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「値下げしましょう」と言われた人へ。50年見てきた、不動産屋が絶対に言わない値下げの本当の理由
カテゴリ:あきちゃんの不動産お役立ち情報  / 投稿日付:2026/05/07 07:18

こんにちは。神戸市北区で50年、不動産屋をやっております田中章雄、通称あきちゃんです。

今日は、ご自宅の売却を進めておられる方が、どこかで必ず一度は言われる言葉「そろそろ値下げを考えませんか」について、業界の本音をお話しします。

下げない2

ご自宅を売りに出して3ヶ月、半年と経った頃、担当者からこう切り出されたことはありませんか。

「最近、お問い合わせも減ってきましたし、思い切って200万円ほど下げてみませんか」

その値下げ提案、本当にあなたのためでしょうか。

50年やってきて分かったことがあります。値下げを切り出すタイミングと理由には、必ず業者側の都合が絡んでいます。

結論から申し上げます


不動産屋が「値下げしましょう」と言うとき、その理由のほとんどは、売主さんのためではありません。業者側の事情です。

これは断言できます

具体的には、媒介契約の3ヶ月更新タイミング、決算月のノルマ、両手取引にしたい都合、買取業者への流し。売主さんに伝えられる「相場が下がってきました」「お問い合わせが減っています」という説明の裏には、業者にしか分からない事情があります。

私はこの50年、神戸市北区で何百件もの売却に関わってきました。「他社で半年売れず、3回値下げして、それでも売れない」というご相談を、年に何度も受けます。話を聞くと、毎回ほぼ同じパターンが見えてきます。

今日は、その裏側を隠さずお話しします。


1. 値下げを切り出す「3ヶ月」というタイミングの正体


ご自宅を売りに出してちょうど3ヶ月。このタイミングで値下げを言われた方は、要注意です。

なぜ3ヶ月なのか。

媒介契約には、専属専任媒介、専任媒介、一般媒介の3種類があります。このうち専任系の媒介契約は、宅建業法で「最大3ヶ月」と決められています。3ヶ月が過ぎると、契約は自動更新されません。売主さんは、他社に切り替えるか、同じ会社で更新するかを選ぶことになります。

ここで業者側の心理が動きます。

「このまま売れずに更新されなかったら、これまでの広告費も時間も全部水の泡になる」

「なんとしても、この3ヶ月の終わり際に動きを作りたい」

そう考える担当者は、3ヶ月が来る少し前に、必ず値下げを切り出します。値段を下げれば問い合わせが入りやすくなる。問い合わせが入れば「動いている感」が出て、更新もしてもらえる。最悪、安い金額でも成約してしまえば、仲介手数料は確保できる。

これが、3ヶ月目の値下げ提案の正体です。

「相場が落ちてきた」と言われるかもしれません。けれど、神戸市北区の住宅相場が、たった3ヶ月で200万円も動くことは、まずありません。


2. 「両手取引」を狙うための値下げ


業界には「両手」「片手」という言葉があります。

両手というのは、売主さんからも買主さんからも仲介手数料をもらう取引のこと。片手は、どちらか一方からだけもらう取引のことです。同じ家を売っても、両手なら手数料は単純に2倍になります。

業者は当然、両手にしたい。

そのために何をするか。

自社で売主さんから預かった物件は、まず「自社のお客さん(買主候補)」に紹介します。レインズという業者間の物件情報サイトに広く載せて他社にも紹介する義務がありますが、自社で買主を見つけられたら、両手が成立します。

ここでポイントになるのが、価格です。

価格が高いままでは、自社のお客さんも食いつきません。少し下げて「お買い得感」を出せば、買主候補が動きやすくなる。だから業者は「下げましょう」と言うのです。

売主さんからすれば「両手か片手か」は関係ありません。手取りは同じです。けれど、業者にとっては手数料2倍のチャンス。だから「下げて、自社で決めたい」という力学が働きます。

