざと他社に情報を回さず、自分の抱えている買取業者に安く流す。売主は「再建築不可だから、これが相場です」と言われて信じてしまう。こういうことが、この業界では起きています。


6. デメリット、正直に申し上げます


いいことばかり言うつもりはありません。再建築不可の土地には、はっきりしたマイナスがあります。

まず、住宅ローンが使いにくい。買い手が現金を用意できる人か、現金で買える投資目的の人に限られます。だから一般の相場より、どうしても安くなる。

次に、固定資産税は毎年かかる。使っていない土地でも、持っているだけで年間10万円前後の税金が出ていくことがあります。放っておくと、じわじわ損をします。そして、隣に売れるとは限らない。隣の人にその気がなければ、この作戦は使えません。運の要素もあるんです。

だからこそ、どの対処法が自分に合うかを、感情ではなく数字で見極める必要があります。


まとめ


もう一度、結論を申し上げます。再建築不可の土地は、二束三文ではありません。売り方で数百万円変わります。

いちばん高く売れる相手は隣の人かもしれない。セットバックで建て替え可能に変わるかもしれない。貸して家賃を取るほうが得かもしれない。この選択肢を全部並べてから、いちばん損の少ない道を選んでください。最初に来た買取業者の一言で、それを決めてはいけません。


最後に、これだけは申し上げたい


「うちの土地、再建築不可って言われたんですけど」。そう言って相談に来られる方に、私はいつも同じことを申し上げます。まず、慌てないでください。そして、売る前に一度、全部の選択肢を並べましょう。

隣に打診してみる価値があるのか。セットバックで救えるのか。貸したほうがいいのか。それを一緒に整理するだけで、結果が数百万円変わることがあります。相談だけなら、お金は一円もかかりません。損をしてからでは遅いので、動く前に一度、声をかけてください。

センチュリー21・ハートピア
田中章雄

古家は解体すべきか問題(完全版)
カテゴリ:あきちゃんの不動産お役立ち情報  / 投稿日付:2026/07/12 23:21

こんにちは。神戸市北区で50年、不動産屋をやっております田中章雄、通称あきちゃんです。

今日は、相続や住み替えでご実家を売るとき、ほとんどの方が一度は悩む「古い家を、壊してから売るべきか。そのまま売るべきか」というお話をします。

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これは本当に多い相談です。親御さんが住んでいた築40年、築50年の家。空き家になって、いざ売ろうとしたときに、まわりから「更地にした方が売れるよ」と言われる。かたや業者からは「解体しましょう」と勧められる。

ここで一歩立ち止まってください。この判断を間違えると、200万円、300万円が平気で消えます。今日はその判断軸を、隠さず全部お話しします。


結論から申し上げます


古家は「壊してから売る」より「そのまま売り出す」方が、まず得なケースが多いです。

理由はひとつ。解体費を先に払っても、その分だけ高く売れるとは限らないからです。

ただし、これには例外があります。壊した方が明らかに得になる家も、確かにあります。だから今日は「壊すべき家」と「壊してはいけない家」の見分け方を、判断軸としてお渡しします。


1. 解体には、あなたが思うより金が要ります


まず現実の数字から申し上げます。

神戸市北区あたりの木造2階建て、30坪から40坪の家を解体すると、今はだいたい「150万円から250万円」かかります。

昔は坪3万円などと言いましたが、今は違います。人件費も処分費も上がりました。石綿(アスベスト)が入っていれば、その調査と除去でさらに数十万円上乗せされます。

ここで覚えておいてほしいことがあります。解体費は「先払い」です。売れる前に、あなたのお財布から出ていくお金です。

50年やってきて分かったことがあります。この「先に大金が出ていく」という事実を、業者はあまり強調しません。


2. 更地にした瞬間、固定資産税が跳ね上がります


これははっきり申し上げます。ここを知らずに解体して、あとで青くなる方が本当に多い。

家が建っている土地には「住宅用地の特例」というものがあって、固定資産税が最大で6分の1に軽くなっています。

ところが家を壊して更地にすると、この特例が外れます。つまり、翌年から土地の固定資産税がドンと上がるのです。

具体的に申し上げます。神戸市北区で、家が建っている状態で土地の固定資産税が年6万円だった土地。これを更地にすると、翌年から20万円を超えることも珍しくありません。

