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査定価格が1000万円違った理由
カテゴリ:あきちゃんの不動産お役立ち情報  / 投稿日付:2026/07/24 05:50

こんにちは。神戸市北区で50年、不動産屋をやっております田中章雄、通称あきちゃんです。

今日は、先日うちの店に来られたご夫婦が持ってこられた「3枚の査定書」のお話をします。同じ家の査定なのに、一番高い会社と一番安い会社で、その差はちょうど1000万円ありました。

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家が変わったわけではありません。査定した日も、ほとんど同じです。

それなのに、なぜ1000万円も違うのか。

今日はこの「1000万円の中身」を、50年この仕事をやってきた人間として、できる限り分解してお見せします。査定書の数字がどうやって作られているのか、その裏側まで全部お話しします。

結論から申し上げます


査定価格の差は、「家の価値の差」ではありません。「会社の都合の差」です。

はっきり申し上げます。査定書に書かれた数字は、「この値段で売れます」という予想ではありません。

「この数字を見せれば、あなたがうちと契約してくれるだろう」という、営業の数字です。

だから、あなたの家の価値が変わらなくても、会社の狙いが違えば、数字は1000万円変わります。

高く書く会社には高く書く理由があり、安く書く会社には安く書く理由がある。

その理由は、どちらも「あなたのため」ではないことが多いのです。


1. 1000万円の差の中身を分解してみます


50年やってきて分かったことがあります。査定額の差は、大きく分けると3つの部品でできています。

土地の値付けの差、建物の評価の差、そして会社の狙いの差です。

まず一つ目の「土地の値付けの差」。査定は基本的に、近所で実際に売れた家の値段(取引事例)と比べて出します。ところが、どの事例と比べるかは、担当者が選べるのです。

同じ町内でも、駅に近い区画の成約事例を引っ張れば高くなり、バス便の奥の区画を引っ張れば安くなる。これだけで300万円くらいは平気で動きます。

二つ目は「建物の評価の差」です。木造の家は、築20年を過ぎると建物をゼロ円で査定する会社が少なくありません。

一方で、屋根と外壁の塗り替え、水回りのリフォーム歴をきちんと見て、建物に値段を付ける会社もあります。築25年前後の家なら、ここで250万円は変わります。

そして三つ目が、一番大きい「会社の狙いの差」です。

契約が欲しくて上乗せする会社は、根拠なく300万円でも400万円でも積みます。逆に、最後は自社で安く買い取ろうと考えている会社は、最初から数字を低く抑えてきます。この「狙い」の部分だけで450万円くらいの差は、普通に生まれます。

300万円と250万円と450万円。足し合わせれば、1000万円の差というのは、何も珍しい話ではないのです。


2. 三田のBさんご夫婦、3枚の査定書


実際にあった話をします。

三田市にお住まいのBさんご夫婦(ご主人67歳、奥様64歳)が、住み替えのために自宅を売ろうとされました。築26年の木造2階建て、駅からバスで15分の住宅団地です。

ネットの一括査定サイトに申し込んだところ、すぐに何社からも電話が鳴り、そのうち3社に査定してもらったそうです。結果はこうでした。

  • A社は3,380万円
  • B社は2,880万円
  • C社は2,380万円

一番上と一番下で、ちょうど1000万円です。

Bさんご夫婦は、当然のようにA社を選びました。「うちの家を一番高く評価してくれた会社」に見えたからです。

専任媒介で預けて、最初の1か月は内覧が2件。その後はぱったり止まりました。

3か月目に営業マンから電話が来ます。「反響が弱いので、2,980万円に下げましょう」

5か月目にまた電話です。「思い切って2,680万円にしましょう。あるいは、当社の買取なら2,300万円で確実です」

気づかれたでしょうか。

最初に一番高い数字を見せた会社が、最後は一番安い数字を口にしているのです。C社の査定より、さらに80万円低い金額です。

Bさんご夫婦がうちの店に来られたのは、その直後でした。

私は現地を見て、過去10年分の団地内の成約事例を全部並べて、「2,750万円で出しましょう」と申し上げました。3か月後、2,700万円で成約しました。

最初から適正な値段で出ていれば、半年以上の遠回りも、値下がりの焦りも、要らなかったのです。


3. 一括査定サイトのカラクリ


ここで、業界の裏側を一つお話しします。Bさんご夫婦が使った「ネットの一括査定サイト」の仕組みです。

あのサイトは、無料に見えますが、タダではありません。

不動産会社側が、お客さん一人の連絡先に対して1万円前後の紹介料をサイトに払って、あなたの情報を「買って」いるのです。

1件の紹介に何社も相乗りしますから、会社側から見れば、競争相手が最初から5社も6社もいる状態です。その中で選ばれるには、どうするか。

一番手っ取り早いのは、一番高い数字を出すことです。

これは断言できます。一括査定の場で出てくる一番高い査定額は、「売れる値段」ではなく「勝つための値段」です。

業界ではこれを「高預かり」と呼びます。高く預かって、あとから値下げをお願いすればいい、という発想です。

逆に、最初から安い数字を出す会社にも狙いがあります。

安く預かって早く売れば手間がかからない。もっと言えば、売れ残ったところで自社で買い取り、リフォームして転売すれば、そちらの利益の方が大きい。C社の2,380万円という数字の裏には、そういう計算が透けて見えます。

高い査定にも、安い査定にも、それぞれの「商売の都合」が乗っている。これが、1000万円の差の正体です。


4. 正直に、デメリットも申し上げます


ここまで読むと、「では真ん中の査定を選べばいいのか」と思われるかもしれません。そう単純でもないのです。正直に申し上げます。

まず、適正価格の査定は、見た目が地味です。

隣に3,380万円の査定書を置かれたら、2,750万円の査定書は「うちの家を安く見ている」ように見えてしまう。正直な会社ほど、この場面で負けやすいのです。

次に、複数社に査定を頼むこと自体にも、しんどさがあります。

一括査定に出せば営業電話が何本も鳴りますし、訪問査定を3社受ければ、半日仕事が3回です。ご高齢の方には、これがかなりの負担になります。

そして、これが一番大事なことですが、適正価格で出しても、必ず売れるという保証はありません

不動産には相場の波があり、同じ団地で売り物が重なれば、それだけで買い手は分散します。私の付けた2,750万円も、最後は2,700万円での成約でした。50万円の値引き交渉は入ったのです。

査定は万能ではありません。ただ、根拠のある査定なら、値下げするときも「なぜ、いくら下げるのか」を納得して決められます。

根拠のない3,380万円から始まる値下げは、ただ削られていくだけです。


まとめ


もう一度、結論を申し上げます。

査定価格の差は、家の価値の差ではなく、会社の都合の差です。

1000万円の差の中身は、事例の選び方で300万円、建物の見方で250万円、そして会社の狙いで450万円。一番大きいのは、いつも「会社の狙い」の部分です。

査定書を受け取ったら、金額の大小ではなく、こう聞いてみてください。

「この金額の根拠になった成約事例を、全部見せてください」

高預かりの会社は、ここで口ごもります。根拠のある会社は、喜んで資料を広げます。

たったこれだけの質問で、1000万円の遠回りを防げるのです。


最後に、これだけは申し上げたい


査定書が2枚、3枚と手元にあって、どれを信じていいか分からない。そういう方は、その査定書ごと、うちの店に持ってきてください。

どの数字にどんな狙いが乗っているか、50年この仕事をやってきた人間として、一枚ずつ種明かしをいたします。

もちろん、その上でよその会社に頼まれても構いません。損をしない判断さえしていただければ、私はそれで十分です。

センチュリー21・ハートピア
田中章雄

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