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実際にあった相談事例をお話しします
カテゴリ:あきちゃんの不動産お役立ち情報  / 投稿日付:2026/07/22 07:18

こんにちは。神戸市北区で50年、不動産屋をやっております田中章雄、通称あきちゃんです。

今日は、いつもの「こうしなさい」という話ではなく、私が実際にこの店で受けてきた相談事例を、そのままお話ししようと思います。数字も状況も、ほとんど手を加えていません。

実際

50年もこの仕事をやっていますと、ありとあらゆる相談が持ち込まれます。嬉しい相談もあれば、聞いていて胸が痛くなる相談もあります。

うまくいった話ばかり並べても、皆さんの役には立ちません。だから今日は、失敗した話も、私が力になれなかった話も、正直に入れます。

ここで一歩、立ち止まってください。

これから出てくる方々は、決して特別な人ではありません。北区のどこにでもいる、普通のご家族です。だからこそ、明日は我が身だと思って読んでいただきたいのです。


結論から申し上げます


相談に来られる時期が、早いか遅いか。私が50年見てきて、お客さんの手取りを一番左右したのは、これでした。

物件の良し悪しでも、業者の腕でもありません。「もう少し早く来てくれていたら」と、私が何度唇を噛んだか分かりません。

はっきり申し上げます。不動産の相談は、困ってからでは遅いことが多いのです。今日の事例を読んで、その意味を感じ取っていただければと思います。


1. 「査定額が高い会社に任せた」Aさんの話


まず、藤原台のAさん(当時65歳)の話をします。奥様を亡くされ、お一人になった一戸建てを売って、駅前のマンションに移りたいという相談でした。

Aさんは私のところにも来られましたが、他に2社にも査定を頼んでいました。私が出した査定は「2,600万円」。ところが別の会社は「3,100万円」と出してきた。

Aさんは迷わず、高いほうの会社に任せました。当然です。500万円も違えば、誰だってそちらを選びます。私は「その値段では、たぶん売れませんよ」と一言だけ伝えました。

半年後、Aさんがまた店に来られました。家は、まだ売れていませんでした。3,100万円で出したものの問い合わせすら来ず、そのころには「2,700万円」まで下げていた。それでも売れない。買い手からは「ずっと売れ残っている家」という目で見られていました。

これは断言できます。最初に高い値段をつけて売れ残った家ほど、あとで安くなります。最初から適正な値段で出していれば、Aさんの家は2,600万円前後ですっと売れていたはずでした。結局この家が売れたのは、さらに半年後。値段は「2,400万円」でした。


2. 「兄弟で揉めたくないから」と何もしなかったBさんの話


次は、少し重い話をします。北区のBさん(当時70歳)ご兄弟の話です。お父様が残されたのは、有馬に近い実家が一軒。評価額で「2,800万円」ほどでした。

3人兄弟で、皆さん仲は良かった。だから「揉めたくないから、今は何も決めないでおこう」ということになった。

50年やってきて分かったことがあります。「仲がいいから大丈夫」というご家族ほど、後で揉めます。なぜか。仲がいいから、誰も嫌われ役になって「こうしよう」と言い出せないのです。

その間も、空き家の固定資産税は毎年「10万円」かかり続けました。誰も住まない家は傷むのも早く、雨漏りが始まり、庭は荒れ放題になりました。

5年経ちました。長男さんが体を悪くされ、「もう現金にして分けたい」と言い出した。ところが今度は、次男さんの奥様が「あの家には思い出がある」と反対された。家族だけの話が、家族の外まで広がってしまった。ここまで来ると、私のような不動産屋にはもう手が出せません。

最終的にこの家が売れたのは、私が相談を受けてから7年後。値段は「1,900万円」まで下がっていました。払い続けた固定資産税と合わせれば、1,000万円近くを失った計算になります。はっきり申し上げます。この損は、お金を惜しんだから出たのではありません。「話し合いを後回しにした」から出た損です。


