ホーム  >  あきちゃんの不動産お役立ちコラム  >  あきちゃんの不動産お役立ち情報  >  売却で絶対にやってはいけないタイミング

売却で絶対にやってはいけないタイミング
カテゴリ:あきちゃんの不動産お役立ち情報  / 投稿日付:2026/05/22 05:57

こんにちは。神戸市北区で50年、不動産屋をやっております田中章雄、通称あきちゃんです。

今日は、家や土地を売るときの「タイミング」の話をします。「売却で絶対にやってはいけないタイミング」というテーマです。

zettai

家を売るとき、多くの人が気にするのは「いくらで売れるか」です。もちろん、それも大事です。けれど50年やってきて、私がそれと同じくらい大事だと思っているのは、「いつ売るか」「どんな状態のときに売るか」です。同じ家でも、売るタイミングを間違えると、数百万円、平気で損をします。

ここで一歩、立ち止まってください。「売り時」と聞くと、多くの人は「景気がいいとき」「相場が高いとき」を思い浮かべます。けれど私が「やってはいけない」と申し上げるタイミングは、相場の話ではありません。あなた自身が「どんな気持ちでいるか」「どれだけ追い込まれているか」の話です。


結論から申し上げます


売却で絶対にやってはいけないのは、「気持ちが追い込まれているとき」「期限に追われているとき」「他人の都合に乗せられたとき」に売ることです。

これは断言できます。慌てて売った家は、必ずと言っていいほど、安く買い叩かれます。

50年やってきて分かったことがあります。家の値段を下げるのは、相場ではありません。「売主の焦り」です。買う側、間に入る業者は、売主が焦っているかどうかを、驚くほど正確に見抜きます。

今日は、私が見てきた「やってはいけないタイミング」を、五つ、正直に申し上げます。チラシにも、会社のホームページにも、絶対に書かれていない話です。


1. 相続や葬儀の直後、気が動転しているとき


これが一番多い、そして一番もったいない失敗です。

親が亡くなって、実家が空き家になる。葬儀、四十九日、相続の手続き、遺品の整理。気持ちも体も、くたくたです。そういうときに「とにかく早く片付けてしまいたい」という気持ちが、ふっと湧いてきます。

その気持ちのまま売ると、まず損をします。

なぜか。判断する力が、一番落ちているときだからです。悲しみと疲れの中で、「面倒なことを早く終わらせたい」という気持ちが先に立ち、最初に来た業者の言い値で、ぽんと売ってしまう。後から「もっと高く売れたのに」と気づいても、もう戻れません。

私はいつも申し上げます。「相続した家は、四十九日を過ぎて、気持ちが少し落ち着いてから動いてください」と。一か月や二か月で家の値段は大きく動きません。けれど、あなたの判断力は、その一か月で大きく戻ります


2. ローンが払えなくなって、競売間際に追い込まれたとき


これも、見ていてつらいパターンです。

住宅ローンの返済が苦しくなる。最初は「なんとかなる」と思って、誰にも相談せず、ずるずると滞納が続く。気づいたときには、銀行から督促が来て、保証会社が動き出し、「競売」の二文字が目の前に迫っている。

ここまで追い込まれてから売ると、ほぼ確実に安くなります。

競売にかけられた家は、市場の相場より2割から3割安く落札されることが珍しくありません。そうなる前に、銀行と話し合って自分の意思で売る「任意売却」という方法もありますが、これも時間との勝負です。期限が迫っていればいるほど、足元を見られます。

はっきり申し上げます。ローンが苦しいと感じたら、滞納が始まる前に動いてください。一番やってはいけないのは、「恥ずかしいから」「なんとかなると思って」放置することです。早く動けば動くほど、選べる道は多く残っています。


3. 「今が売り時ですよ」の営業トークに乗せられたとき


これは、業界の人間として正直に申し上げます。

「今が売り時です」「今を逃すと値下がりします」「今お決めいただければ」。こういう言葉で背中を押されて、急いで売ってしまう。その「今」は、本当にあなたにとっての売り時でしょうか。

業者にも、業者の都合があります。決算期が近い。今月のノルマがある。早く契約をまとめたい。そういう事情が、「今が売り時です」という言葉の裏に隠れていることが、現実にあります。

