ホーム  >  あきちゃんの不動産お役立ちコラム  >  あきちゃんの不動産お役立ち情報  >  太陽光やオール電化の家を売るとき

太陽光やオール電化の家を売るとき
カテゴリ:あきちゃんの不動産お役立ち情報  / 投稿日付:2026/09/28 07:32

こんにちは。神戸市北区で50年、不動産屋をやっております田中章雄、通称あきちゃんです。

今日は、屋根に太陽光パネルを載せた家や、オール電化の家を売るときに、その設備が値段にどう響くのかをお話しします。

taiyoukou

ここ15年ほどで、北区でも太陽光を載せた家がずいぶん増えました。

藤原台、鈴蘭台、岡場、道場のあたりを車で走ると、南向きの屋根に青いパネルが並んでいる家をよく見かけます。

そして最近、そういう家の売却相談が本当に増えてきました。

「パネルに200万円かけたんやから、その分は上乗せで売れますよね」

「オール電化やから光熱費が安い。これは売りになるでしょう」

お気持ちはよく分かります。けれど、ここで一歩立ち止まってください。


結論から申し上げます


太陽光もオール電化も、かけたお金がそのまま売値に乗ることは、まずありません。

値段に反映されるのは、「書類がそろっている」「残りの寿命が見える」「次の人がそのまま使える」の3つがそろったときだけです。

逆に言えば、この3つが欠けていると、設備があるのに値段が上がらないどころか、値引きの理由にされることさえあります。

50年やってきて分かったことがあります。設備の値打ちを決めるのは、設備そのものではなく、「説明できるかどうか」です。


1. 買う人は「中古住宅の相場」で家を探している


まず知っておいていただきたいのは、買主さんがどうやって家を探しているかです。

ほとんどの方は、「北区」「3,000万円以内」「4LDK」「駐車2台」といった条件で検索します。

「太陽光付き」で探す人は、正直なところ、ほとんどいません。

ですから、周りの似た家が2,000万円前後で売られている町内で、太陽光の分を上乗せして2,300万円で出すと、そもそも検索の段階ではじかれてしまいます。

設備は「同じ値段なら、こっちの方がええな」と選ばれる決め手にはなります。

けれど、「相場より高くても買う理由」にはなりにくい。これが現実です。


2. 設備には寿命がある


家は建物として評価されますが、設備は家電に近いものです。

年数がたてば、確実に価値が下がり、いずれ交換の時期がきます。

私が現場で見てきた目安では、

  • パワーコンディショナー(太陽光の電気を家庭用に変える機械)は10年から15年で交換、費用は20万円から30万円ほど
  • エコキュート(電気でお湯をわかす機械)は10年から15年で交換、費用は40万円から60万円ほど
  • IHの調理器は10年から15年で不調が出やすく、交換で15万円前後

もちろんメーカーや使い方で差はありますが、築15年の家なら、こうした機械はそろそろ交換の時期に入っています。

買主さんの側からすると、「買ってすぐ100万円近い出費があるかもしれない家」に見えるわけです。


3. 売電の優遇は「10年」で終わる


住宅用の太陽光は、国の制度で、設置してから10年間は決まった値段で電気を買い取ってもらえます。

早い時期に付けた方は、1キロワット時あたり40円台という高い単価で売電してこられました。

ところが、この10年が過ぎると、買取の単価はぐっと下がります。

電力会社や契約にもよりますが、1キロワット時あたり10円を切ることも珍しくありません。

つまり、「毎月の売電が1万5千円ありました」という実績は、これから買う人にとっては、もう当てはまらないことが多いのです。

ここを正直に説明せずに、昔の売電額だけを見せて売ろうとすると、あとでもめる原因になります。


4. パネルが「自分のもの」とは限らない


これが一番やっかいな話です。

太陽光には、自分でお金を出して付けたもののほかに、

  • リース契約で付けたもの
  • 「0円ソーラー」と呼ばれる、業者が持ち主のまま屋根を借りる形のもの
  • 専用のローンを組んで付けて、まだ返済が残っているもの

