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「相談だけでもいいですか?」への答え
カテゴリ:あきちゃんの不動産お役立ち情報  / 投稿日付:2026/07/30 08:08

こんにちは。神戸市北区で50年、不動産屋をやっております田中章雄、通称あきちゃんです。

今日は、私が店をやっていて一番よく聞く一言、「相談だけでもいいですか?」への答えをはっきり書いておきます。

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電話でも、店に入ってこられたときでも、皆さんまずこれを言われます。しかも、言い方が申し訳なさそうなんです。声が小さくなる方もいます。

「まだ売るかどうか決めてないんですけど…」「冷やかしみたいで悪いんですけど…」と、先に謝ってくださる方もいます。

50年やってきて、この一言を何千回聞いたか分かりません。だから今日は、その答えを正面から書きます。


結論から申し上げます


いいです。むしろ、それが一番いい。

売ると決めてから来る人より、決めていない人のほうが、私は助けられます。

これは断言できます。決めてから来られると、もう選べる道が減っているんです。決めていない段階で来てくださると、道が全部残っている。だから助けられるんです。

「相談だけ」は遠慮ではありません。一番賢い使い方です。


1. 相談だけの人が、なぜ得をするのか


理由は単純です。不動産の売却で損をする人は、たいてい「動いたあと」に相談に来られるからです。

たとえば、もう他社と媒介契約を結んでしまった。もう買取業者に査定を出して、金額を聞いてしまった。もうリフォームに300万円かけてしまった。もう仏壇や家具を業者に頼んで処分してしまった。

こうなってから「これで良かったんでしょうか」と聞かれても、私は正直に「もう少し早く来てほしかった」と言うしかありません。

一方、何も決めていない方が来られたときは、こう言えます。「まだ何もしないでください。順番があります」と。

50年やってきて分かったことがあります。不動産で一番お金が変わるのは、売り方ではなく「動く順番」です。順番を間違えると、同じ家でも数百万円変わります。

その順番を決めるのが、まさに「相談だけ」の段階なんです。


2. 皆さんが遠慮している本当の理由


なぜ「相談だけでもいいですか」と、あんなに申し訳なさそうに言われるのか。私はずっと考えてきました。たぶん、こういうことだと思います。

  • 相談したら売らないといけなくなる気がする
  • 査定を頼んだら断れなくなる気がする
  • 名前と住所を書いたら営業がしつこくなる気がする
  • 「売る気がないなら来るな」と思われそう
  • 素人みたいな質問をして呆れられたくない

はっきり申し上げます。全部、皆さんの思い込みではありません。実際にそういう業者がいるから、そう思うようになったんです。

これは業界の人間として認めます。しつこい会社は本当にあります。査定を入り口にして、断ってもかけてくる。断ってもハガキが来る。「今なら高く売れます」と急かしてくる。

だから皆さんが警戒するのは当たり前なんです。悪いのは皆さんではなく、そういうやり方をしてきた業界です。


3. 相談だけで帰られた方の話


具体的にお話しします。3年ほど前です。北区にお住まいのCさん、当時66歳の女性が、店に入ってこられました。第一声が「相談だけなんですけど、いいですか」でした。

お母様が施設に入られて、実家が空き家になった。築42年の木造で、道路から少し上がったところにある家です。ご兄弟から「早く売ったら」と言われている。でもCさんご自身は、まだ気持ちが決まっていない。

30分ほどお話を伺いました。私が申し上げたのは3つです。

ひとつ、お母様がご健在で、家がお母様の名義なら、今は売れません。売るには成年後見の手続きが必要になり、時間もかかります。

ふたつ、固定資産税は年間およそ9万円。空き家のままでも、この程度なら急いで叩き売る理由にはなりません。

みっつ、家の中の物を今のうちに少しずつ片づけておくと、いざ動くときに費用と時間が半分になります。

Cさんは「今日は何も決めなくていいんですね」と、少しほっとしたお顔で帰られました。契約もしていません。査定書も出していません。

それから1年8か月後です。お母様がお亡くなりになって、Cさんが相続されました。そのときに、また来てくださいました。

家の中はもう、ほとんど片づいていました。ご兄弟とも話がついていました。私が最初に申し上げた3つを、ご自分のペースで進めておられたんです。

結果、相続から6か月以内に2,180万円で売却できました。相続空き家の3,000万円特別控除も使えました。もし慌てて先に動いていたら、控除の要件を外していた可能性がありました。

あの日の「相談だけ」が、この結果を作ったんです。


4. 逆のケースも申し上げます


正直に書きます。相談に来られなかった方の話です。

同じ北区で、Dさんご夫妻。ご主人が72歳でした。お会いしたのは、もう他社と3か月の媒介契約を結んだ後でした。

売り出し価格が2,980万円でした。相場から見ると、300万円ほど高い。私が見ても高いと分かる値段です。

Dさんは「高く売れるほうがいいと思って」と言われました。当たり前です。誰でもそう思います。

ここが業界の裏側です。契約を取りたい会社は、わざと高い査定を出します。専任媒介を結べば、3か月は他社が入れません。その間に反響がないと分かってから、少しずつ値下げを提案していくんです。

