ホーム  >  あきちゃんの不動産お役立ちコラム  >  あきちゃんの不動産お役立ち情報  >  神戸市北区で老後を過ごすならどこ

神戸市北区で老後を過ごすならどこ
カテゴリ:あきちゃんの不動産お役立ち情報  / 投稿日付:2026/06/26 07:34

こんにちは。神戸市北区で50年、不動産屋をやっております田中章雄、通称あきちゃんです。

今日は、神戸市北区で老後を過ごすなら、どのあたりがいいのか。これを「便利さ」というひとつの物差しだけにしぼってお話しします。

rougo

ご相談に来られる方の多くが、こうおっしゃいます。「景色のいい、静かな高台に家を建てて、のんびり余生を送りたい」と。気持ちはよく分かります。私も同じ北区の人間ですから。

でも、ここで一歩立ち止まってください。その「景色のいい高台」が、10年後のあなたを苦しめることが、本当にあるんです。


結論から申し上げます


北区で老後を過ごすなら、選ぶ場所は「坂がなくて、駅とスーパーと病院が、歩いて行ける距離にまとまっている所」です。

具体的に言えば、藤原台や岡場のあたり、谷上の駅まわり、鈴蘭台でも区役所に近い平らな場所。このあたりです。

逆に、眺めだけで選んだ高台、坂の上の一軒家、駅から遠いバス便だけの場所。ここは、足腰が元気なうちは天国でも、車を手放したとたんに、生活が一気に不便になります。

50年やってきて分かったことがあります。老後の住まいで失敗する人は、「今の自分」を基準に家を選びます。老後の住まいで成功する人は、「85歳になった自分」を基準に家を選びます。


1. 北区はとにかく「坂」を甘く見てはいけません


これは断言できます。北区で老後の場所を考えるとき、いちばん最初に見るべきは、駅の名前でも、家の広さでもありません。「坂があるかないか」です。

北区は山を切り開いてできた街がほとんどです。だから、見晴らしのいい家ほど、坂の上にあります。

60代のうちは、その坂を「いい運動になる」と笑って登れます。ところが70代の半ば、75歳を過ぎたあたりから話が変わってきます。膝が痛い。荷物が持てない。冬場は凍って怖い。

私が見てきた中で、いちばん多い後悔がこれです。「家は気に入っているのに、坂が下りられなくて、外に出るのが億劫になった」。家から駅やスーパーまで、坂を一度も登り下りせずに行けるか。まずここを見てください。


2. 「車がある前提」で場所を選ぶと、必ず後で困ります


北区は車社会です。これは事実です。だからこそ、皆さん車があることを前提に、駅から遠い場所を平気で選びます。

でも、考えてみてください。85歳になっても、あなたは運転していますか。

ここ数年、高齢のドライバーが免許を返納する話が増えました。その瞬間に、価値がガラッと変わるのが「駅やバス停までの距離」です。車がある間は、駅から徒歩20分でも問題ありません。車がなくなった瞬間、その徒歩20分は、外出をあきらめさせる壁になります。

老後の場所は「車を手放した日から、どう暮らすか」で選んでください。これは覚えておいてください。


3. 病院とスーパーが「歩ける場所」にあるかどうか


老後の暮らしで、毎週必ず行く場所はどこか。病院と、食べ物を買うスーパーです。

北区には、北区役所のある鈴蘭台のあたり、それから藤原台や岡場のように、商業施設と病院がコンパクトにまとまった場所があります。エコールやリラのような施設の近く、ああいう所は、お年寄りには本当に暮らしやすい。

逆に、道場や有馬の奥のような、自然が豊かで静かな場所。ここは別荘地としては最高ですが、毎日の暮らしとなると、買い物ひとつに車で15分、20分かかります。

「静けさ」と「便利さ」は、たいてい逆の関係にあります。老後に優先すべきは、はっきり申し上げて、便利さのほうです。


4. 谷上のあたりは、ここ数年で便利さが一段上がりました


ひとつ、いい話もしておきます。

谷上の駅まわりは、数年前に北神の電車が神戸市の地下鉄につながって、三宮まで本当に近くなりました。運賃も、以前は片道で550円ほどしていたものが、市営化で半額近くまで下がったんです。

