ホーム  >  あきちゃんの不動産お役立ちコラム  >  あきちゃんの不動産お役立ち情報  >  「親切そうな提案」の見分け方

「親切そうな提案」の見分け方
カテゴリ:あきちゃんの不動産お役立ち情報  / 投稿日付:2026/05/23 07:54

こんにちは。神戸市北区で50年、不動産屋をやっております田中章雄、通称あきちゃんです。

今日は、不動産屋がしてくる「親切そうな提案」の見分け方についてお話しします。「お客様のために」という言葉の、本当の意味を読む話です。

不動産

家や土地を売ろうと不動産屋に相談すると、向こうはたいてい、とても親切です。「お客様のために」「あなたのことを思って」と、いろいろな提案をしてくれます。

ここで一歩、立ち止まってください。その提案は、本当にあなたのための提案でしょうか。それとも、不動産屋が儲かるための提案に、「親切」という上着を着せただけのものでしょうか。50年この仕事をやってきて、私はその両方を、嫌というほど見てきました。


結論から申し上げます


不動産屋の提案が本物かどうかは、「その提案で誰が一番得をするか」を考えれば、たいてい分かります。

これは断言できます。あなたが得をする提案と、不動産屋が得をする提案は、よく似た顔をしています。けれど、中身はまるで違います。

50年やってきて分かったことがあります。本当に親切な提案ほど、不動産屋にとっては面倒で、儲けが薄いものです。逆に、聞こえはいいのに不動産屋がやたらと勧めてくる提案は、たいてい不動産屋の側に得がある提案です。

今日は、特に「親切そうに見えて、実は業者の都合」という提案を、四つ、正直に申し上げます。


1. 「まず価格を下げて、早く売りましょう」


これが一番多い「親切そうな提案」です。

「相場よりちょっと安くして、早く買い手を見つけましょう。長く売れ残ると、印象が悪くなりますから」。一見、あなたのための助言に聞こえます。けれど、よく考えてください。

不動産屋の手数料は、成約価格の3%ほどです。仮に2,000万円の家が1,800万円で売れても、手数料の差は6万円ほどしか変わりません。けれど、安くすれば「早く」「確実に」売れます。不動産屋にとっては、6万円減っても、半年早く確実に手数料が入る方がありがたいのです。

つまり「早く売るために安くしましょう」は、あなたより不動産屋のための提案であることが多い。本当にあなたのことを思う業者なら、「もう少し高くても、こういう買い手なら付きます。一緒に待ちましょう」と言えるはずです。

値段を下げる提案が出てきたら、こう聞いてください。「なぜ、その値段なのですか。近隣の成約事例を見せてください」と。きちんと根拠を出せる業者かどうかで、本物かどうかが分かります。


2. 「うちが買い取りますよ。すぐ現金になります」


これも、困っている人にはありがたく聞こえる提案です。

「仲介だと売れるまで時間がかかります。うちが直接買い取れば、すぐに現金になりますよ」。確かに、急ぐ事情がある人には、ありがたい話です。

けれど、ここに大事なことが隠れています。買取の金額は、仲介で売れる相場の、だいたい7割前後です。残りの3割は、買い取った業者が、後で他の人に売って得る利益です。つまり「すぐ現金」と引き換えに、あなたは数百万円を手放していることになります。

買取そのものが悪いのではありません。本当に急ぐ事情があるなら、立派な選択肢です。問題は、急いでもいない人にまで「買取が一番ですよ」と勧めてくる場合です。それは、あなたのためではなく、安く仕入れて儲けたい業者のための提案です。

「買取」を勧められたら、必ず「仲介で売ったら、いくらで売れますか」と、両方の金額を聞いてください。差額を見て、それでも急ぐかどうかは、あなたが決めることです。


3. 「専任媒介にしてください。広告も全部、当社が出します」


これは、本当に注意してほしい提案です。

「うちに専任で任せていただければ、責任を持って、広告も内覧も全部やります」。熱心で、頼もしく聞こえます。実際、ちゃんとやってくれる業者も、たくさんいます。

けれど、一部の業者は、専任で預かった物件を、わざと他社に紹介しないことがあります。これを業界では「囲い込み」と言います。なぜそんなことをするのか。自分の会社で売主と買主の両方を見つければ、手数料を双方から取れる「両手取引」になり、儲けが二倍になるからです。

そのために、他社から「お客さんがいるので紹介してください」と問い合わせが来ても、「もう商談中です」と嘘をついて断る。あなたの家は、本当はもっと早く、もっと高く売れたかもしれないのに、業者の儲けのために、わざと買い手を絞られているのです。

専任を勧められたら、「他社からの問い合わせにも、ちゃんと対応してくれますか」「販売状況を定期的に書面で報告してくれますか」と確かめてください。胸を張って「もちろんです」と言える業者なら、信用していい。言葉を濁す業者は、危ない。


4. 「売る前に、リフォームしておきましょう」


最後に、これも親切そうで、裏のある提案です。

「このままだと古く見えます。少しリフォームすれば、ぐっと高く売れますよ。安くやってくれる業者を紹介します」。良かれと思って言ってくれているように聞こえます。

けれど、ここにも落とし穴があります。一つは、リフォーム業者を紹介すると、不動産屋に紹介料が入る場合があること。もう一つは、かけたリフォーム代が、そのまま売値に乗るとは限らないことです。

200万円かけて水回りを新しくしても、売値が200万円上がるかというと、まず上がりません。買う人は「自分の好みで直したい」と思っていることが多く、売主が良かれとやったリフォームが、かえって邪魔になることさえあります。