これを業界では「高預かり」と言います。高く預かって、あとで下げる。売主は「売れないのは相場が悪いから」だと思わされます。

Dさんの家は結局、9か月かかりました。最終的に2,450万円です。最初から2,680万円くらいで出していれば、3か月以内に売れていた可能性が高い家でした。

長く売れ残った物件は「物件が枯れる」と言います。ポータルサイトに何か月も出続けると、買主から「何か問題がある家だ」と見られます。そうなると、相場より下げないと動かなくなるんです。

Dさんが契約前に一度でも「相談だけ」に来ていれば、私は「この値段はおかしい」と申し上げていました。

相談は、契約の後にするものではありません。契約の前にするものです。


5. 私が相談のときに何をしているか


期待させたくないので、正直に書きます。私は相談のときに、魔法のような話はしません。やっていることは、こういうことです。

まず聞きます。売りたいのか、貸したいのか、まだ決めていないのか。誰の名義なのか。ご家族の意見は揃っているのか。お金の期限があるのか。

次に、今の状況で「してはいけないこと」を先に申し上げます。多くの場合、これが一番役に立ちます。

そして、動く順番だけをお伝えします。1番目にこれ、2番目にこれ、と。

最後に「今日は決めなくていいです」と申し上げて終わります。

査定書を無理に押しつけません。名義や間取りを聞いただけで概算の幅はお伝えできますから、正式な査定は「売る方向で考えたい」と思われたときで十分です。

これだけです。派手なことは何もしていません。でも、この30分で数百万円変わった方を、私は何人も見てきました。


6. デメリットも書いておきます


いいことばかり書くと嘘になります。相談のデメリットも申し上げます。

ひとつ目。私の話を聞くと、迷いが増える方がいます。「早く売ってすっきりしたい」と思って来られた方に、私が「まだ動かないでください」と申し上げると、宙ぶらりんの気持ちが長引きます。これはしんどいことです。すぐに終わらせたい方には、正直つらい話だと思います。

ふたつ目。私は高く売れるとは言いません。他社で「3,000万円で売れます」と言われた方に、私は「2,600万円くらいですね」と申し上げることがあります。聞いていて気持ちのいい話ではありません。相談に来られて、がっかりして帰られる方もいます。それでも本当の数字を言います。

みっつ目。私は77歳です。若い担当者のようなスピードでは動けません。SNSを使った派手な集客も得意ではありません。ネットの操作は息子や若い者に任せています。そこは正直に申し上げておきます。

よっつ目。相談されても、うちで扱わないことがあります。遠方の物件や、私の手に余る特殊な案件は「うちより、この方に聞いたほうがいい」とお伝えします。無理に受けて中途半端になるほうが、お客様に迷惑ですから。

こういうデメリットを承知の上で、それでもいいという方だけ来ていただければいいと思っています。


7. 「素人の質問」は存在しません


もうひとつだけ、遠慮の理由をつぶしておきます。「こんなこと聞いたら恥ずかしい」と思っておられる方が多いんです。50年やってきて、実際に聞かれた質問を書きます。

  • 家って、どうやって売るんですか
  • 不動産屋さんにお金はいつ払うんですか
  • 家の中の物は片づけてから売るんですか
  • 古い家は壊さないと売れないんですか
  • うちの土地は何坪あるんでしょうか

どれも、まともな質問です。恥ずかしいことは何もありません。

だいたい、皆さん家を売るのは人生で一度か二度です。分からないのが普通なんです。分かっている方のほうがおかしい。

私だって、病院に行けば何も分かりません。医者に「そんなことも知らないのか」と言われたら傷つきます。同じことです。

はっきり申し上げます。呆れる不動産屋のほうが間違っています。


まとめ


もう一度申し上げます。「相談だけでもいいですか?」の答えは、いいです、それが一番いい。理由を並べます。

  • 決めていない段階なら、選べる道が全部残っている
  • 損をする人は、動いたあとに相談に来る
  • 不動産で一番お金が変わるのは、動く順番
  • 相談は契約の前にするもの。後では遅い

そして、遠慮しなくていい理由も並べます。

  • 相談したから売らなければならない義理はない
  • 名前を書かなくても話はできる
  • 分からないのが普通で、恥ずかしいことは何もない

Cさんは、相談だけで帰られてから1年8か月後に動かれました。それでいいんです。急がなくていい。決まっていなくていい。


最後に、これだけは申し上げたい


私はこの仕事を50年やってきました。もう、たくさん売りたいとは思っていません。思っているのは、北区で家や土地を持っている方に、損をしたまま終わってほしくないということです。

売らなくていい方には「売らなくていい」と申し上げます。今動かないほうがいい方には「待ってください」と申し上げます。それで私の売上にならなくても、構いません。

ですから、どうぞ気軽にお声をかけてください。「相談だけ」で結構です。決めていなくて結構です。何も持ってこなくて結構です。

お茶を一杯お出しします。30分ほどお話を伺って、してはいけないことと、動く順番だけお伝えします。それで帰っていただいて構いません。

そのうえで、いつか動くときが来たら、また思い出してくだされば、それで十分です。


センチュリー21・ハートピア
田中章雄

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