しかも、税金の切り替わりは「1月1日時点」で判断されます。年明けすぐに壊して、その年のうちに売れなかったら、丸1年、高い税金を払い続けることになります。


3. 実例:壊さなければ80万円残った、Bさんのケース


具体的な話をします。

神戸市北区、藤原台の近くにお住まいだったBさん(72歳)。お母様が亡くなって、築48年の実家を相続されました。

近所の方に「今どき古い家なんて誰も買わない。更地にしないと売れない」と言われ、真に受けて解体されました。解体費は210万円

更地にして売り出した価格は1580万円。半年かけて、1450万円で売れました。

一方、私のところに来られた別のお客様、同じような藤原台の築45年の家。この方には「壊さず、そのまま古家付きの土地として売りましょう」とお勧めしました。

結果、1500万円で売れました。解体していません。手元に残るお金で比べると、Bさんより80万円以上多く残ったのです。

Bさんは後から、私のところに相談に来られて、こうおっしゃいました。「先に210万払わなくても、同じくらいで売れたんですね」と。

これが現実です。壊したから高く売れる、とは限らないのです。


4. 「古家付き土地」という売り方を知っておいてください


多くの方が知りません。古い家は、壊さなくても売れます。

「古家付き土地」という売り方です。土地として値段をつけて、家はおまけ、という形で売り出す。買った方が、自分の都合とお金で壊すなり使うなりする。

この売り方の良いところは、あなたが先に解体費を払わなくていいことです。そして、まれに「この家、リフォームして使いたい」という買い手が現れることもあります。そうなれば解体費すら不要です。

はっきり申し上げます。今は古い家を安く買って、自分好みに直して住む若い方が確実に増えています。「古い家=価値ゼロ」という思い込みは、もう古いのです。


5. 業界の裏側:なぜ業者は「解体しましょう」と勧めるのか


ここは正直に申し上げます。

業者が「更地にしましょう」と勧める理由は、あなたのためだけではありません。

ひとつ。解体した方が写真映えして、確かに早く売れることがあります。業者にとっては、早く売れる方が手間がかからず都合がいい。

ふたつ。解体業者を紹介すると、そこから紹介料が入る会社があります。あなたが払う210万円の中に、業者のお小遣いが乗っていることがあるのです。

みっつ。これがいちばん大事です。更地は「値段が下げやすい」。売れ残ったとき、業者は「もう少し下げましょう」と言いやすくなる。先に解体費を払ってしまったあなたは、値下げを断りにくい心理になっています。

これは断言できます。「とりあえず更地にしましょう」と、家の中も見ずにすぐ言う業者は、疑ってかかった方がいい。


6. では、壊した方がいい家とは


正直に、壊すべきケースもきちんとお伝えします。全部「そのまま売れ」とは言いません。

こういう家は、壊すことを前向きに考えていいです。

  • 家が半分崩れかけている、雨漏りやシロアリで危険な状態
  • 敷地に建物が残っていると、隣や通行人に迷惑・危険が及ぶ
  • 再建築ができる整った土地で、更地の方が買い手が明らかに増える立地
  • 建物があるせいで、買い手が住宅ローンを組みにくい古さ

こういう場合は、解体して更地で売る方が結果的に得になることがあります。

ただし、その場合でも「先に自分で全部壊す」のではなく、「解体費相当を値引きして、買い手に壊してもらう」方法や、「売買が決まってから壊す(解体条件付き)」方法があります。先にお金を出すリスクを、まず避けて考えてください。


7. デメリットも正直に:そのまま売る場合の注意点


いいことばかりは言いません。古家をそのまま売るときの、マイナス面もお伝えします。

ひとつ。古い家が建っていると、見た目の印象で敬遠する買い手が一定数います。内見で「うわ、古い」と帰る人はいます。

ふたつ。古家をそのまま売ると、あとで「床が抜けた」「雨漏りがあった」と、建物の不具合で買い手ともめることがあります。これを「契約不適合責任」と言います。

だからこそ、そのまま売るときは「現況のまま、建物の不具合は責任を負いません」という約束(契約不適合責任の免責)をきちんと契約に入れることが大事です。ここを曖昧にする業者は要注意です。