三宮の病院に通う、街に出て買い物をする、子どもや孫に会いに行く。こういう老後の「街への足」として、谷上はぐっと使いやすくなりました。便利さというのは、こうやって時代とともに変わります。昔の感覚で「北区は不便」と決めつけず、今どうなっているかを見てください。


5. 実例を一つ。高台を選んだAさんと、平地を選んだBさん


実際にあったお話をします。

Aさんご夫婦は、ご主人が72歳、奥さまが68歳のときに、北区の見晴らしのいい高台に中古の一戸建てを買われました。価格は2,300万円ほど。リビングから神戸の夜景が見える、それは立派な家でした。

ところが5年後、ご主人が腰を悪くされた。家から坂の下のバス停まで、歩いて12分。その坂が下りられなくなりました。奥さまが運転して買い物に行くものの、その奥さまも目が悪くなってきた。結局、「もうここには住めない」と、78歳で手放すことになりました。売値は1,650万円。買ったときより650万円下がっていました。

一方、Bさんは75歳でひとり暮らしになったとき、思い切って藤原台の平らな分譲地のマンションへ住み替えました。駅まで歩いて7分、スーパーは同じ建物の下、病院も徒歩圏。「もっと早くこうすればよかった」と笑っておられます。

同じ北区でも、選ぶ場所でこれだけ老後が変わります。


6. 正直に、デメリットも申し上げます


便利な平地を勧めておいて、いいことばかり言うのはフェアではありませんから、マイナス面もはっきり書いておきます。

  • 便利な場所は、当然ながら土地の値段が高い
  • 同じ予算なら、坂の上の広い家か、平地の狭い家かを迫られる
  • 藤原台のような古いニュータウンは街ぐるみで高齢化が進んでいる
  • 若い世代が少なく、将来の街の活気に不安が残る場所もある

完璧な場所はありません。だからこそ、「自分の老後で、何をいちばん我慢できないか」をはっきりさせてから選ぶことが大事なんです。


7. 不動産屋の「眺望」「閑静」という言葉に気をつけて


これは業界の裏の話になります。私たち不動産屋は、高台の家を売るとき、決まって「眺望良好」「閑静な住宅街」と書きます。聞こえはいいでしょう。

でも、よく考えてください。「眺望良好」というのは、たいてい「坂の上」ということです。「閑静」というのは、しばしば「駅から遠くて人通りが少ない」ということです。お年寄りの暮らしにとっては、どちらも要注意の言葉なんです。

売り手は、その家のいちばん良く見える面だけを言葉にします。老後の暮らしという物差しで、その言葉を裏返して読む。これができるかどうかで、選ぶ場所が変わってきます。


まとめ


もう一度、結論を申し上げます。北区で老後を過ごすなら、「坂がなく、駅・スーパー・病院が歩いて行ける場所」を選んでください。藤原台、岡場、谷上の駅まわり、鈴蘭台の平らな所。このあたりが、便利さという物差しでは堅い選択です。

選ぶ基準は、今の元気な自分ではなく、車を手放した85歳の自分。坂を一度も登らずに、駅まで、スーパーまで、病院まで行けるか。これだけは、忘れないでください。


最後に、これだけは申し上げたい


老後の住まいは、一生のうちでも特に「やり直しのきかない」買い物です。眺めや雰囲気に惚れて決めてしまう前に、便利さという地味な物差しで、もう一度だけ見直してほしいんです。

北区のどのあたりが、あなたの老後に合っているか。どこがいいか分からない、今の家のままでいいのか迷っている。そういうときは、遠慮なくご相談ください。50年この街を見てきた人間として、損をさせない場所を、一緒に考えます。

センチュリー21・ハートピア
田中章雄

ページの上部へ