私が見てきた中で、本当の売り時は、人によって違います。子供が独立したタイミング、住み替え先が決まったタイミング、税金の特例が使えるタイミング。それは、あなたの人生の事情で決まるものであって、業者の決算月で決まるものではありません。

「今が売り時です」と急かされたら、一度、深呼吸してください。そして「なぜ、今なのですか」と聞いてみてください。きちんと答えられない業者なら、その「今」は、あなたのための今ではありません。


4. 離婚や親族トラブルで「とにかく早く手放したい」と思ったとき


これも、感情が判断を狂わせるタイミングです。

離婚で家を処分する。兄弟で相続争いになって、もう関わりたくない。そういうとき、人は「とにかく早く、きれいさっぱり手放したい」と思います。お金よりも、その関係から早く抜け出したい、という気持ちが先に立ちます。

その気持ちは、よく分かります。けれど、それを業者に見抜かれた瞬間、値段は下がります

「ご事情がおありなんですね、それなら早くまとめましょう」。一見、親切な言葉です。けれど、急いでいる売主は、買い叩く絶好の相手です。「期限がある」「揉めている」「早く手放したい」、こういう事情が相手に伝わるほど、強気の値段交渉ができなくなります。

感情で売ると、必ず後悔します。揉めているときこそ、間に冷静な第三者を入れて、相場をきちんと確かめてから動いてください。


5. 税金の特例の期限を、知らないまま動いてしまうとき


最後に、これは知らないと本当に大きく損をする話です。

不動産を売って利益が出ると、譲渡所得税という税金がかかります。ところが、この税金には、知っているか知らないかで何百万円も変わる「特例」と「期限」があります。

たとえば、相続した空き家を売る場合。一定の条件を満たせば、利益から3,000万円を差し引ける特別控除があります。けれど、これには期限があります。「相続が始まった日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで」に売らないと、使えません。これを知らずに4年放置して、控除を取り逃した方を、私は何人も見てきました。

自分が住んでいた家を売る場合にも、3,000万円の特別控除があります。

それから、所有していた期間によって税率が大きく変わります。売った年の1月1日の時点で、所有期間が5年を超えていれば「長期譲渡」で税率はおよそ20%5年以下だと「短期譲渡」でおよそ39%です。つまり、あと数か月待って「5年超」になってから売れば、税金が半分近くになる、ということが起こり得ます。

これを知らずに、5年になる少し手前で慌てて売ってしまう。これも、やってはいけないタイミングです。

ただし、税金の話は一人ひとり事情が違いますし、制度も変わります。実際に売る前には、必ず税務署か税理士に確認してください。「売る前のひと手間」が、何百万円も守ります


業界の裏側を、少し明かします


ここからは、聞きたくないかもしれない話です。

私たち不動産業者は、売主と話して数分で、「この人は急いでいるか、急いでいないか」を見抜きます。言葉の端々、表情、相談に来た時間帯、口に出してしまった事情。そういうものから、「この人は早く売りたがっている」と分かると、正直に申し上げて、強気の査定は出しにくくなります。

買取業者は、もっとはっきりしています。「相続で困っている」「離婚で急いでいる」「ローンが厳しい」、こういう事情を聞き出すための質問を、最初にさりげなくしてきます。事情が深いほど、買取価格は下がります。これは、意地悪でそうしているのではなく、「急いでいる人は安くても売る」ということを、商売として知っているからです。

だからこそ、売主が一番強いのは、「焦っていないとき」「期限がないとき」です。この立場で交渉に臨めるかどうかで、最終的な手取りは何百万円も変わります。


実際にあった話を一つ


神戸市北区にお住まいだったDさん(当時68歳)の話です。

Dさんは、藤原台のご実家を相続されました。お母様が長く一人で住んでおられた、築40年ほどの一戸建てです。お母様が亡くなって、葬儀やら手続きやらで疲れ切っていたDさんは、四十九日が済んだ頃、「もう、早く売って楽になりたい」と思われました。