があります。

この場合、パネルの持ち主は業者だったり、ローンの担保が付いていたりして、家を売るときに「そのまま次の人へ」というわけにはいきません。

契約の引き継ぎ、解約金、残りのローンの一括返済。どれもお金と手間がかかります。


5. 書類がないと、値打ちを説明できない


最後が書類です。

設置したときの契約書、メーカーの保証書、発電量や売電の記録、点検の記録。

これがあれば、「平成何年に何キロワットを載せて、毎年これだけ発電していて、保証があと何年残っている」と、買主さんに数字で説明できます。

これがないと、どれだけ立派な設備でも「よう分からん機械が屋根に載っている家」になってしまいます。


6. 実際にあったお話


藤原台にお住まいだったAさん(72歳)のご相談です。

築16年の一戸建てで、新築から2年目に4.5キロワットの太陽光を載せておられました。設置費用は約230万円。

Aさんのご希望は、「近所の相場が2,100万円前後なら、太陽光の分で2,380万円で売りたい」というものでした。

私は「上乗せは難しいと思います」とお伝えしたのですが、「一度試してみたい」とおっしゃる。

そこで3か月だけという約束で、2,380万円で出してみました。

結果は、内覧が2組だけ。

2組とも「太陽光はありがたいけど、この値段なら他も見たい」という反応でした。

ここでAさんと相談し直しました。

幸いAさんは几帳面な方で、設置時の契約書、メーカー保証書、それに毎月の検針票を16年分、ファイルに綴じて保管しておられました。

パネルの保証が5年ほど残っていること、パワーコンディショナーは3年前に交換済みであることも、書類で確認できました。

そこで、売り出し価格を2,180万円に改め、「設備の記録つき」「機械は交換済み」とはっきり打ち出しました。

1か月半で成約です。

近所の同じような条件の家より、約80万円高い値段でした。

230万円かけたものが、値段としては80万円ぶん。

Aさんは最初、少し残念そうでした。けれど、「16年間、電気代と売電で元はほぼ取れていますからね」とお伝えすると、「それもそうやな」と笑っておられました。

これは断言できます。太陽光の元は「住んでいる間」に取るものです。売るときに回収しようと考えると、たいてい当てが外れます。

もう一つ、うまくいかなかった例です。

鈴蘭台のBさんご夫婦(60代)は、12年前に「0円ソーラー」で太陽光を載せておられました。

初期費用なしで付けられる代わりに、パネルは業者の持ち物で、契約期間は20年。残りはまだ8年ありました。

家は2,450万円で買主さんが見つかりかけたのですが、契約書を確認すると、家を売る場合は買主さんに契約を引き継いでもらうか、解約金を払うかのどちらかと書いてありました。

買主さんは「よその会社の機械が屋根に載ったまま、あと8年も契約に縛られるのは嫌です」とおっしゃる。

結局、Bさんご夫婦が解約金として約90万円を支払うことになりました。

はっきり申し上げます。0円ソーラーやリースは、「売るつもりがない家」なら良い面もあります。けれど、いずれ売るかもしれない家では、売るときの足かせになることが多いのです。

最後にもう一つ。

岡場のCさん(56歳)は、亡くなられたお母様(享年84歳)の家を相続されました。築22年のオール電化の家です。

問題はエコキュートでした。設置から18年たっており、お湯の温度が安定しない状態。

買主さんの側で見積もりを取ったところ、交換に約55万円。

「その分は引いてください」と言われ、2,050万円の話が1,990万円まで下がりました。

もし売り出す前に交換していれば、55万円はかかりますが、「給湯器交換済み」と言える分、値段交渉の余地を減らせたかもしれません。

ただ、交換しても55万円分まるごと値段に乗るとは限りません。ここは家ごとに見極めが必要なところです。


7. 業界の裏側


一つ目は、「設備込みで高く査定する」会社です。

「太陽光付きですから2,400万円はいけますよ」と、相場より高い査定額を出して媒介契約を取り、売れ残ったところで「値下げしましょう」と言ってくる。

業界では「高預かり」と呼ばれるやり方です。設備の話は、この高預かりの口実に使われやすいのです。

二つ目は、買取業者の査定です。

買取業者は、太陽光やエコキュートを、ほとんど値段に入れません。

それどころか、「古いパネルは撤去に30万円かかりますから」と、マイナスの材料として持ち出してくることがあります。

実際には撤去せずにそのまま再販することも多いのに、です。

三つ目は、説明の手抜きです。

売電の名義変更、国への届け出、パネルの持ち主の確認。こうした手続きは手間がかかるので、きちんと調べずに契約まで進めてしまう業者がいます。

あとから「リースやったなんて聞いてない」と買主さんともめるのは、結局、売主さんです。

売主さんからも買主さんからも手数料をもらう「両手取引」を狙っている業者ほど、早く話をまとめたいので、こうした面倒な話を後回しにしがちです。


8. デメリットも正直に申し上げます


太陽光の家には、屋根の心配があります。

パネルを固定するために屋根に穴を開けている場合、施工が悪いと雨漏りの原因になります。

買主さんが住宅診断(インスペクション)を入れると、ここを細かく見られます。

また、将来パネルを外すときには、撤去と処分に20万円から40万円ほどかかることもあります。

「いらない」と感じる買主さんにとっては、ただの負担に見えるわけです。

オール電化は、停電のときにお湯も料理も止まってしまうことを気にされる方がいます。

ガスの火で料理をしたい方には、IHそのものが敬遠されることもあります。

それから手続きの手間です。

売電を続けるには、国への届け出と電力会社との契約の名義変更が必要です。売主さん、買主さんの双方で書類をそろえる必要があり、数か月かかることもあります。


まとめ


もう一度申し上げます。

太陽光もオール電化も、かけたお金がそのまま売値に乗ることは、まずありません。

値段に反映されるのは、書類がそろっていて、残りの寿命が見えて、次の人がそのまま使える場合だけです。

ですから、売ろうと思ったら、まずこれを探してください。

  • 設置したときの契約書
  • メーカーの保証書
  • 発電や売電の記録(検針票でかまいません)
  • 点検や交換の記録
  • リースやローンの契約書(ある方だけ)

これがそろうだけで、同じ設備でも見え方がまるで変わります。

そして、パネルの持ち主が誰なのか、ローンが残っていないか。これだけは売り出す前に必ず確認してください。


最後に、これだけは申し上げたい


設備の値打ちは、家ごとにまったく違います。

交換してから売った方がいい家もあれば、そのまま正直に説明して売った方がいい家もあります。

「うちの太陽光、どう扱ったらええんやろう」と思われたら、書類をお持ちになって、気軽にご相談ください。

一緒に書類を見ながら、損をしない売り方を考えさせていただきます。

センチュリー21・ハートピア
田中章雄

ページの上部へ