みっつ。家を壊してみたら、じつは「再建築できない土地」だったと発覚することもあります。だから壊す前に、必ず接道や再建築の可否を先に調べておく必要があります。


まとめ


もう一度、結論を申し上げます。

古家は、まず「壊さずそのまま売れないか」から考える。これが基本です。

解体費150万から250万は先払いで、しかもその分高く売れる保証はない。更地にすれば固定資産税も跳ね上がる。「更地にしないと売れない」は、多くの場合、思い込みか、業者の都合です。

壊すべきかどうかは、建物の危険度、立地、再建築の可否で決まります。壊す場合も、先にお金を出す前に「買い手に壊してもらう」「決まってから壊す」道を必ず検討してください。


最後に、これだけは申し上げたい


古い家を前に、一人で「壊すしかないのかな」と悩んでおられる方が、本当に多いです。

その一言を、どうか業者に言う前に、私のような現場の人間に一度ぶつけてみてください。壊す前なら、まだいくらでも手は打てます。壊してしまってからでは、210万円は戻ってきません。

あなたの実家が、いちばん損をしない形で次の人に渡るように。50年やってきた者として、正直にお手伝いします。まずはお気軽にご相談ください。

センチュリー21・ハートピア
田中章雄

相続した家を貸すか売るか
カテゴリ:あきちゃんの不動産お役立ち情報  / 投稿日付:2026/07/11 05:29

こんにちは。神戸市北区で50年、不動産屋をやっております田中章雄、通称あきちゃんです。

今日は、相続のご相談で一番多い質問、「相続した家を貸すか、売るか」についてお話しします。

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親御さんが亡くなって実家を相続した。自分たちはもう別の場所に家がある。さて、この家をどうするか。