ちょうどそのとき、ポストに「空き家、高価買取します」というチラシが入っていました。Dさんは、そこに電話をしました。来た業者は「相続のお家ですか、それは大変でしたね。すぐに買い取れますよ」と、とても親切でした。提示された金額は1,750万円。Dさんは「これで肩の荷が下りる」と、ほっとして、その場で話を進めようとされました。

幸い、契約の前に、ご近所の方から「一度、地元の不動産屋にも見てもらったら」と勧められて、私のところに相談に来られました。

私が現地を見て、近隣の成約事例を調べたところ、その家と土地は、普通に売り出せば2,400万円から2,500万円で売れる見込みでした。買取業者の提示額は、相場のおよそ7割だったのです。

私はDさんにこう申し上げました。「Dさん、今すぐ現金が必要で、どうしても急ぐ事情があるなら、買取も一つの道です。でも、もし数か月待てるなら、普通に売り出しましょう。600万円以上、変わるかもしれません」と。

Dさんは、少し考えて、急ぐ事情はないことに気づかれました。結局、仲介で売り出して、3か月後に2,420万円で売れました。最初の買取価格より、670万円多い手取りです。

後でDさんは、こうおっしゃいました。「あのとき疲れていて、早く終わらせたい一心だった。一本の電話を踏みとどまって、本当に良かった」と。一か月か二か月、心を落ち着けただけで、670万円。これが「タイミング」の重みです。


デメリットも、正直に書きます


ここまで「焦って売るな」「追い込まれて売るな」と申し上げてきました。けれど、「では、いつまでも待てばいいのか」というと、それも違います。

家や土地は、持っているだけでお金がかかります。

  • 固定資産税が毎年かかる
  • 空き家のままだと、傷みが早く進む
  • 庭木の手入れ、雨漏りの修繕、近所への気遣いが続く
  • あまりに管理が悪いと「特定空き家」に指定され、固定資産税が跳ね上がることもある

つまり、「焦って売る」のも損ですが、「だらだら放置する」のも、また損なのです。空き家を10年放置している間に、家が傷み、相場が下がり、結局二束三文になった、という例も、私は何度も見てきました。

正しいのは、「焦らず、でも放置せず」です。気持ちが落ち着いたら、期限や税金を確かめて、計画的に動く。これが一番、損のない売り方です。

それと、もう一つ正直に申し上げます。私のような仲介業者にとって、「すぐ売りたい」「いくらでもいいから手放したい」というお客様は、実は、手間のかからない楽な仕事です。黙って買取業者につなげば、それで終わります。それでも今日こうしてお話ししているのは、「焦り」につけ込まれて何百万円も損をされる方を、50年で数え切れないほど見てきたからです。


まとめます


もう一度、結論を繰り返します。

売却で絶対にやってはいけないのは、「気持ちが追い込まれているとき」「期限に追われているとき」「他人の都合に乗せられたとき」に売ることです。

家の値段を下げるのは、相場ではなく、売主の焦りです。これは断言できます。

売る前に、こう自分に問いかけてください。

  • 私は今、冷静に判断できる気持ちでいるか
  • 何かに追い立てられて、焦っていないか
  • 税金の特例や期限を、確かめたか
  • 「今が売り時」という言葉を、誰の都合で言われているか

この四つを思い出すだけで、あなたの手取りは、大きく変わります。


最後に、これだけは申し上げたい


私は、神戸市北区・西宮北部・三田で、家や土地を売る方を、50年見てきました。焦って安く手放して泣いた人も、心を落ち着けて待って得をした人も、両方見てきました。

相続した実家をどうしようか迷っている方、ローンが少し苦しくなってきた方、離婚や事情で家を処分しなければならない方、「今が売り時」と言われて迷っている方、どうぞ、慌てて契約書に判を押す前に、一度、私にお声がけください。

今が本当に売り時なのか、もう少し待った方がいいのか、税金の特例は使えるのか。値段を急かすことはいたしません。まず、あなたの事情と気持ちをうかがいます。

お電話一本でも、お店に立ち寄っていただくだけでも、構いません。50年の現場が、あなたが損をしないための、ひと呼吸のお手伝いになるなら、私にとってこれほど嬉しいことはありません。

センチュリー21・ハートピア
田中章雄

ページの上部へ