これは断言できます。神戸市北区の不動産屋でも、当たり前のように起きていることです。


3. 決算月と支店ノルマの存在


不動産会社、特に大手やフランチャイズには、月単位、四半期単位、半期単位のノルマがあります。

担当者のボーナスや評価は、当然このノルマで決まります。支店長は本部から「今月あと2件決めろ」と尻を叩かれている。担当者は「契約を1件取れば、ボーナスがいくら増える」と計算しながら動いている。

決算月や月末が近づくと、現場の空気は一気に変わります。

「とにかく今月中に決めたい」

「いくらでもいいから、印鑑を押してもらいたい」

この空気の中で、売主さんに「値下げしましょう」と切り出されます。

売主さんからすれば、3ヶ月かけて2,800万円で出していた家が、月末の数日前に「2,400万円にすれば月内に決まりますよ」と言われる。冷静に考えれば400万円の差は大きい。けれど、業者にとっては「決まれば手数料が入る、ノルマが達成される」ほうが大事なのです。

「お客様のため」と言いながら、本当は支店ノルマのため。

50年見てきましたが、これは今も変わっていません。


4. 「高預かり」のリカバリーとしての値下げ


業界には「高預かり」という慣習があります。

媒介契約を取るために、相場より高い金額で査定を出す。とりあえず売却を任せてもらう。けれど、その金額では当然売れない。1ヶ月、2ヶ月と過ぎた頃、「やはり相場が」と理由をつけて値下げを切り出す。

これは値下げというより、最初から正常な相場に戻しているだけの作業です。

売主さんからすれば「最初から正しい値段を言ってくれていれば、こんなに時間を無駄にしなかった」という話です。けれど業者は、それを正直に言えません。「最初の査定が間違っていました」と認めることになるからです。

だから「相場が変わってきました」「冬は売れにくい時期で」と外的な理由を持ち出して、値下げを正当化します。

はっきり申し上げます。神戸市北区の住宅相場が、たった3ヶ月で500万円も動くことはありません。それでも値下げを迫られるとしたら、最初の査定が高すぎたということです。


5. 実例 ― 藤原台のCさん、決算月に300万円下げさせられかけた話


具体的な話をします。

去年、藤原台の戸建てを売却されたCさん(65歳)の実例です。築28年、土地55坪、建物35坪。最初の査定は3,200万円。大手の不動産会社に専任で預けられました。

3ヶ月経って、内見は数件あったものの成約せず。担当者から「2,900万円に下げましょう」と提案され、値下げ。

そこからさらに2ヶ月。9月の終わりが近づいた頃、また連絡が入りました。

「この月内に決めたいので、思い切って2,600万円にしませんか。今、買いたいというお客さんがいるんです」

Cさんは違和感を覚えました。3ヶ月前は「2,900万円なら売れる」と言われたのに、今度はさらに300万円下げる。しかも「買いたいお客さん」というのが、いかにも急ぎの話に聞こえる。

私のところに相談に来られました。

私はCさんにこう申し上げました。

「Cさん、その業者は今、9月末の決算で焦っています。担当者にも支店にもノルマがある。3,200万円も2,900万円も2,600万円も、業者にとっては『決まれば仲介手数料が入る』という意味では同じです。本当に下げる必要があるのか、まずレインズの登録状況と、実際の問い合わせ数を確認させてください」

調べてみると、レインズへの登録は専任媒介を取った直後の1週間だけ更新されており、その後3ヶ月以上、登録情報の更新がほぼされていない状態でした。これは、自社で買主を見つけたい(両手にしたい)業者がよくやる手口です。他社に動かれたくないので、レインズの情報を積極的に出さない。

