カテゴリ:あきちゃんの不動産お役立ち情報 / 投稿日付:2026/06/23 07:18
こんにちは。神戸市北区で50年、不動産屋をやっております田中章雄、通称あきちゃんです。
今日は、三田ニュータウンの未来についてお話しします。フラワータウン、ウッディタウン、カルチャータウン。あのあたりに家を持っておられる方なら、一度は不安に思ったことがあるはずです。
「この街、これからどうなるんやろう」と。
息子さんや娘さんが家を出て、ご夫婦だけになった。同じ団地でも空き家がぽつぽつ目につくようになった。そういう景色を毎日見ていると、不安にならない方がおかしいんです。
ここで一歩、立ち止まってください。今日は不動産屋の本音で、三田ニュータウンのこれからを正直にお話しします。
結論から申し上げます
三田ニュータウンは「終わった街」ではありません。ただし、「全部が同じように生き残る街」でもありません。
これは断言できます。これから先、同じ三田ニュータウンの中でも、値段が保てる場所と、ずるずる下がっていく場所に、はっきり分かれます。
分かれ目は三つです。
- 駅からの距離
- 坂の有無
- 売り出しが集中する時期かどうか
この三つを分かっているかどうかで、あなたの家が「2,500万円で売れる家」になるか「1,200万円でも買い手がつかない家」になるか、変わってきます。
1. なぜ今、三田ニュータウンの将来が語られるのか
少しだけ昔の話をさせてください。
三田ニュータウンができたのは、昭和の終わりから平成のはじめにかけてです。フラワータウンが一番早く、そのあとウッディタウン、カルチャータウンと広がっていきました。
あのころの三田市は、人口の増え方が全国でもトップクラスでした。何年も続けて「人口増加率日本一」と言われた時期があったんです。大阪や神戸の都心で家を買えなかった若いご夫婦が、新しい街に夢を持って移ってきました。
私もその時期、何組ものご家族の家探しをお手伝いしました。30代のご夫婦が、小さなお子さんを連れて「庭付きの一戸建てが買えるなんて」と喜んでおられた顔を、今でも覚えています。
ところが、です。ここに、三田ニュータウンの未来を考えるうえで一番大事なことがあります。あの街は、ほとんど同じ時期に、同じ世代の人が、いっせいに入ってきたんです。
2. 「いっせいに入った街」は、いっせいに歳をとる
これが、三田ニュータウンの未来を語るうえで一番のポイントです。
50年やってきて分かったことがあります。同じ時期に開発された街は、住んでいる人も同じように歳をとっていく、ということです。
昭和60年ごろに35歳で家を買われた方は、今おいくつですか。70歳を超えておられます。あのころ生まれたお子さんは、もう神戸や大阪、東京で家庭を持って、三田には戻ってこない。
つまり、こういうことが起きます。
- 同じ団地の中で、相続や住み替えで家を手放す人が、同じ時期にどっと出てくる
- ひとつの団地で、同時に5軒も6軒も「売り出し中」の札が立つ
これがどういう意味か、お分かりになりますか。買う側からすれば「選び放題」です。売る側は値段の下げ合いになります。築年数も間取りも似たような家が並べば、最後は値段でしか勝負できなくなる。
はっきり申し上げます。三田ニュータウンで損をする一番の原因は、家が古いことではありません。「みんなと同じ時期に売りに出すこと」です。
3. 明暗を分けるのは「駅からの距離」と「坂」
では、同じ三田ニュータウンでも、どこで差がつくのか。一番大きいのは、駅からの距離です。
JR新三田、フラワータウン駅、ウッディタウン中央駅。このあたりから歩いて10分以内の平らな場所は、今でもしっかり値段が保てます。神戸電鉄やJRで大阪まで通える、という条件は今も生きているからです。
逆に、駅からバスに乗らないといけない場所、そして坂の上の家。ここが厳しい。若いころは坂など気になりません。車もあります。ところが歳をとると、その坂が一日ごとに重くのしかかってきます。買い物も、病院も、坂の上の家からは遠い。
実例をお話しします。カルチャータウンの坂の上に、立派な戸建てを構えておられたAさんご夫婦。ご主人が74歳、奥さまが71歳。昭和の終わりごろに、たしか2,800万円ほどで建てられた家です。庭も広く、当時はうらやましがられた家でした。
ところが奥さまが膝を悪くされて、坂の上り下りがつらくなった。「駅前の平らなマンションに移りたい」と相談に来られました。
正直に申し上げました。「この家、今売ると1,300万円から1,400万円くらいです」と。Aさんは絶句されました。2,800万円で建てた家が、半分以下なんですから。
