カテゴリ:あきちゃんの不動産お役立ち情報 / 投稿日付:2026/06/18 10:24
こんにちは。神戸市北区で50年、不動産屋をやっております田中章雄、通称あきちゃんです。
今日は、私が50年この仕事をやってきて、ずっと心の中であたためてきた北区の「穴場エリア」、つまり隠れた好立地の話をします。
ここで一歩、立ち止まってください。「穴場」という言葉は、よく耳にしますね。けれど、本当の穴場というのは、不動産屋がチラシで大きく宣伝している場所ではありません。むしろ、表にあまり出てこない場所です。
なぜ出てこないのか。その理由まで含めて、今日は正直に全部お話しします。
結論から申し上げます
北区の穴場とは、「駅から少し歩くけれど、生活の便と、資産の落ちにくさを両立している場所」のことです。
具体的に名前を挙げます。
- 唐櫃台
- 大池の周辺
- 北鈴蘭台の一部
この3つです。ただし、これだけは先に言っておきます。穴場には、穴場であるだけの理由、つまり弱点も必ずあります。そこを隠して「いい場所ですよ」とだけ言う不動産屋は、信用しないでください。
1. そもそも、なぜ「穴場」が生まれるのか
50年やってきて分かったことがあります。穴場というのは、人気がないから安いのではありません。「正しく評価されていないから安い」のです。
不動産の値段は、駅からの距離と、知名度で大きく動きます。藤原台や岡場のように名前が通った場所は、それだけで値段が上がります。
ところが、その隣に、駅から5分か10分よけいに歩くだけで、暮らしの中身はほとんど変わらない場所があったりします。値段だけは「200万円」「300万円」と安い。これが穴場です。
つまり穴場は、「名前の知名度」と「実際の住み心地」の間に、ズレが残っている場所のことなのです。
2. 唐櫃台:三宮に一番近い「北区の裏口」
まず唐櫃台です。ここを穴場と呼ぶ一番の理由は、三宮への近さです。
電車で行こうとすると北区はどうしても時間がかかる、というイメージがあります。けれど唐櫃台は、車で新神戸トンネルを抜ければ、三宮まで15分ほどで出られます。北区にいながら、都心が驚くほど近いのです。
それでいて、値段は藤原台より落ち着いています。同じ広さの戸建てでも、数百万円安く手に入ることが珍しくありません。
実例をお話しします。藤原台で家を探していたAさんご夫婦(42歳と39歳)がいらっしゃいました。お子さんが2人。予算は「3,000万円まで」と決めていました。
ところが藤原台の北町あたりで気に入った戸建ては、どれも3,400万円から3,600万円。予算を400万円から600万円オーバーしていました。
そこで私は唐櫃台をお見せしました。土地の広さも建物の広さもほとんど同じ。それでいて2,750万円。Aさんは「同じ北区で、三宮にはむしろこっちの方が近いのに、なぜこんなに安いんですか」と驚いていらっしゃいました。
理由は単純です。「藤原台」という名前ほど、唐櫃台の名前が通っていないからです。住み心地ではなく、知名度の差だったのです。Aさんはここを買われて、いま大変満足してお住まいです。
3. 大池の周辺:値段が暴れない安心感
次に、神鉄の大池駅の周辺です。ここの良さは、派手さではありません。「値段が暴れない」ことです。
50年見てきて、これは断言できます。値段が一気に上がる場所は、一気に下がる場所でもあります。流行で買われた土地は、流行が去れば売れなくなります。
大池の周辺は、もともと派手に値上がりしたことがありません。そのかわり、ガクンと落ちることもないのです。買ったときと10年後で、値段がそれほど変わらない。これは、長く住む人にとっては、実はとてもありがたいことなのです。
ここでもう一人、実例を出します。定年退職されたBさん(68歳)が、市街地のマンションを売って、北区で平屋のような暮らしがしたいと相談に来られました。
