カテゴリ:あきちゃんの不動産お役立ち情報 / 投稿日付:2026/07/18 06:25
こんにちは。神戸市北区で50年、不動産屋をやっております田中章雄、通称あきちゃんです。
今日は、私が50年この仕事をやってきた中で、一番「もったいない」と思ってきた話をします。相続で、仲の良かった兄弟姉妹が壊れていく話です。
相続でもめる家というのは、実はお金持ちの家だけではありません。むしろ、普通の家庭のほうがもめます。
不動産が一軒あって、それを兄弟で分ける。ただそれだけのことで、なぜあんなに人が変わってしまうのか。50年見てきて、私にはもう理由が分かっています。
ここで一歩、立ち止まってください。今日の話は、あなたのご家庭にも必ず関係があります。
結論から申し上げます
相続トラブルは、相続が始まってから防ぐものではありません。
親が元気なうちに、たった3つのことをやっておくだけで、ほとんどのもめごとは消えます。それは、財産を全部見える形にすること、誰が何を継ぐか先に決めておくこと、そして遺言を残しておくことです。
この3つをやらなかった家が、私の目の前で何十軒と壊れていきました。
1. なぜ「普通の家」ほどもめるのか
はっきり申し上げます。もめる一番の原因は、財産の中身が「家一軒」だからです。
現金なら、3人兄弟で三等分すればいい。きれいに割れます。ところが、財産が実家一軒だと、そうはいきません。
家は真っ二つに切れないのです。
長男が「俺が住むから家をもらう」と言えば、次男と三男は何をもらうのか。家の値段が3000万円だとして、長男が家をもらうなら、次男と三男に1000万円ずつ現金を渡さないと不公平になります。
でも、長男にそんな現金はない。だから「家をもらう代わりに、お前たちには悪いが現金は勘弁してくれ」となる。ここで、もめるのです。
現金が少なくて、不動産が財産の大半を占めている家。これが一番危ない。日本の普通の家庭は、たいていこの形です。
2. 私が見てきた、壊れた兄弟の話
実例を一つ、お話しします。
神戸市北区にお住まいだったAさん(享年83)のご家庭です。お父さんが亡くなって、残ったのは築40年の一戸建てと、わずかな預金だけでした。
子どもは3人。長男のBさん(58)、次男のCさん(55)、長女のDさん(52)です。3人とも、若い頃は本当に仲の良い兄弟でした。
問題は、遺言が一枚もなかったことです。
長男のBさんは、親の介護を10年間、一人で背負ってきました。だから「俺が家をもらって当然だ」と思っていた。ところが妹のDさんは「法律では3人とも同じ権利のはず。私にも3分の1ください」と言い出したのです。
Bさんからすれば、10年間おむつを替えてきた自分と、盆と正月に顔を出すだけだった妹が、同じ取り分というのは納得できない。
Dさんからすれば、法律で決まった権利を主張しているだけ。
どちらも間違っていないのです。だから、余計にこじれました。
結局、家庭裁判所の調停まで進み、2年かかりました。家は売らざるを得なくなり、売れたお金を3人で分けて終わりです。その後、3人は一度も口をきいていません。
親御さんが「うちの子たちは仲がいいから大丈夫」と言っていた、あのご家庭の話です。
3. たった3つで、9割は防げる
これは断言できます。相続のもめごとの9割は、親が元気なうちの「準備」で消せます。
やることは3つだけです。
一つ目。財産を全部、紙に書き出しておくこと。
どこにいくら預金があるか、不動産はどこにあるか、借金はないか。これを一枚の紙にまとめておくだけで、相続が始まったときの混乱が半分になります。
亡くなってから「あれ、この土地、誰も知らなかった」というのが一番もめます。
二つ目。誰が何を継ぐか、家族で先に話しておくこと。
親が生きているうちに、家族全員で一度、テーブルを囲んで話す。「この家は誰が継ぐのか」「継がないなら売るのか」。これを親の口から言ってもらうのです。
死んでから子どもだけで決めようとするから、もめる。親が生きているうちなら、みんな親の前では強く出られません。
三つ目。遺言を残しておくこと。
これが一番効きます。「家は長男に、預金は次男と長女に」と、親がはっきり書いておく。それだけで、裁判になる家はほとんどなくなります。
4. 業界の裏側と、正直な話
ここで、業界の裏の話もしておきます。
相続が発生すると、不動産会社は一斉に群がってきます。「相続したご実家、すぐ売りましょう」と。悲しみに暮れているご遺族に、間髪入れずに営業をかけてくる会社があります。
なぜか。相続直後は、相続人が疲れ切っていて、判断力が落ちているからです。「早く楽になりたい」という気持ちにつけ込んで、相場より安い価格で買取に持っていく。これがよくある手口です。
はっきり申し上げます。相続した不動産を、慌てて売る必要はありません。
四十九日が終わるまでは、まず動かなくていい。落ち着いてから、複数の会社に査定を出せばいいのです。
それから、遺言について一つ正直に言っておきます。遺言があっても万能ではありません。「遺留分」といって、法律で最低限保証された取り分があります。遺言で長男に全部渡すと書いても、他の兄弟が請求すれば、一定額は渡さなければなりません。
だから遺言を書くときは、この遺留分を計算に入れて、他の兄弟にも最低限は残す形にしておく。ここまでやって、初めて完璧です。
5. デメリットも正直に書きます
いいことばかり言うつもりはありません。
生前に「誰が家を継ぐか」を話し合うのは、正直、しんどいです。
親に「死んだ後の話」をするのは、気が引けます。「縁起でもない」と怒られることもあります。兄弟の間でも、お金の話をした瞬間に空気が悪くなる。これは事実です。
遺言を書くのにも、公正証書にすればお金がかかります。数万円から、財産額によっては十数万円。専門家に頼めば、さらに費用が乗ります。
でも、考えてみてください。この数万円をケチったせいで、裁判に2年かかり、兄弟が一生口をきかなくなる。どちらが高くつくか。
私は、答えははっきりしていると思います。
まとめ
50年やってきて分かったことがあります。
相続でもめるかどうかは、財産の額では決まりません。準備をしたかどうかで決まります。
財産を全部見える形にする。誰が何を継ぐか先に話す。遺言を残す。この3つを、親が元気なうちにやっておく。
たったこれだけで、あなたのご家庭は、Aさんの兄弟のようにはなりません。
最後に、これだけは申し上げたい
相続の相談は、親御さんが元気なうちに来ていただくのが一番です。
亡くなってからでは、できることが限られてしまいます。生きているうちなら、打てる手はいくらでもあるのです。
「うちはもめないから大丈夫」と思っているご家庭ほど、一度、話を聞かせてください。私は売るための相談ではなく、あなたのご家族が壊れないための相談に乗ります。50年、神戸市北区でそれをやってきました。
どうぞ、お気軽にお声がけください。
センチュリー21・ハートピア
田中章雄