3. 「早く動いたおかげで救われた」Cさんの話


暗い話ばかりでは申し訳ないので、うまくいった話もします。岡場のCさん(当時68歳)の話です。Cさんは、まだお母様がお元気なうちに相談に来られました。

「母が施設に入ることになりそうだ。実家をどうすればいいか、今のうちに考えておきたい」

これが、一番いい相談の来かたです。困ってからではなく、困る前に来られた。私はCさんに、慌てて売る必要はないこと、ただしお母様がご存命で意思がはっきりしているうちに、家族で方針だけは決めておくことをお勧めしました。

Cさんは、ご兄弟とお母様を交えて一度きちんと話をされました。「母が施設に入って空き家になったら、無理のない値段で売って、施設の費用に充てる」。これだけ決めておいた。

一年後、お母様が施設に入られ、家は空き家になりました。方針が決まっていたので、Cさんご兄弟は迷いませんでした。私はすぐに「2,500万円」で売り出し、大きく値引きすることもなく「2,450万円」で決まりました。

同じ北区の、同じような築年数の家です。それでもBさんとCさんで、これだけ結果が変わりました。差は、たった一つ。動いた時期だけです。


4. 業界の裏側を、この事例から申し上げます


ここで、業界の裏の話をします。なぜ、最初に高い査定を出す会社があるのか。Aさんのケースがまさにそれです。

高い値段を言えば、売主は喜んで契約してくれます。専任媒介という、その会社だけが売る契約を取れる。あとは時間をかけて、じわじわ値下げをお願いしていけばいい。売れなくても、業者はほとんど困りません。困るのは、売れ残った家を抱えた売主だけです。

これを私は「高預かり」と呼んでいます。高く預かって、あとで下げる。50年見てきて、一番売主を損させてきた手口です。

もう一つ。空き家を放置したBさんのようなご家族に、あえて何も言わない業者もいます。傷んで安くなった家を、あとから買取業者が安く仕入れる。誰かの後回しは、必ずどこかで誰かの儲けになっているのです。


5. デメリットも正直に申し上げます


ここまで「早く動きなさい」と申し上げてきましたが、正直にマイナス面も書きます。早く動くことにも、しんどさはあります。

親御さんがご存命のうちに家の話をするのは、気が引けるものです。「縁起でもない」「財産を狙っていると思われないか」。そう感じて、切り出せないお気持ちはよく分かります。Cさんも、最初は「母にどう切り出せばいいか」と、ずいぶん悩んでおられました。

それでも、と私は思います。気まずさを避けて後回しにした結果が、Bさんの7年です。少しの気まずさと、1,000万円の損。どちらを取るかという話です。

もう一つ、正直に申し上げます。早く相談に来られても、私が救えないこともあります。相場そのものが下がっていく地域では、どんなに早く動いても、値段の下落は止められません。不動産屋は魔法使いではありません。


まとめ


今日は、私が実際に受けてきた相談を、そのままお話ししました。

  • Aさんは、高い査定に釣られて、かえって安く売りました
  • Bさんは、後回しにして、7年で1,000万円近くを失いました
  • Cさんは、困る前に動いて、きれいに売り切りました

3人の差は、財産の多さでも、運でもありません。相談に来られた時期と、決断の早さ。それだけでした。

これは断言できます。不動産で得をする人と損をする人を分けるのは、頭の良さでも、お金の多さでもありません。「早めに、正直な人に相談したかどうか」です。


最後に、これだけは申し上げたい


今日出てきた方々は、どこにでもいる普通のご家族です。あなたのご家庭と、何も変わりません。

もし今、頭のどこかに「そのうち考えないといけないな」と引っかかっている家があるなら、それが動きどきです。売る売らないを決める前で構いません。「うちの場合はどうなるか」を、一度聞きに来てください。

売るための相談ではなく、損をしないための相談として、いつでもお待ちしています。

センチュリー21・ハートピア
田中章雄

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