私は大池の周辺で、築28年の中古戸建てを1,980万円でご紹介しました。庭があり、夫婦二人には十分な広さでした。Bさんは「終の住処にするなら、値段が暴れない場所がいい」と言って、ここに決められました。派手ではない。けれど、安心して年を重ねられる。これも立派な穴場です。
4. 北鈴蘭台の一部:古いけれど、芯が強い
3つめは、北鈴蘭台です。「古い団地のイメージがある」と言われることがあります。正直に言えば、その通りの一面もあります。建物が古くなっている区画は確かにあります。
けれど、見るべきはそこではありません。この一帯は、もともと造成がしっかりしている場所が多いのです。地盤を整えてから家を建てた区画は、何十年たっても傾いたりしません。古いことと、土地の質が悪いことは、まったく別の話です。
駅まで歩ける区画でありながら、値段はぐっと抑えられています。リフォーム前提で安く買い、中をきれいにして長く住む。こういう買い方をする人には、北鈴蘭台はとても向いています。
なぜ不動産屋は、穴場をあなたに勧めないのか
ここから業界の裏側の話をします。聞いて損はありません。
不動産屋は、穴場を知っています。プロなのですから、知らないわけがありません。それなのに、お客さんにあまり勧めない。なぜか。理由は3つあります。
1つめ。穴場は、説明に手間がかかるからです。「唐櫃台は三宮に近いんですよ」と一から説明するより、「藤原台ですよ」と言う方が、お客さんはすぐ納得します。営業マンは、手間のかからない人気エリアを勧めたがります。
2つめ。人気エリアの方が、早く売れて、早く次の取引に移れるからです。不動産屋にとって、回転の速さは利益に直結します。じっくり穴場を説明するより、すぐ売れる物件をさばく方が儲かるのです。
3つめ。これが一番の本音です。自社で抱えている物件を、優先して勧めたいからです。売主と買主の両方から手数料をもらえる「両手取引」になるよう、自社の在庫から先に出す。あなたに一番合った穴場ではなく、会社が売りたい物件が、先に出てくるのです。
はっきり申し上げます。「おすすめですよ」と最初に出てくる物件が、あなたにとっての穴場とは限りません。
穴場の弱点も、正直に全部話します
ここまで良い話をしてきましたから、デメリットも必ずお伝えします。これを隠す不動産屋は信用してはいけません。穴場には、共通する弱点があります。
まず、売るときに時間がかかります。知名度が低いということは、買いたい人を見つけるのにも時間がかかるということです。「3年以内に転売して利益を出したい」という人には、穴場は向きません。
次に、坂やバス便の区画が多いことです。唐櫃台も北鈴蘭台も、平らではありません。若いうちは気になりませんが、年をとると坂はこたえます。車に乗らない暮らしを考えているなら、ここはよく確認してください。
そして、これは正直に言いますが、人口が減っていくと、近くのスーパーや病院が撤退する可能性があります。今あるから安心、ではありません。20年後にどうなっているかまで考えて選ぶべきです。
穴場は、「自分が長く腰を据えて住む」なら正解です。けれど「すぐ売って儲ける」目的には向きません。ここを取り違えると、せっかくの穴場が、ただの売れない土地になってしまいます。
まとめ
もう一度、結論を繰り返します。北区の穴場は、唐櫃台、大池の周辺、北鈴蘭台の一部。
いずれも、知名度のわりに住み心地が良く、値段が落ち着いている場所です。けれど、売るのに時間がかかる、坂が多い、将来の生活施設が読みにくい、という弱点も必ずあります。
良いところだけを並べる話は、信じないでください。弱点まで言える人の話を、信じてください。
最後に、これだけは申し上げたい
穴場というのは、地図やチラシを眺めているだけでは、絶対に見つかりません。50年この街を歩いてきた者にしか分からない、土地一つひとつの事情があるからです。
「自分の予算で、北区のどこなら長く安心して住めるのか」。それを一緒に探したいという方は、どうぞ気軽に声をかけてください。売るためではなく、あなたが損をしないために、正直にお話しします。
センチュリー21・ハートピア
田中章雄


