カテゴリ:あきちゃんの不動産お役立ち情報 / 投稿日付:2026/06/19 07:57
こんにちは。神戸市北区で50年、不動産屋をやっております田中章雄、通称あきちゃんです。
今日は、いつもの神戸市北区から少しだけ東に目を向けて、西宮の北部、いわゆる「西宮北部」でおすすめできるエリアの話をします。
私のところには、北区の方だけでなく、隣の西宮北部で家を探している方からの相談もよく来ます。「同じ予算なら、北区と西宮北部、どっちが得ですか」と。今日はそこに正直にお答えします。
ここで一歩、立ち止まってください。「西宮北部はここがおすすめです」と、ひと言で言い切ってくる不動産屋がいたら、私は信用しないほうがいいと思っています。なぜなら、西宮北部というのは、同じ名前でくくられているだけで、中身がまるで違う街の集まりだからです。
結論から申し上げます
西宮北部で名前を覚えておいてほしいのは、この3つです。
- 名塩
- 生瀬
- 山口町
ただし、これは断言できます。この3つは、性格がまったく違います。同じ予算でも、向く人と向かない人がはっきり分かれます。
あえて先に結論を言っておきます。
- 大阪まで電車で通って、予算を抑えたいなら「名塩」
- 車中心の暮らしで、ゆったり住みたいなら「山口町」
- 古くても、駅から歩ける落ち着いた住宅地がいいなら「生瀬」
この3択です。それぞれ、なぜそうなるのかを、これからお話しします。
1. 名塩は「大阪通勤で安く買いたい人」向け
名塩は、JRの宝塚線(福知山線)が通っていて、名塩の駅から大阪まで電車で40分ほどで出られます。これは大きな強みです。
そして何より、価格が抑えられます。同じ大阪通勤圏でも、阪神間の南のほうで中古の戸建を探せば「3,500万円」「4,000万円」は当たり前です。それが名塩なら、中古の戸建が「1,800万円」から「2,500万円」くらいで出てくることがあります。
ここだけ聞くと、いい話に聞こえますね。でも、はっきり申し上げます。安いのには、安いだけの理由があります。
名塩のニュータウンは、山の斜面を削って造られた街です。だから、とにかく坂が多い。坂が急すぎて、街の中に「斜行エレベーター」という、斜めに動くエレベーターまで通っているほどです。これは全国でも珍しいもので、見物としては面白い。でも、毎日の暮らしの道具として考えると、話は別です。
実例をひとつ。50代のAさんご夫婦が、名塩の中古戸建を「2,180万円」で買おうとして、私のところに相談に来ました。大阪まで40分、価格も手頃、お二人とも気に入っていました。
私はこう言いました。「20年後、70代になったご自分を想像してみてください」と。あの坂と斜行エレベーターは、足腰が元気なうちはいいんです。けれど、買い物の重い荷物を持って、雨の日に、膝が痛くなった頃に、毎日あの高低差を上り下りできますか、と。
Aさんご夫婦は、最終的に少し下のほうの、坂のゆるい区画を選び直されました。同じ名塩でも、その判断は正解だったと私は思っています。名塩は「街全体」ではなく「どの区画か」で天と地ほど変わる街なのです。
2. 生瀬は「古さを許せる人」向け
生瀬は、名塩のすぐ隣、宝塚との境目あたりにある、昔からの住宅地です。ニュータウンのように一気に造られた街ではなく、長い時間をかけて少しずつ家が建ってきた、落ち着いた雰囲気の街です。
駅から歩ける場所が比較的多く、その点では名塩より暮らしやすいと感じる方もいます。買い物も、宝塚の中心部が近いので、不便すぎるということはありません。
ただ、デメリットも正直に言います。古い住宅地ですから、家そのものが古いものが多い。築40年、築45年という戸建が、土地値に近い値段で出てくることもあります。
ここで気をつけてほしいことがあります。「土地値だから得だ」と飛びつく人がいますが、古い家は、建て替えるにしても解体費が「150万円」から「250万円」かかります。さらに、生瀬のような昔からの街は、道が細い場所が多い。再建築のときに「接道」で苦労するケースを、私は何度も見てきました。
50年やってきて分かったことがあります。古い住宅地は「家を直して住みたい人」「土地の素性を自分で見極められる人」には宝の山です。けれど、何も調べずに値段だけで買う人には、落とし穴の多い場所でもあります。
