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相続した家はまず何をすべきか
カテゴリ:あきちゃんの不動産お役立ち情報  / 投稿日付:2026/07/01 07:45

こんにちは。神戸市北区で50年、不動産屋をやっております田中章雄、通称あきちゃんです。

今日は、親御さんの家を相続した方が、まず最初に何をすればいいのか、その初動の順番についてお話しします。

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相続というのは、ある日突然やってきます。葬儀が終わって、ひと息ついた頃に、ふと「あの家、どうしよう」と思う。そこからが本当のスタートです。

私のところには、毎年たくさんの相続のご相談が来ます。そして、はっきり申し上げます。最初の一手を間違えて、何百万円も損をした方を、私は50年で何人も見てきました。

ここで一歩立ち止まってください。今日の話は、慌てる前に読んでおいてほしい内容です。


結論から申し上げます


相続した家で最初にすべきことは、「売ること」ではありません。

順番があります。

一番最初は、慌てて不動産屋に電話しないこと。

次に、誰の名義で、相続人が何人いるかを確認すること。

そして、お金にまつわる期限を把握すること。

売るか、貸すか、持ち続けるか。それを決めるのは、一番最後でいいのです。

これは断言できます。順番を守った人は損をしません。順番を飛ばした人が、損をします。


1. 慌てて不動産屋に電話してはいけません


これが一番大事なので、最初に言います。

相続が発生すると、なぜか不動産会社からのDMや電話が増えます。「無料査定します」「すぐ買い取ります」というやつです。

なぜ向こうから来るか、分かりますか。

登記簿は誰でも見られます。名義が変わった家、つまり相続が起きた家は、外から分かるのです。だから相続案件を狙って営業をかけてくる業者がいます。

50年やってきて分かったことがあります。相続直後の、まだ気持ちが落ち着いていない時期は、一番安く買い叩かれる時期です。

「とりあえず査定だけ」のつもりが、向こうのペースに乗せられて、気づけば相場よりずっと安い金額で手放してしまう。そういう方を、私は何度も見ています。

まず、深呼吸してください。家は逃げません。


2. 名義と相続人を確認してください


次にやることは、その家が「誰のものになるか」をはっきりさせることです。

亡くなった方の名義のままでは、家は売れません。貸すこともできません。

ここで確認することは三つです。

  • 亡くなった方の名義になっているか
  • 相続人は全部で何人いるか
  • 遺言書があるかどうか

兄弟が3人いれば、その家は3人の共有財産です。一人の判断だけでは動かせません。ここを曖昧にしたまま話を進めると、後で必ずもめます。


3. 相続登記は「義務」になりました


ここは覚えておいてください。

令和6年、2024年の4月から、相続登記が義務化されました。

相続で不動産を取得したことを知った日から、3年以内に登記の申請をしなければなりません。正当な理由がないのにこれを怠ると、10万円以下の過料、つまり罰金のようなものを取られる可能性があります。

昔は「名義はおじいちゃんのまま」という家が、北区にもいくらでもありました。けれど、もうその時代は終わりました。

相続したら、まず名義を自分たちに移す。これが土台です。土台ができていないと、売ることも貸すこともできません。


4. お金には「期限」があります


相続には、いくつか期限があります。これを知らずに過ぎてしまうと、選べたはずの道が消えます。

  • 相続放棄をするなら、原則3か月以内
  • 亡くなった方の所得税の申告(準確定申告)は4か月以内
  • 相続税の申告と納付は10か月以内

特に大事なのは3か月の相続放棄です。

家だけでなく、借金も一緒に相続してしまうことがあります。「実家を継いだら、知らない借金までついてきた」という話は、本当にあります。プラスとマイナス、両方を確かめてから決めてください。


5. 家の中と建物の状態を見てください


名義と期限の目処がついたら、ようやく家そのものを見ます。

まず、家の中の荷物です。遺品や残置物が片付いていない家は、そのままでは売りにくい。片付けの費用も、決して安くありません。北区の戸建てで、業者に頼むと数十万円かかることも珍しくないです。