「思い出のある家やから、売るのは忍びない。貸せば家賃も入るし、いつか子どもが使うかもしれん」

そう考える方が、実に多いのです。

その気持ち、痛いほど分かります。けれど、ここで一歩立ち止まってください。

答えを間違えて、数百万円損をした方を、私は50年間で何人も見てきました。


結論から申し上げます


迷ったら、売る。これが50年やってきた私の結論です。

はっきり申し上げます。相続した家を貸してうまくいくのは、条件が揃った一部の家だけです。

その条件とは、

  • 駅から徒歩10分以内
  • 築25年より浅い
  • 大きな傷みがない

この3つです。揃っていない家を貸すのは、私はお勧めしません。

なぜそう言い切れるのか。理由を順番にお話しします。


1. 貸す前に、まずお金が出ていきます


親御さんが住んでいた家は、たいてい築40年前後です。そのまま貸せることは、まずありません。

壁紙の張り替え、水回りの交換、畳の入れ替え。人に貸せる状態にするだけで200万円から300万円かかるのが普通です。

給湯器が古ければプラス20万円。屋根や外壁に手を入れれば、あっという間に400万円を超えます。

家賃が入る前に、まず大きなお金が出ていく。これが賃貸の入り口です。


2. 家賃で回収できるとは限りません


神戸市北区の築40年の戸建なら、家賃は月7万円前後がいいところです。

年間で84万円。ここから固定資産税、火災保険、管理料、修繕費を引くと、手元に残るのは年間60万円ほどです。

先ほどの改装費300万円を回収するのに、5年かかる計算になります。

しかも、この5年間ずっと入居者がいればの話です。

空室になれば収入はゼロ。その間も税金と維持費は出ていきます。


3. 大家業は「不労所得」ではありません


貸せば家賃が勝手に入ってくる。そう思っている方が多いのですが、大家は仕事です

雨漏りの連絡は夜中でも来ます。給湯器が壊れたら即日対応です。退去のたびに敷金の精算と原状回復で、10万円、20万円と飛んでいきます。

70歳を過ぎてから初めて大家業を始めるのは、正直、しんどいですよ。


4. 一度貸すと、売りにくくなります


これは覚えておいてください。日本の法律では、借主は強く守られています。

一度貸したら、大家の都合で「出て行ってください」とは言えません。

入居者がいるまま売る方法もありますが、これは「オーナーチェンジ」といって、相場より2割から3割安くなります。

2,000万円で売れたはずの家が、1,500万円になる。貸すという選択には、この出口の狭さがついて回ります。


5. 税金の特例には期限があります


相続した空き家を売るとき、条件を満たせば譲渡所得から3,000万円を控除できる特例があります。

ただし、この特例は一度でも人に貸すと使えなくなります。売る期限も、相続した日から3年目の年末までです。

貸してから「やっぱり売ろう」と思ったときには、この権利は消えています。


Aさんの失敗と、Bさんの成功


神戸市北区鈴蘭台のAさん(67歳)のお話です。

3年前にお母様が亡くなり、築43年の実家を相続されました。

ある不動産会社に相談したところ、「貸しましょう。家賃収入で年金の足しになりますよ」と勧められた。

Aさんは280万円かけて改装し、月7万5千円で貸し出しました。

ところが2年半で入居者が退去。給湯器の交換に18万円。次の入居者はなかなか決まらず、半年間の空室。

疲れ果てたAさんは、結局売ることにされました。

ここで問題が起きます。賃貸に出したことで、さきほどの3,000万円控除が使えなくなっていたのです。

譲渡所得税でおよそ200万円。最初から売っていれば、払わなくてよかった税金です。

Aさんは私にこう言われました。「最初にあんたに相談しとったら良かったわ」

一方で、うまくいった方もいます。

岡場駅から徒歩9分、築22年の家を相続されたBさんご夫婦。傷みが少なく、改装は60万円で済みました。家賃は月9万8千円。1年待たずに費用を回収し、今も安定して貸せています。

つまり、家の条件次第なのです。

あなたの実家はAさんの家に近いのか、Bさんの家に近いのか。そこを冷静に見てください。


業界の裏側を正直に話します


ここで、業界の裏側もお話ししておきます。

不動産会社に「貸すか売るか」を相談すると、会社によって答えが変わります。

賃貸管理が得意な会社は「貸しましょう」と言います。貸してもらえれば、毎月「家賃の5%」の管理料がずっと入ってくるからです。

売買が得意な会社は「売りましょう」と言います。仲介手数料が入るからです。

「30年一括借り上げ」のサブリースにも注意してください。

契約書には必ず家賃の見直し条項があり、数年ごとに家賃は下がっていきます。30年同じ家賃が保証されるわけではありません。

つまり、あなたが聞いている答えは、あなたのための答えではなく、その会社が儲かる答えかもしれない。

これは断言できます。貸す場合と売る場合、両方の数字を並べて説明してくれる会社だけを信用してください。


売ることにもデメリットはあります


私は「迷ったら売る」と申し上げましたが、売ることのマイナス面も正直に書いておきます。

一度売ったら、二度と取り戻せません。思い出の詰まった家を手放す寂しさは、お金では埋まりません。

希望の値段で売れるとは限りません。北区の築古戸建は、場所によっては1,000万円を切ることもあります。

解体して土地で売る場合は、解体費用が150万円から200万円かかります。

それでも私が売る方を勧めるのは、「持ち続けるコスト」と「貸す手間とリスク」を、皆さんが低く見積もりすぎているからです。


まとめ


もう一度申し上げます。相続した家は、迷ったら売る

貸してよいのは、駅近、築浅、傷みが少ない。この条件が揃った家だけです。

条件が揃わない家を貸すのは、

  • 改装費の持ち出し
  • 空室のリスク
  • 出口の狭さ
  • 税金の特例切れ

この4つを全部引き受けるということです。

そして判断には期限があります。3,000万円控除は相続から3年目の年末まで。悩んでいる間にも、時計は動いています。


最後に、これだけは申し上げたい


相続した家をどうするかは、ご家族の歴史に関わる大きな決断です。

だからこそ、貸した場合と売った場合、両方の数字を並べて、損得を見える形にしてから決めてください。

私でよければ、50年の経験で、あなたの実家がAさんの家に近いのか、Bさんの家に近いのか、正直に申し上げます。

売らせるための査定ではなく、損をさせないための相談です。

どうぞお気軽にお声がけください。

センチュリー21・ハートピア
田中章雄

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