カテゴリ:あきちゃんの不動産お役立ち情報 / 投稿日付:2026/06/24 06:52
こんにちは。神戸市北区で50年、不動産屋をやっております田中章雄、通称あきちゃんです。
今日は、いつもの北区から少し東に目を向けて、西宮の北部で「買ってはいけない立地」の話をします。
私のところには、北区だけでなく、隣の西宮北部で家を探している方からも、よく相談が来ます。「同じ予算なら、こっちのほうが広い家が買えるんです」と、嬉しそうに資料を持ってこられる。
ここで一歩、立ち止まってください。西宮北部は、いい街です。名塩、生瀬、山口町、それぞれに良さがあります。けれど、同じエリアの中に「絶対に手を出してはいけない立地」が、しれっと混じっています。値段が安いのには、安いだけの理由があるのです。
結論から申し上げます
西宮北部で買ってはいけない立地は、この4つです。
- 急な斜面に古い擁壁が付いている土地
- 土砂災害の警戒区域に入っている土地
- 駅から遠く、バス便しかない奥まった土地
- 高齢化が進んで空き家だらけになっているニュータウンの奥
これは断言できます。この4つのどれかに当てはまる家は、買うときは安くても、売るときに必ず苦労します。順番にお話しします。
1. 急な斜面の「古い擁壁」が付いた土地
西宮北部、特に名塩のあたりは、山の斜面を削って造られた街です。だから、とにかく坂が多い。坂が多いだけなら、まだいいのです。問題は、その斜面を支えている「擁壁」です。
擁壁というのは、土が崩れないように土地を支えているコンクリートや石積みの壁のことです。これが古いと、いざ家を建て替えるときや、地震のあとに「やり替えてください」と言われることがあります。
はっきり申し上げます。この擁壁のやり替えは、安くありません。規模にもよりますが、「200万円」「300万円」、ひどいときは「500万円」を超えることも珍しくないのです。
土地が「800万円」と安く出ていても、擁壁の工事に「400万円」かかったら、結局は安くも何ともない。むしろ、最初から平らな土地を買ったほうが安かった、という話になります。
2. 土砂災害の「警戒区域」に入っている土地
西宮北部は山あいですから、土砂災害警戒区域、いわゆるイエローゾーンやレッドゾーンに指定されている場所が、思った以上にあります。
レッドゾーンに入っていると、家を建て替えるときに制限がかかったり、補強の工事が必要になったりします。当然、銀行の住宅ローンも通りにくくなります。
これは覚えておいてください。土砂災害区域に入った土地は、自分が買うときに安いだけではありません。自分が売るときも、買い手が同じように住宅ローンで苦労します。つまり、出口でも値段が伸びないのです。
3. 駅から遠く、バス便しかない奥の土地
西宮北部の物件で「自然が豊かで静かです」という言葉が出てきたら、少し注意してください。
正直に申し上げます。「自然が豊か」は、裏を返せば「駅から遠い」ということが多いのです。最寄り駅までバスで20分、そのバスも1時間に2本しかない。こういう立地は、車に乗れるうちはいいのです。問題は、その先です。
車を手放したあと、その家から自分の足でどこへ行けるか。買い物も、病院も、すべてが遠くなります。歳を取ってから一番つらいのが、この立地です。
4. 高齢化したニュータウンの「奥」
西宮北部のニュータウンは、できてから40年、50年が経っているところもあります。
街ができた当時に30代で家を買った方が、今は70代、80代です。お子さんは大阪や神戸の街なかに出ていって、戻ってこない。すると、その奥のほうから、ぽつぽつと空き家が増えていきます。
ニュータウンの「入り口に近い、平らで便利な区画」はいいのです。問題は、坂を登った一番奥です。そういう区画は、いざ売ろうとしても買い手がつかず、値段がずるずると下がっていきます。
実際にあった話
去年、西宮北部で家を探していた、Aさんご夫婦(50代)の話をします。
ある不動産屋から、名塩の斜面にある中古の戸建を勧められていました。築35年、敷地も広くて、値段は「1,500万円」。同じ広さなら阪神間の南では「3,000万円」はする物件です。
ご夫婦は「こんなに安くて広いなんて」と、もう気持ちが半分決まった状態で、私のところへ「念のため見てほしい」と相談に来られました。
私は現地を見て、すぐに気づきました。家の下を支えている擁壁が、かなり古い石積みでした。しかも、その土地は土砂災害警戒区域のすぐ際にありました。最寄り駅まではバスで、そのバス停までも坂を5分登る場所です。
私はAさんにこう言いました。「この1,500万円は、安いんやない。あとで擁壁に何百万かかるか分からん土地を、先に安く買わされてるだけです」と。ご夫婦は青くなって、その話を白紙に戻されました。
業界の裏側を、正直に話します
なぜ、こういう土地が「いい話」のような顔をして売りに出るのか。それは、売る側が言葉を上手に言い換えるからです。
- 急な坂のことを「見晴らしが良い」「眺望が抜群」と言う
- 駅から遠いことを「自然に囲まれた」「静かな環境」と言う
- 古い擁壁や土砂災害区域のことは、重要事項説明のときに専門用語でさらっと読み上げて終わりにする
これは断言できます。本当に親切な不動産屋なら、契約の前に「この土地は擁壁にお金がかかるかもしれません」「ここは土砂災害区域です」と、いちばん都合の悪いことを先に言います。都合の悪いことを最後まで黙っている業者は、あなたの味方ではありません。
最後に、デメリットも正直に申し上げます
ここまで「買ってはいけない」と散々言いましたが、フェアに申し上げます。こういう土地にも、向く人はいます。
「車中心の暮らしで、終の住処と決めていて、売ることは一生考えない」という方なら、安く広い家に住めるのは、むしろ得かもしれません。眺めのいい斜面の家で、のんびり暮らすのが夢だった、という方もいます。
つまり、これは「絶対にダメな土地」ではなく、「出口で必ず損をする土地」なのです。買う前に、自分が将来そこを売るのかどうか。そこだけは、冷静に考えてください。
まとめ
もう一度、西宮北部で買ってはいけない立地を申し上げます。
- 急な斜面に古い擁壁が付いている土地
- 土砂災害の警戒区域に入っている土地
- 駅から遠く、バス便しかない奥まった土地
- 高齢化したニュータウンの一番奥
この4つは、買うときの安さに、必ず裏があります。50年やってきて分かったことがあります。土地で失敗する人は、目の前の「安さ」と「広さ」を見ています。土地で成功する人は、30年後に「売れるかどうか」を見ています。
最後に、これだけは申し上げたい
西宮北部で気になる物件が見つかったら、契約の前に、一度だけでいいので、地元を50年見てきた人間に見せてください。
擁壁、土砂災害区域、駅からの距離。この3つを現地で確認するだけで、あとで何百万も損をする土地を、避けることができます。私は「売るため」ではなく、「あなたに損をさせないため」に、正直なことだけを申し上げます。気軽に相談してください。
センチュリー21・ハートピア
田中章雄