次に、建物の状態です。雨漏り、シロアリ、傾き。築40年を超えた家だと、見えないところが傷んでいることがあります。

これを正直に把握しておくことが、後の判断を楽にします。


6. 私が見た、ある相続の話


藤原台に住む、Aさん(64歳)のお話をします。

Aさんはお父様を亡くされて、北区の実家(築47年の戸建て)を相続しました。葬儀が終わってすぐ、ポストに入っていた「すぐ買い取ります」というチラシを見て、その業者に電話をかけたそうです。

業者はすぐ来て、こう言いました。「古いお家ですし、片付けも大変でしょう。980万円で、来週には現金でお支払いできます」と。

Aさんは、相続税の心配もあって気持ちが焦っていました。「もうこれでいいかな」と、ハンコを押す寸前まで行ったそうです。

その前夜、たまたま近所の方に「あきちゃんに一回聞いてみたら」と言われて、私のところに来られました。

私は家を見て、すぐに分かりました。場所は悪くない。土地もしっかりしている。これは買取に出す家ではありません。

結局、慌てず仲介で売り出して、1,580万円で買い手がつきました。買取の話より、600万円高く売れたのです。

Aさんは「あの夜に相談していなかったらと思うと、ぞっとします」とおっしゃいました。慌てなかったこと。たったそれだけで、600万円違ったのです。


業界の裏側を一つ話します


相続の現場では、「買取」という言葉がよく出てきます。

業者がその場で現金で買い取る。早いし、手間もない。一見ありがたい話です。

でも、はっきり申し上げます。買取の値段は、仲介で普通に売る値段より、だいたい2割から3割安いです。業者は買い取った家を直して、利益を乗せて売り直すからです。

急いでいる人ほど、買取を勧められます。「相続税の支払いが近いですよね」「片付けも大変でしょう」と、こちらの弱みに寄り添うふりをして、安い金額に誘導してくる。

買取が悪いわけではありません。本当に急ぐ事情があるなら、買取が正解のこともあります。ただ、急いでいないのに買取に流されるのは、もったいない。それだけは言っておきます。


デメリットも正直に話します


ここまで「慌てるな」と言ってきましたが、放っておけばいいという話ではありません。

空き家を持ち続けると、固定資産税が毎年かかります。北区の戸建てでも、年間で10万円前後は出ていきます。

さらに、管理せずに荒れた家は、行政から「特定空家」に指定されることがあります。そうなると、土地の固定資産税が最大で6倍になることもあります。

そして、相続した空き家を売るときに使える「3000万円特別控除」という制度がありますが、これには厳しい条件があります。

  • 昭和56年5月以前に建てられた古い家であること
  • 亡くなった方が一人で住んでいた家であること
  • 相続から3年を経過する年の年末までに売ること
  • 今のところ、令和9年の年末までの売却であること

条件に合えば、税金がぐっと軽くなります。けれど、知らずに期限を過ぎてしまうと、この恩恵は受けられません。

だから「慌てるな」と「放っておくな」は、両方とも正しいのです。


まとめ


もう一度、順番を申し上げます。

  • 慌てて不動産屋に電話しない
  • 名義と相続人を確認する
  • 相続登記をする(3年以内、義務です)
  • お金の期限を知る(放棄3か月、相続税10か月)
  • 家の中と建物を見る
  • 売る・貸す・持つを決めるのは、最後

この順番を守れば、大きな失敗はしません。

逆に、いきなり「いくらで売れますか」から入った人ほど、損をします。これは50年見てきた、私の正直な実感です。


最後に、これだけは申し上げたい


相続した家のことで、何から手をつけたらいいか分からない。そういう方は、売る前に一度、相談だけでもしてください。

私は「売らせるため」ではなく、「損をさせないため」にお話しします。売らないほうがいい家なら、売らないほうがいいと、はっきり言います。

慌てて決める前に、まず順番を確かめる。それだけで、結果は大きく変わります。

センチュリー21・ハートピア
田中章雄

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