3. 山口町は「車の暮らしを覚悟できる人」向け
山口町は、私の地元である神戸市北区の有馬のすぐ隣です。地続きですから、雰囲気も北区によく似ています。中国自動車道の西宮北インターが近く、有馬温泉もすぐそこ。車があれば、神戸も大阪も三田も、どこへでも出やすい場所です。
土地に余裕がある区画が多く、ゆったりとした注文住宅を建てたい方には、本当に向いています。価格も、土地から買って建てても、総額「3,000万円台」で収まることが珍しくありません。
でも、ここで一番大事なことを申し上げます。山口町は、車がないと暮らせない街です。これは覚悟してください。
実例です。70代のBさんが、山口町で土地を買って、夢だった平屋を建てられました。とてもいいお住まいです。ところが数年後、Bさんから電話がありました。「免許を返納したら、買い物にも病院にも行けなくなった」と。
これは山口町だけの話ではありません。けれど、駅まで歩ける街と、車が前提の街では、年を取ってからの暮らしがまるで変わります。山口町を選ぶなら、「車に乗れなくなった後、どうするか」まで考えておいてください。それができる方には、本当にいい街です。
4. 業界の裏側を正直に話します
ここからは、不動産屋の本音の話をします。
西宮北部のような、北の郊外エリアは、不動産屋にとって「売りにくい」場所です。だから、業者によっては、扱いがぞんざいになります。
たとえば、名塩や山口町の物件を、ろくに現地も見ずに、相場より高い値段で「とりあえず預かる」会社があります。これは以前にもお話しした「高預かり」というやつです。高い値段で看板を出しておいて、なかなか売れない。そのうち「やっぱり売れませんね、下げましょう」と値下げに持っていく。最初から、その筋書きなのです。
もうひとつ。西宮北部の物件を、わざと「不便ですよ」「売れにくいですよ」と弱気なことばかり言って、安く買い叩こうとする業者もいます。買取の話に持っていきたいときの、常套句です。
はっきり申し上げます。西宮北部は、買う人にとっても売る人にとっても、「街ごとの個性」を分かっている人間に相談しないと、損をします。名塩と山口町を同じ「西宮北部」として扱う相手では、話にならないのです。
5. 西宮北部に共通するデメリット
最後に、いいことばかりでは不公平ですから、西宮北部全体の弱点も正直に言います。
- 冬は、神戸市内の南側より、はっきり寒い。雪が積もる日もある。坂の多い名塩などは、雪の朝の運転に気をつかう
- 南側の市街地に比べて若い世代の流入が細い街もあり、将来売るときに買い手が限られる可能性がある
- お店や病院の選択肢が南側に比べて少なく、専門的な医療となると街なかまで出る必要が出てくる
こうしたマイナスを全部受け止めたうえで、「それでも自然が近くて、価格も手頃で、静かに暮らせるこの街がいい」と思える方には、西宮北部は本当におすすめできます。逆に、便利さを一番に求める方には、私は正直、おすすめしません。
まとめ
もう一度、結論を申し上げます。
- 大阪通勤で予算を抑えたいなら「名塩」、ただし坂と高低差を必ず確認すること
- 古さを許せて駅近を望むなら「生瀬」、ただし接道と解体費に注意すること
- 車の暮らしを覚悟してゆったり住みたいなら「山口町」、ただし免許返納後まで考えること
西宮北部に「万人におすすめのエリア」はありません。あるのは、「あなたの暮らし方に合うエリア」と「合わないエリア」だけです。これは断言できます。
最後に、これだけは申し上げたい
西宮北部の家探しは、街の名前だけで決めると、必ずどこかで後悔します。同じ名塩でも、坂の上と下では暮らしが違う。同じ山口町でも、区画によって車の要る度合いが違う。
だからこそ、現地を一緒に歩いて、あなたの今の暮らしと、20年後の暮らしの両方を一緒に考えてくれる人間に相談してください。私はそのために、この仕事を50年やってきました。
北区のことも、西宮北部のことも、損をさせないためなら、いくらでも正直にお話しします。迷ったら、どうぞ気軽に声をかけてください。
センチュリー21・ハートピア
田中章雄


