カテゴリ:あきちゃんの不動産お役立ち情報 / 投稿日付:2026/05/08 09:39
こんにちは。神戸市北区で50年、不動産屋をやっております田中章雄、通称あきちゃんです。
今日は、私が50年この仕事をやってきた中で、いちばん多くご相談を受けてきたテーマについてお話しします。「家を、今、売るべきでしょうか」、ご相談に来られる方の8割が、この質問をされます。
はっきり申し上げます。これに「今がチャンスです、売りましょう」と即答する不動産屋は、信用しないでください。
50年やってきて分かったことがあります。家の売り時は、市況だけで決まるものではありません。その人の年齢、家族構成、ローンの残債、税制の節目、そして何より「次にどこで暮らすのか」という人生の青写真。これら全部が揃って、初めて「今です」と申し上げられるのです。
結論から申し上げます
これは断言できます。
今売るべき人は、「相続した空き家を抱えていて、相続から3年以内の人」「住み替え先が決まっている人」「築35年を超えて、修繕費が重くのしかかってきた人」、この3タイプです。
絶対に売ってはいけない人は、「ローン残債が今の市場価格を上回っている人」「家族の合意が取れていない人」「『なんとなく不安だから』という気持ちだけで動こうとしている人」、この3タイプです。
順番に、なぜそうなのかをお話しします。
1. 今売るべき人 ― 相続した空き家を抱えていて、3年以内の人
相続した実家を「いつか売ろう、いつか売ろう」と言いながら、5年、10年と寝かせている方が、神戸市北区にも本当に多いのです。
これは絶対にやめてください。
理由は3つあります。
- 固定資産税が毎年かかります
- 建物の劣化が想像以上に早く進みます
- 相続空き家3000万円特別控除の期限が切れます
北区の戸建てだと、固定資産税は土地建物で年間10万円から15万円。10年寝かせれば、それだけで100万円以上が消えていきます。
人が住まない家は、3年で雨漏り、5年で外壁が傷み、10年経てば建物価値はほぼゼロです。これは50年見てきて、間違いありません。
そして一番大きいのが、相続空き家3000万円特別控除の期限です。これは相続した日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すれば、譲渡所得から最大3000万円を控除できる制度です。これを使えば、本来400万円から500万円かかる税金がゼロになるケースが多い。3年を1日でも過ぎたら、もう使えません。
私のお客様で、Aさん(72歳)というご婦人がおられました。神戸市北区藤原台の実家を相続されて、「もう少し様子を見ます、姉妹と話し合いがついていないので」とおっしゃって、5年寝かせられました。
結局売れた金額は、相続時の査定から280万円下がっていました。固定資産税が5年で65万円。3000万円控除も使えませんでしたから、譲渡所得税で約200万円。トータルで500万円以上のロスです。
「もう少し様子を見る」が、いちばん高くつくのです。
2. 今売るべき人 ― 住み替え先が決まっている人
これは当たり前のようでいて、実は逆をやってしまう方が多いのです。
「先に今の家を売ってから、次を探します」、気持ちは分かります。けれど、私はおすすめしません。
理由はシンプルです。先に売ってしまうと、売却金が手元に入った瞬間から、次を「焦って」探すことになるからです。
賃貸の仮住まいに移れば、毎月10万円から15万円が出ていきます。半年で60万円から90万円が消えます。この焦りが、次の購入で大失敗を生みます。
逆に、住み替え先がもう決まっている方、たとえばご両親と同居が決まった、お子様家族の家の隣に建てることになった、こういう方は、今すぐ動いていただいて結構です。
「次が決まっている」というのは、最強のカードです。なぜなら、売り急ぐ必要がないので、強気の価格で売れるからです。
3. 今売るべき人 ― 築35年を超えて、修繕費が重くなってきた人
ここは正直な話をします。築35年を超えると、外壁、屋根、給湯器、配管、すべての設備が一斉に寿命を迎えます。
外壁塗装で150万円。屋根の葺き替えで200万円。給湯器交換で30万円。トータル400万円近い出費が、5年以内に必ずやってきます。
ここで「あと5年住むのか、今売るのか」を真剣に考えてください。あと5年で売るつもりなら、400万円の修繕費はほぼ回収できません。今のうちに「現状渡し」で売却したほうが、手取りは多くなります。
これも50年やってきて分かったことです。「家にお金をかけてから売る」と、ほぼ間違いなく損をします。
4. 絶対に売ってはいけない人 ― ローン残債が市場価格を上回っている人
これは「オーバーローン」と業界で呼ばれる状態です。
たとえば、ローン残債が2,500万円、今売っても2,200万円にしかならない。差額300万円を、自己資金で穴埋めしないと売却できません。
この状態の方が「転勤になったから売らないと」「離婚するから売らないと」と焦って動かれることがあります。気持ちは分かります。でも、ここで一歩立ち止まってください。
300万円を持ち出して売るくらいなら、賃貸に出して家賃でローンを払う、という選択肢があります。
私がお預かりした事例をお話しします。Bさんご夫婦(58歳と55歳)、三田の戸建て。ご主人の転勤で、急いで売りたいとご相談に来られました。
査定をしたところ、市場価格2,250万円、ローン残債2,800万円。差額550万円のオーバーローン状態です。