本当に親切な業者は、「ここは直さなくていいです。ハウスクリーニングと、傷んだ網戸の張り替えくらいで十分です」と言ってくれます。大きなリフォームを勧められたら、「それをやると、売値はいくら上がるのですか」と、必ず数字で聞いてください。


業界の裏側を、少し明かします


聞きたくないかもしれませんが、正直に申し上げます。

私たち不動産屋の提案には、いつも二つの軸があります。「お客様の得」と「自分の得」です。この二つが同じ方を向いているとき、提案は本物です。けれど、二つがぶつかったとき、どちらを優先するかで、その業者の本性が出ます。

そして、ここが大事なところですが、自分の得を優先する業者ほど、言葉は親切で、対応は丁寧です。なぜなら、親切に見せないと、損をさせられないからです。ぶっきらぼうな業者より、にこやかで親切な業者の方が、かえって油断できないこともあるのです。

見分けるコツは、たった一つ。「その提案で、不動産屋はいくら儲かりますか」と、心の中で問い続けることです。値下げ、買取、専任、リフォーム、どの提案も、必ず「相手の儲け」とセットで見る。これだけで、だまされる確率はぐっと下がります。


実際にあった話を一つ


神戸市北区にお住まいのEさん(当時72歳)の話です。

Eさんは、長く住んだ藤原台の一戸建てを、住み替えのために売ることにされました。ある大手の業者に相談したところ、担当者はとても感じが良く、親切でした。

その担当者は、こう提案しました。「築年数も経っていますから、まず水回りを中心に250万円ほどリフォームしましょう。そのうえで、相場より少し安い2,300万円で売り出せば、すぐに買い手が付きますよ。安心してお任せください、専任でお預かりします」と。

Eさんは、親切な担当者を信じかけました。けれど、なんとなく引っかかって、私のところにも相談に来られました。

私は、現地を見て、こう申し上げました。「Eさん、このお宅はリフォームは要りません。掃除と片付けだけで十分です。それから、近隣の成約事例を見ると、この家は2,650万円で売り出して、十分に勝負できます」と。

Eさんは驚かれました。「あちらは2,300万円と言っていたのに」と。私はこう説明しました。「リフォーム250万円は、紹介業者から紹介料が入る話かもしれません。値段を下げるのは、早く確実に売って手数料を取りたいからかもしれません。専任にしたがるのは、両手取引を狙っているからかもしれません」と。

結局、Eさんはリフォームをやめ、掃除と片付けだけして、2,650万円で売り出されました。少し時間はかかりましたが、4か月後に2,580万円で売れました。最初の提案どおり250万円かけて2,300万円で売っていたら、手取りはおよそ2,000万円。実際の手取りはおよそ2,500万円。その差は、ざっと500万円です。

Eさんは、こうおっしゃいました。「親切な人だったから、すっかり信じるところだった。提案の裏に、誰の得があるのか。それを考えるだけで、500万円違うんですね」と。


デメリットも、正直に書きます


ここまで「親切な提案を疑え」と申し上げてきました。けれど、これにも行き過ぎると困る面があります。

不動産屋の提案を、何もかも疑ってかかると、今度はあなた自身が動けなくなります。

世の中の不動産屋が、全員ずるいわけではありません。本当にお客様のために、損を承知で正直な助言をする業者も、たくさんいます。そういう人まで疑って、誰の言うことも信じられなくなると、いつまでも売れず、結局あなたが損をします。

それから、もう一つ正直に申し上げます。不動産屋が手数料で儲けること自体は、悪いことではありません。私たちも商売です。大事なのは、その儲けが「あなたに損をさせたうえでの儲け」なのか、「あなたに得をさせたうえでの、正当な儲け」なのか、の違いです。

疑うことが目的ではありません。提案の意図を読んで、「自分も得をし、相手も正当に儲ける」提案を選ぶ。これが、一番かしこい付き合い方です。


まとめます


もう一度、結論を繰り返します。

不動産屋の提案が本物かどうかは、「その提案で誰が一番得をするか」を考えれば、たいてい分かります。

親切そうな言葉ほど、裏を読む。これは断言できます。

提案を受けたら、こう自分に問いかけてください。

  • この提案で、不動産屋はいくら儲かるのか
  • 値段や金額に、きちんと根拠を見せてくれるか
  • 「あなたのため」と「業者のため」が、同じ方を向いているか
  • 都合の悪いことも、正直に話してくれる業者か

この四つを思い出すだけで、あなたが「親切」にだまされて損をする確率は、ぐっと下がります。


最後に、これだけは申し上げたい


私は、神戸市北区・西宮北部・三田で、家や土地を売る方を、50年見てきました。親切な言葉を信じて損をした人も、提案の裏を読んで得をした人も、両方見てきました。

「不動産屋からこんな提案をされたけれど、これは本当に自分のためなのだろうか」。そう迷ったとき、どうぞ、その場で判を押す前に、一度、私にお声がけください。

その提案で誰が得をするのか、値段の根拠は正しいのか、もっといい道はないのか。私は、私の儲けより先に、あなたの損得を一緒に考えます。値段を急かすことも、無理に契約を勧めることも、いたしません。

お電話一本でも、お店に立ち寄っていただくだけでも、構いません。50年の現場が、あなたが「親切」という上着にだまされないための、お手伝いになるなら、私にとってこれほど嬉しいことはありません。

センチュリー21・ハートピア
田中章雄

ページの上部へ