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相続した家を貸すか売るか
カテゴリ:あきちゃんの不動産お役立ち情報  / 投稿日付:2026/07/11 05:29

こんにちは。神戸市北区で50年、不動産屋をやっております田中章雄、通称あきちゃんです。

今日は、相続のご相談で一番多い質問、「相続した家を貸すか、売るか」についてお話しします。

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親御さんが亡くなって実家を相続した。自分たちはもう別の場所に家がある。さて、この家をどうするか。

「思い出のある家やから、売るのは忍びない。貸せば家賃も入るし、いつか子どもが使うかもしれん」

そう考える方が、実に多いのです。

その気持ち、痛いほど分かります。けれど、ここで一歩立ち止まってください。

答えを間違えて、数百万円損をした方を、私は50年間で何人も見てきました。


結論から申し上げます


迷ったら、売る。これが50年やってきた私の結論です。

はっきり申し上げます。相続した家を貸してうまくいくのは、条件が揃った一部の家だけです。

その条件とは、

  • 駅から徒歩10分以内
  • 築25年より浅い
  • 大きな傷みがない

この3つです。揃っていない家を貸すのは、私はお勧めしません。

なぜそう言い切れるのか。理由を順番にお話しします。


1. 貸す前に、まずお金が出ていきます


親御さんが住んでいた家は、たいてい築40年前後です。そのまま貸せることは、まずありません。

壁紙の張り替え、水回りの交換、畳の入れ替え。人に貸せる状態にするだけで200万円から300万円かかるのが普通です。

給湯器が古ければプラス20万円。屋根や外壁に手を入れれば、あっという間に400万円を超えます。

家賃が入る前に、まず大きなお金が出ていく。これが賃貸の入り口です。


2. 家賃で回収できるとは限りません


神戸市北区の築40年の戸建なら、家賃は月7万円前後がいいところです。

年間で84万円。ここから固定資産税、火災保険、管理料、修繕費を引くと、手元に残るのは年間60万円ほどです。

先ほどの改装費300万円を回収するのに、5年かかる計算になります。

しかも、この5年間ずっと入居者がいればの話です。

空室になれば収入はゼロ。その間も税金と維持費は出ていきます。


3. 大家業は「不労所得」ではありません


貸せば家賃が勝手に入ってくる。そう思っている方が多いのですが、大家は仕事です

雨漏りの連絡は夜中でも来ます。給湯器が壊れたら即日対応です。退去のたびに敷金の精算と原状回復で、10万円、20万円と飛んでいきます。

70歳を過ぎてから初めて大家業を始めるのは、正直、しんどいですよ。


4. 一度貸すと、売りにくくなります


これは覚えておいてください。日本の法律では、借主は強く守られています。

一度貸したら、大家の都合で「出て行ってください」とは言えません。

入居者がいるまま売る方法もありますが、これは「オーナーチェンジ」といって、相場より2割から3割安くなります。

2,000万円で売れたはずの家が、1,500万円になる。貸すという選択には、この出口の狭さがついて回ります。


5. 税金の特例には期限があります


相続した空き家を売るとき、条件を満たせば譲渡所得から3,000万円を控除できる特例があります。

ただし、この特例は一度でも人に貸すと使えなくなります。売る期限も、相続した日から3年目の年末までです。

貸してから「やっぱり売ろう」と思ったときには、この権利は消えています。


Aさんの失敗と、Bさんの成功


神戸市北区鈴蘭台のAさん(67歳)のお話です。

3年前にお母様が亡くなり、築43年の実家を相続されました。

ある不動産会社に相談したところ、「貸しましょう。家賃収入で年金の足しになりますよ」と勧められた。

Aさんは280万円かけて改装し、月7万5千円で貸し出しました。

ところが2年半で入居者が退去。給湯器の交換に18万円。次の入居者はなかなか決まらず、半年間の空室。

疲れ果てたAさんは、結局売ることにされました。

ここで問題が起きます。賃貸に出したことで、さきほどの3,000万円控除が使えなくなっていたのです。

譲渡所得税でおよそ200万円。最初から売っていれば、払わなくてよかった税金です。

Aさんは私にこう言われました。「最初にあんたに相談しとったら良かったわ」

一方で、うまくいった方もいます。

岡場駅から徒歩9分、築22年の家を相続されたBさんご夫婦。傷みが少なく、改装は60万円で済みました。家賃は月9万8千円。1年待たずに費用を回収し、今も安定して貸せています。

つまり、家の条件次第なのです。

あなたの実家はAさんの家に近いのか、Bさんの家に近いのか。そこを冷静に見てください。


業界の裏側を正直に話します


ここで、業界の裏側もお話ししておきます。

不動産会社に「貸すか売るか」を相談すると、会社によって答えが変わります。

賃貸管理が得意な会社は「貸しましょう」と言います。貸してもらえれば、毎月「家賃の5%」の管理料がずっと入ってくるからです。

売買が得意な会社は「売りましょう」と言います。仲介手数料が入るからです。

「30年一括借り上げ」のサブリースにも注意してください。

契約書には必ず家賃の見直し条項があり、数年ごとに家賃は下がっていきます。30年同じ家賃が保証されるわけではありません。

つまり、あなたが聞いている答えは、あなたのための答えではなく、その会社が儲かる答えかもしれない。

これは断言できます。貸す場合と売る場合、両方の数字を並べて説明してくれる会社だけを信用してください。


売ることにもデメリットはあります


私は「迷ったら売る」と申し上げましたが、売ることのマイナス面も正直に書いておきます。

一度売ったら、二度と取り戻せません。思い出の詰まった家を手放す寂しさは、お金では埋まりません。

希望の値段で売れるとは限りません。北区の築古戸建は、場所によっては1,000万円を切ることもあります。

解体して土地で売る場合は、解体費用が150万円から200万円かかります。

それでも私が売る方を勧めるのは、「持ち続けるコスト」と「貸す手間とリスク」を、皆さんが低く見積もりすぎているからです。


まとめ


もう一度申し上げます。相続した家は、迷ったら売る

貸してよいのは、駅近、築浅、傷みが少ない。この条件が揃った家だけです。

条件が揃わない家を貸すのは、

  • 改装費の持ち出し
  • 空室のリスク
  • 出口の狭さ
  • 税金の特例切れ

この4つを全部引き受けるということです。

そして判断には期限があります。3,000万円控除は相続から3年目の年末まで。悩んでいる間にも、時計は動いています。


最後に、これだけは申し上げたい


相続した家をどうするかは、ご家族の歴史に関わる大きな決断です。

だからこそ、貸した場合と売った場合、両方の数字を並べて、損得を見える形にしてから決めてください。

私でよければ、50年の経験で、あなたの実家がAさんの家に近いのか、Bさんの家に近いのか、正直に申し上げます。

売らせるための査定ではなく、損をさせないための相談です。

どうぞお気軽にお声がけください。

センチュリー21・ハートピア
田中章雄

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