カテゴリ:あきちゃんの不動産お役立ち情報 / 投稿日付:2026/06/27 12:15
こんにちは。神戸市北区で50年、不動産屋をやっております田中章雄、通称あきちゃんです。
今日は、北区で家を買おうとする方から一番よく聞かれる質問のひとつ、「北区で車なし生活は可能か」というお話をします。
特に若いご夫婦や、車を手放そうかと考えておられる高齢のご夫婦から、この質問をよくいただきます。ここは、買う場所を決める前にきちんと考えておかないと、あとで一番後悔するところです。
どうか、ここで一歩立ち止まって読んでください。
結論から申し上げます
北区での車なし生活は、「立地を選べば可能」です。けれど、どこでも可能なわけではありません。
成り立つのは、神戸電鉄の駅まで歩ける場所か、バスの本数がしっかりある大型団地だけです。
それ以外の場所で「車なしでいけるだろう」と思って安い家を買うと、たいてい数年後に車を買い直すことになります。これは断言できます。
1. 車なしが成り立つ立地、成り立たない立地
50年やってきて分かったことがあります。北区は同じ「北区」でも、駅から歩けるかどうかで生活がまったく別物になります。
車なし生活が成り立つのは、だいたい次のような場所です。
- 神戸電鉄の岡場駅、田尾寺駅、鈴蘭台駅、北鈴蘭台駅などから歩いて10分以内
- 藤原台のように、団地の中に神姫バスと神戸市バスが何本も通っていて、スーパーや病院も団地内にある場所
- 谷上駅のように、北神急行で三宮まで一本で出られる駅の近く
逆に、車がないと生活が回らないのは、駅からバスでしか行けず、そのバスが日中に1時間1本しかないような場所です。
ここを間違えると、毎日の買い物と通院が一気にしんどくなります。
2. 「電車は便利」でも「最後の坂」が問題になる
北区は坂の多い土地です。これは正直に申し上げておきます。
電車そのものは便利です。岡場から三宮まではおおむね40分前後、谷上からなら三宮まで一本です。通勤や通学だけを考えれば、車なしでも十分やっていけます。
問題は、駅やバス停から「家までの最後の坂」です。
地図の上では「駅徒歩12分」と書いてあっても、その12分が上り坂だと話が変わります。若いうちは平気でも、雨の日に荷物を持って上がる坂、70歳を過ぎてから毎日上がる坂は、想像よりずっとこたえます。
家を選ぶときは、駅までの距離だけでなく、その道が平坦か坂かを必ず自分の足で歩いて確かめてください。
3. バスの本数は「時刻表の昼と夜」を見る
車なし生活ができるかどうかは、最寄りのバスの本数で決まると言ってもいいくらいです。
ところが、ここに落とし穴があります。
チラシや物件資料には「バス停まで徒歩3分」「岡場駅までバス10分」とだけ書いてあります。けれど、そのバスが朝は1時間に4本あっても、昼間は1時間に1本、夜は8時台が最終、ということが北区では珍しくありません。
通勤の朝だけ見て「便利だ」と思って買うと、休日の昼や、夜遅い帰りで詰まります。
バスを当てにするなら、必ず平日の昼と夜、そして土日の時刻表まで自分で確認してください。これだけは覚えておいてください。
4. 実際にあった話
何年か前のことです。
岡場から少し離れた、駅徒歩25分でバス便のエリアに、Bさんという38歳のご夫婦が中古の戸建を買われました。相場より400万円ほど安い、2,180万円の家でした。
ご夫婦は車を持たない主義で、「自転車と電車でやっていける」と考えておられました。最初の2年ほどは、実際に自転車で岡場まで出て頑張っておられました。
ところが、お子さんが生まれてから様子が変わりました。
雨の日に赤ちゃんを抱えて坂を自転車では下りられません。バスは昼間1時間に1本。買い物の荷物と子どもを連れての移動が、毎日の大きな負担になりました。
結局、3年目に中古の軽自動車を買われました。維持費は駐車場代も入れて年間40万円ほど。「安く買ったつもりが、車で取り返されました」と苦笑いしておられたのを覚えています。
これは、Bさんがだらしなかったわけではありません。立地が、はじめから車を前提とした場所だったのです。
5. 不動産屋が言わないこと
ここは業界の裏側になりますが、はっきり申し上げます。
私たち不動産屋は、「バス便10分」「駅徒歩」と便利な面は資料に大きく書きます。けれど、そのバスが昼間に1本しかないこと、駅までの道が急な上り坂であることは、聞かれない限りこちらから言わないことが多いのです。
なぜか。車なしでも住めると思ってもらえたほうが、その物件が「広く・安く・買いやすい」魅力的な家に見えるからです。
特に、駅から遠くて売れ残っている家ほど、「車がなくても大丈夫ですよ」という言葉が出てきます。ここは疑ってかかってください。
便利さを口で言う営業より、時刻表と坂を自分の足で確かめる。これが一番確実です。
6. 正直なデメリット
車なし生活が成り立つエリアにも、ちゃんとマイナス面があります。これも隠さず申し上げます。
駅近やバスの便が良いエリアは、その分だけ物件の値段も家賃も高くなります。安い家はたいてい、車があること前提の立地です。
つまり、「車を持たない代わりに、住まいにお金がかかる」か、「住まいを安くする代わりに、車の維持費がかかる」か、どちらかになります。
車1台の維持費は、駐車場・保険・税金・車検を入れると年間30万円から40万円。これが10年で300万円から400万円です。
家を400万円安く買えても、車で10年かけて取り返してしまっては意味がありません。立地と車の費用は、必ずセットで考えてください。
まとめ
北区での車なし生活は、可能です。ただし、駅徒歩圏か、バスの本数がしっかりある団地に限ります。
それ以外の場所で「車なしでいける」と思って安い家を買うと、数年後に車を持つことになり、結局は高くつきます。
家を選ぶときは、駅までの距離だけでなく、坂の有無、バスの昼と夜の本数、この3つを必ず自分の足と目で確かめてください。
最後に、これだけは申し上げたい
北区で車を持つか持たないかは、その家を何年も使う暮らしそのものに直結します。だからこそ、買う前に「この立地で車なし生活が本当に成り立つのか」を一緒に確かめることが大事です。
私は50年、この北区の坂もバスも電車も見てきました。気になる物件があれば、その立地で車なし生活が成り立つかどうか、遠慮なくご相談ください。正直なところを、損をさせない目線でお話しします。
センチュリー21・ハートピア
田中章雄


