カテゴリ:あきちゃんの不動産お役立ち情報 / 投稿日付:2026/06/29 07:12
こんにちは。神戸市北区で50年、不動産屋をやっております田中章雄、通称あきちゃんです。
今日は、北区で家を探す人が必ずぶつかる「坂」の問題について、正直にお話しします。
北区に住むということは、坂と付き合うということです。これは50年ここで商売をしてきた私が、はっきり申し上げられることです。
「坂のない平らな北区」を探そうとする方がいますが、それはほとんど見つかりません。だからこそ、坂を嫌って避けるのではなく、どう付き合うかを先に考えておくことが大事なんです。ここで一歩立ち止まって、最後まで読んでください。
結論から申し上げます
北区で家を選ぶとき、問題なのは「坂があるかどうか」ではありません。「どの坂か」です。
同じ坂でも、将来あなたを助ける坂と、あなたを苦しめる坂があります。これは断言できます。
そして多くの人が、若くて元気なときに、苦しめるほうの坂を選んでしまうんです。
1. なぜ北区はこんなに坂が多いのか
50年やってきて分かったことがあります。北区の坂は、たまたまではなく、地形ではっきり決まっているということです。
北区は六甲山の北側に広がる、もともと山と谷の土地です。藤原台も、鈴蘭台も、山を削り、谷を埋めて造成してできた住宅地です。
平らに見える街並みでも、一歩道を入れば上り下りがあります。これは北区の宿命のようなものです。だから「坂が嫌だから避ける」では、そもそも家が選べません。坂とどう付き合うかを考えるしかないんです。
2. 坂が将来あなたに効いてくる三つの場面
坂は、買うときには大した問題に見えません。問題になるのは、もっと後です。
- 体力が落ちたとき
- 車を使う冬の朝
- その家を売るとき
この三つの場面で、坂は静かに、しかし確実に効いてきます。順番に申し上げます。
3. 一番こわいのは「歳をとってからの坂」です
はっきり申し上げます。坂の本当のこわさは、20年後、30年後に出てきます。
50歳で買った家なら、そのとき坂はなんともありません。むしろ「健康にいい」くらいに思います。ですが、その家に70歳、80歳で住み続けることを想像してください。
- 買い物袋を提げて、上り坂を登る
- 雨の日に、濡れた坂を下りる
- 膝を悪くして、毎日の坂が苦痛になる
私のお客さんで、Aさん(73歳)という方がいました。45歳のとき、藤原台の見晴らしのいい坂の上の家を「2,900万円」で買われました。当時はバス停まで坂を下って5分、なんともなかったそうです。
ところが70歳を過ぎて膝を悪くされてから、その坂が毎日つらくなった。結局、家を売って駅の近くの平らなマンションに移ることにされました。そのとき売れた値段が「1,650万円」です。立地が坂の上で不便だということで、なかなか買い手がつかず、値段を下げざるを得なかったんです。
4. 冬の坂は、車を持つ人の問題です
北区の坂は、冬にもう一つの顔を見せます。凍るんです。
北区の冬は神戸の中心部より明らかに寒く、朝晩は氷点下になる日があります。坂道が凍ると、車が上れません。下りでもブレーキが効かず、ヒヤッとすることがあります。特に、家の前がそのまま急な上り坂になっている家。ここは冬の朝、車を出すだけでひと苦労です。
Bさんご夫婦は、そこをちゃんと考えた方でした。坂の上の見晴らしのいい土地と、坂の下の平らな土地で迷われて、最後に平らなほうを選ばれました。決め手は奥さんの一言だったそうです。「私たちは80歳までここに住む。眺めは10年で飽きるけど、坂は30年つらい」と。
そのとおりだと、私は思いました。これは覚えておいてください。眺望は慣れます。坂は慣れません。
5. 業界の裏側を正直に申し上げます
ここからは、私たち不動産屋が坂をどう「見せている」か、本音でお話しします。
坂の上の家は、不便だから安い。けれど、売る側はそれを「不便」とは言いません。言い換えるんです。
- 「眺望が抜群です」
- 「高台で静かです」
- 「日当たりが最高です」
どれも嘘ではありません。坂の上は確かに見晴らしがよく、静かで、日当たりもいい。ですが、その裏には必ず「坂を登らないと帰れない」という事実があります。そこは、聞かれないかぎり進んで言わない業者が多いです。
もう一つ、内見のときのやり方があります。お客さんを車に乗せて、坂を車でスーッと上って家に着ける。歩いて登っていないから、お客さんは坂のきつさを体で感じないままになる。これも、よくある見せ方です。
私は逆をやります。坂のある家を案内するときは、必ず一度、お客さんに自分の足で坂を登ってもらいます。「この坂を、70歳のあなたが毎日登れますか」と。それで気持ちが冷めるなら、その家はやめたほうがいいんです。
6. では、坂とどう付き合えばいいのか
避けられないなら、選び方で備える。これが答えです。具体的に申し上げます。
- 家の前が平らで、坂は「家に着く手前まで」で終わっている立地を選ぶ。家の真ん前が急坂の家は避ける
- 坂の途中より、坂を登りきった先が平坦に開けている場所を選ぶ。登り切ればフラット、という地形は意外と楽
- バス停・スーパー・駅まで、上りで帰る動線になっていないか確認する。行きが下りで帰りが上り、これが毎日効く
- 擁壁(ようへき)のある土地は、その擁壁が古くないか必ず見る。古いと将来「数百万円」の作り直しが要ることがある
この四つを押さえるだけで、坂のリスクはかなり下げられます。
7. デメリットも正直に申し上げます
平らで便利な土地を選べば安心か、というと、そう単純でもありません。
北区で平らで駅にも近い土地は、当然ながら人気で、値段も高いです。坂の上の家より「500万円から1,000万円」高いことも珍しくありません。逆に、坂の上の不便な家は、安く買えます。眺めも静けさも手に入る。若くて車があって、体も元気なうちは、これほどお得な買い物もありません。
つまり、坂の上の家が悪いのではないんです。「自分が何歳まで、どんな体で、そこに住むのか」を考えずに買うのが危ないんです。10年で住み替える前提の若いご夫婦なら、坂の上の安くて眺めのいい家は、立派な正解になります。終のすみかにするなら、多少高くても平らを選ぶ。そういう判断です。
まとめ
北区で坂は避けられません。だから「坂のあるなし」で悩むのは、あまり意味がないんです。
大事なのは、その坂が30年後の自分に効いてくるかどうかを、買う前に見ておくこと。体力が落ちたとき。冬の凍った朝。そして、売るとき。この三つの場面を想像してから決めてください。
眺望は慣れます。坂は慣れません。これだけは、もう一度申し上げておきます。
最後に、これだけは申し上げたい
坂のある家を見に行くときは、どうか一度、自分の足でその坂を登ってみてください。そして「20年後の自分が、ここを毎日登れるか」を考えてみてください。
その判断に迷ったら、私のような地元の人間に、遠慮なく聞いてください。北区のどの坂が将来きついか、どの坂なら大丈夫か、50年見てきた私はだいたい分かります。家は、買うときより、何十年も住んだあとのことで決まります。坂はその最たるものです。一緒に、後悔のない選び方を考えましょう。
センチュリー21・ハートピア
田中章雄