私ははっきり申し上げました。「今、売ってはいけません」。
代わりに、賃貸に出すご提案をしました。家賃13万円、ローン返済10万円、管理費・固定資産税で月2万円。月1万円の黒字で回り始めました。
3年後、ローンが完済間近になったタイミングで、ご相談者様のご希望で売却。最終的には市場が少し戻り、2,400万円で成約。賃貸期間中の収支も合わせて、当初の「焦って売る」プランより約700万円多く手元に残りました。
「売る」だけが選択肢ではないのです。
5. 絶対に売ってはいけない人 ― 家族の合意が取れていない人
これは精神論ではなく、実務の話です。
ご夫婦のどちらかだけ、あるいは兄弟姉妹のうち1人だけが「売る気」になっていて、他のご家族が「待ってほしい」と言っている状態。これで売却を進めると、必ず途中で揉めます。
媒介契約を結んで、広告を打って、買主が見つかって、契約書を作る段階で「やっぱり待ってくれ」となる。買主に違約金を払うことになる。家族関係も壊れる。
私は50年で、この手の揉め事を100件以上見てきました。
順番を絶対に間違えないでください。先に家族会議です。次に査定です。
6. 絶対に売ってはいけない人 ― 「なんとなく不安」で動こうとしている人
「金利が上がりそうだから今のうちに」「来年は値下がりしそうだから」、こういう抽象的な理由だけで売却を決められる方がおられます。
これは一番危険です。
不動産は、確かに相場が動く商品です。でも、相場が動くのは年に5%程度。一方、売却にかかる諸費用は仲介手数料3%、登記費用、譲渡所得税、引越し代、トータルで売却額の8%から10%が消えます。
「来年5%下がりそう」だから今売る、という判断は、コストを考えると合いません。
売却は、市況ではなく「人生の節目」で決めるものです。相続、住み替え、修繕タイミング。この3つが揃っていないなら、慌てて動かないでください。
業界の裏側を申し上げます
ここから先は、不動産屋さんに嫌われる話をします。
業界では「今が売り時です」というセリフを、多くの営業マンが何の根拠もなく使います。なぜか。媒介契約を取りたいからです。彼らは、その家が「実際に今売るべきかどうか」ではなく、「自分の今月の数字になるかどうか」で動いています。
もう一つ、「高預かり」という業界用語があります。
査定書に、市場価格より明らかに高い金額を書いてくる業者がいます。たとえば本当は2,500万円でしか売れない物件に、3,200万円という査定を出す。売主は「あの会社のほうが高く売ってくれそう」と媒介を任せてしまう。
でも、実際には3,200万円では一切売れません。3か月後に「市場の反応が悪いので2,800万円に下げましょう」、半年後に「2,500万円に下げましょう」、と段階的に下げられます。
この間、物件は「市場で長く売れ残った物件」というレッテルが貼られて、本来の価格よりさらに安く買い叩かれます。
査定金額が周りより極端に高い業者を信じてはいけません。これは業界の常識です。
デメリットも正直に申し上げます
売却を勧めるからには、デメリットも全部お話しします。
売却には、仲介手数料3%(物件価格3,000万円なら約105万円)、譲渡所得税(条件次第で200万から500万円)、登記抹消費用(2万円から5万円)、引越し費用(20万円から50万円)、これらが必ずかかります。トータルで売却額の8%から10%が消えます。
家を売れば、思い出も無くなります。これは数字に表れない話ですが、決して軽くはありません。お子様が育った家、ご両親が建てた実家。売ってから「やっぱり残しておけばよかった」と泣かれる方を、私は何人も見てきました。
賃貸に出すという選択肢も、必ず一度は検討してください。空室リスクや管理の手間はありますが、ローン残債が大きい方には、売却より賃貸のほうが手取りが大きくなるケースが本当に多いのです。
まとめ
もう一度、結論を申し上げます。
今売るべき人は、「相続した空き家を抱えていて、3年以内の人」「住み替え先が決まっている人」「築35年を超えて修繕費が重い人」、この3タイプです。
絶対に売ってはいけない人は、「ローン残債が市場価格を上回っている人」「家族の合意が取れていない人」「『なんとなく不安』だけで動こうとしている人」、この3タイプです。
50年やってきて分かったことがあります。家の売り時は、相場ではなく、「人生の節目」で決まります。市況に振り回されないでください。あなたのご状況を一番よく知っているのは、あなたご自身です。
最後に、これだけは申し上げたい
「今売るべきか、待つべきか」、これは1人で考えるテーマではありません。
ご家族と話し、信頼できる不動産屋に率直に相談し、税理士や司法書士のご意見も聞いて、初めて答えが出ます。
私のところには、神戸市北区・西宮北部・三田エリアで、相続、売却、住み替えのご相談が毎日入ってきます。「売る」「売らない」のどちらの結論であっても、お客様にとって最善の道筋をご一緒に考えます。
査定だけのご相談、賃貸転用のご相談、相続空き家3000万円控除のご相談、すべて無料でお受けしています。
「もう少し様子を見ようか」、その「もう少し」が、5年後に大きな後悔になることもあります。逆に、「今だ」と勢いで動いて、後悔される方も大勢見てきました。
だからこそ、まずは一度、ご相談ください。あなたのご状況を一緒に整理させてください。
センチュリー21・ハートピア
田中章雄