これがリスクです。坂の上の家は、住んでいるときは気づきません。手放すときに初めて、その重さに気づくんです。
4. 若い世代は戻ってきている。ただし条件付きで
ここまで厳しい話ばかりしましたが、暗い話だけではありません。三田ニュータウンには、今も若いご夫婦が入ってきています。これは本当です。
理由ははっきりしています。大阪や神戸の中心部は、マンションも戸建ても値段が上がりすぎました。共働きで子育てをしたい30代のご夫婦が、「同じ予算なら三田で広い家が買える」と気づき始めているんです。
ただし、ここが大事なところです。彼らが選ぶのは「駅近」「平ら」「リフォーム済み」の家ばかりです。
先ほどのAさんとは逆のケースをお話しします。フラワータウン駅から歩いて8分、平らな場所にある中古の戸建て。築は35年を超えていました。これを買われたのは、大阪で共働きをしている40代前半のBさんご夫婦です。値段は2,400万円でした。
なぜこの家が、Aさんの家より高く、しかもすぐ売れたのか。古さは似たようなものです。答えは「駅から平らで近い」、ただそれだけです。
これは断言できます。これからの三田ニュータウンは、駅から平らで近い家には人が集まり、坂の上の家からは人が引いていきます。同じ街の中で、はっきり二つに分かれていくんです。
5. ここで業界の裏側を、正直に申し上げます
三田ニュータウンの家を売ろうとすると、必ず出会う相手がいます。買取業者です。
「ニュータウンの古い戸建ては、もう値段がつきませんよ」「今のうちに現金で買い取りますから、まとめてうちに任せてください」。こういう言葉で近づいてきます。
たしかに手間はかかりません。すぐ現金になります。ところが、その値段は相場の6割、7割といったところです。1,400万円で売れる家を、1,000万円で買い取っていく。差額の400万円は、業者の取り分になるわけです。
それだけではありません。「囲い込み」というやり方があります。ある不動産屋が売主から預かった物件を、自分のところだけで売ろうとして、他社からの「この家を買いたいお客さんがいます」という問い合わせを、わざと断る。「もう契約が入りそうです」などと言ってです。
なぜそんなことをするのか。売主と買主の両方から手数料を取りたいからです。そのために、本当は買ってくれるお客さんを遠ざけてしまう。三田ニュータウンのように物件が多い場所ほど、こういうことが起きやすいんです。
私は、こういうやり方が大嫌いです。50年、この街の人たちに育ててもらった人間として、地元の方を損させるようなことはしたくない。
6. デメリットも、隠さず申し上げます
正直に、マイナス面もお伝えします。三田ニュータウンの家は、これから「売り急ぐと損をする」ものになっていきます。先ほど申し上げた一斉高齢化のせいで、これから10年、同じ街から売り物件がどんどん出てきます。
ということは、何も考えずに「とりあえず売りに出す」と、周りの安い売り物件に巻き込まれて、あなたの家まで安く見られてしまう。
それと、坂の上や駅から遠い家は、はっきり申し上げて、これから値段が戻ることはほぼありません。「もう少し待てば上がるかも」という期待は、この立地については、しない方がいい。
これは厳しい話ですが、本当のことです。期待を持たせて気持ちよくさせるより、損をさせない方が、私は大事だと思っています。
まとめ
もう一度、結論を申し上げます。三田ニュータウンは終わった街ではありません。けれど、これから同じ街の中で、しっかり残る場所と、沈んでいく場所に、はっきり分かれます。
- 駅から平らで近い家は、若い世代が戻ってきて、値段も保てる
- 坂の上、駅から遠い家は、買い手が減り、値段も下がっていく
- 一番のリスクは、家の古さではなく「みんなと同じ時期に、何も考えずに売りに出すこと」
あなたの家がどちらなのか。それを早めに知っておくだけで、手の打ち方がまるで変わってきます。
最後に、これだけは申し上げたい
もしご自宅が三田ニュータウンにあって、「将来どうしようか」と少しでも頭の隅にあるなら、まだ何も決めていなくて構いません。一度、今いくらで売れる家なのか、どういう立地なのかを、確かめておいてください。
売る売らないは、そのあとで決めればいい話です。私は売りたいから言っているのではありません。知らないまま時期を逃して損をする方を、これまで何人も見てきたから申し上げているんです。三田のこと、ニュータウンのことなら、50年この街を見てきた私に、遠慮なく聞いてください。
センチュリー21・ハートピア
田中章雄