Cさんには、まず他社にも査定を出し直してもらいました。3社から、いずれも2,850万円から2,900万円の査定。つまり、相場は変わっていなかったのです。

最終的にCさんは媒介契約を私のほうに切り替えられ、価格を2,880万円で出し直し。2ヶ月後に2,820万円で成約しました。

「あのまま2,600万円で決めていたら、220万円損しとったということですね」

Cさんは苦笑いされていました。


6. 値下げが本当に正しい場合もある


ここまで「値下げ提案には裏がある」とお話ししてきました。

けれど、正直に申し上げます。値下げが正解の場合もあります

それは、最初の値段が本当に相場より高すぎた場合です。

業者の高預かりに乗ってしまった、あるいは売主さんの希望価格が相場と乖離していた。3ヶ月経っても1件も内見が入らない。レインズも他社も「お客さんに紹介したくても、この価格では動かない」と言っている。

こういう場合は、業者の言う「値下げ」が、結果的には正しい判断になります。

問題は、値下げ提案を受けたときに、その判断が「業者都合」なのか「相場との乖離」なのかを、売主さん側で見分ける材料を持っていないことです。

見分けるためには、こういう情報を業者に必ず確認してください。

  • レインズへの登録状況と、過去30日以内に情報が更新されているか
  • 問い合わせの数(電話・メール・ポータルサイトのお気に入り登録数)
  • 内見に来た人数と、その人たちの感想
  • 近隣の似た条件の物件の、最近3ヶ月の成約事例

これらをきちんと開示してもらえないなら、その業者は信用できません。


7. デメリットも正直に申し上げます


値下げを断ることのデメリットも、正直に申し上げます。

一つ目。値下げを断り続けると、その物件は本当に「枯れて」しまいます。半年、1年と売れない物件は、業界内で「あの物件、何かあるんちゃうか」と見られるようになります。一度この目で見られると、正常な価格でも売れにくくなります。

二つ目。値下げを断って業者を変えると、新しい業者がレインズで「同じ物件が長く出ていた」履歴を見ます。買主候補も同じです。「半年も売れていない物件」というレッテルは、業者を変えても消えません。

三つ目。最初の値段が本当に高すぎた場合は、いずれ値下げが必要になります。それを認められず高値で出し続けると、結局1年経って大幅な値下げをすることになり、損失はさらに大きくなります。

ですから、値下げ提案を全部断れと言っているわけではありません。提案された値下げが「業者都合」なのか「正当な調整」なのかを、見極める目を持ってください、ということです。


まとめ


50年やってきて分かったことを、もう一度繰り返します。

不動産屋が「値下げしましょう」と言うとき、その理由は、表に出てこない業界の事情と必ず絡んでいます。

  • 媒介契約の3ヶ月更新タイミング
  • 両手取引にしたい業者の都合
  • 決算月や支店ノルマ
  • 最初の高預かりのリカバリー

これらを知っているかどうかで、値下げに応じるかどうかの判断が変わります。

値下げ提案を受けたら、必ずレインズの登録状況、問い合わせ数、内見者の反応、近隣の成約事例を確認してください。それを開示できない業者は、信頼するに値しません。


最後に、これだけは申し上げたい


私のところには、毎年「他社で値下げを迫られているのですが、どうしたらいいでしょうか」というご相談が、たくさん入ります。

中には、本当に正当な値下げ提案もあります。けれど、半分以上は「業者の都合」が混じっています。

ご自宅を売りに出されていて、業者から値下げを切り出された方。あるいは、これから売却を考えておられる方。

「この値下げ、本当に必要なんやろか」

「うちの家、いくらで出すのが正しいんやろか」

そう思われたら、一度ご相談ください。50年やってきた私が、業者の側ではなく、売主さんの立場から正直に申し上げます。値下げが本当に必要なのかどうか、どう判断すればいいか、隠さずお話しします。

無理にうちで売却を勧めることはありません。「今の業者のままで大丈夫ですよ」と申し上げることもあります。

それくらい、正直にやってきたから50年続けてこられたのだと思っています。

センチュリー21・ハートピア
田中章雄

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