カテゴリ:あきちゃんの不動産お役立ち情報 / 投稿日付:2026/08/19 08:16
こんにちは。神戸市北区で50年、不動産屋をやっております田中章雄、通称あきちゃんです。
今日は、ひよどり台と星和台。この二つの街を、正直に評価します。
この二つは、北区の中でも「知っている人は知っているが、探している人は最初に名前を出さない街」です。鈴蘭台や藤原台のように、パッと名前が浮かぶ街ではありません。
けれど私のところには、毎年何人か、この二つの街で家を買われる方も、売られる方もおられます。そして買った方の満足度と後悔の分かれ方が、他の街よりはっきり出るのが、この二つなのです。
だから今日は、良いところも悪いところも、隠さず書きます。
結論から申し上げます
ひよどり台は「三宮に近い北区」です。星和台は「静かで安い西鈴蘭台圏」です。
まったく性格の違う街です。同じ北区だからといって、同じ物差しで比べてはいけません。
そして、はっきり申し上げます。ひよどり台は、車とバスを一生使い続ける覚悟がある方だけが買っていい街です。星和台は、坂を歩ける体力があるうちだけが快適な街です。
この二つを分かったうえで買われた方は、まず後悔されません。分からずに「安いから」で買われた方が、10年後、15年後に私のところへ相談に来られます。
1. ひよどり台という街を、まず正確に説明します
ひよどり台は、北区の中でいちばん南にある街です。
地図を見ていただくと分かります。新神戸の裏山を越えたすぐ向こう。位置だけで言えば、北区というより「三宮の裏」です。
山麓バイパスのひよどり台出入口がすぐそばにあります。車で三宮まで、渋滞がなければ15分から20分。これは北区のどの街も逆立ちしても勝てません。藤原台からでも、鈴蘭台からでも、この時間では三宮に着きません。
さらに、三宮方面へ向かう路線バスがあります。朝は本数もそれなりに出ます。
区画も整っています。1970年代の後半から開発された街ですから、道路の幅も、土地の一区画の広さも、余裕があります。今の分譲地のようにギチギチに詰めていません。50坪、60坪という土地が普通にあります。
学校も、小学校も中学校も街の中にあります。子どもが遠くまで通わなくていい。公園もゴルフ施設もあり、緑は多い。空気は文句なしにきれいです。
ここまで読むと、いい街に見えます。実際、いい街です。
2. ひよどり台の弱点は、たった一つ。けれどそれが全部です
駅がありません。
神戸電鉄も、JRも、地下鉄も、この街には来ていません。
これは断言できます。ひよどり台の価値を決めているのは、住み心地でも学校でもなく、「バスが今後も同じ本数走り続けるかどうか」の一点です。
今は走っています。今は困りません。私も現地に行くたび、思ったより不便ではないなと感じます。
問題は20年後です。
この街は、開発から40年以上が経ちました。最初に入った方々は、今70代、80代です。子どもは出ていっています。人が減れば、バスの本数は減ります。本数が減れば、また人が減ります。
私は50年、北区でこの循環を何度も見てきました。バス便の団地は、静かに、しかし確実にこの順番で衰えていきます。
だから、ひよどり台を買うときの判断基準は「今の便利さ」ではありません。「自分が車に乗れなくなったとき、この街で暮らせるか」です。
70歳で免許を返納したあと、坂の上のバス停まで毎日歩けますか。買い物はどうしますか。病院はどうしますか。
ここで一歩立ち止まってください。この質問に答えられないまま契約する方が、実に多いのです。
3. 星和台という街の、本当の実力
星和台は、性格がまったく違います。
こちらは神戸電鉄粟生線の西鈴蘭台駅が最寄りです。つまり、鉄道がある街です。
西鈴蘭台には駅前に商業施設があり、日常の買い物はそこで済みます。西鈴蘭台から鈴蘭台まではすぐ、鈴蘭台から新開地までも30分前後です。ひよどり台と違って、電車という選択肢が最初から手元にあります。
街の中は静かです。これは行ってみると分かります。通り抜けの車が入ってこないので、平日の昼間は本当に音がしません。子育て中の方や、退職後の静かな暮らしを求める方には、これは大きな価値です。小学校も街の中にあります。
そして値段です。星和台の中古戸建は、同じ広さ、同じ築年数で比べると、鈴蘭台や西鈴蘭台の駅近より確実に安く出ます。
安さの理由ははっきりしています。駅から遠いこと、そして坂です。それだけです。
裏を返せば、その二つを受け入れられる方にとっては、北区で最もお買い得な部類に入る街です。
4. 星和台の弱点は、坂と、粟生線です
坂の話から申し上げます。
星和台は、平坦ではありません。区画の中でも上と下で高低差があり、家の前まで登る道がきつい場所があります。
はっきり申し上げます。同じ星和台の中でも、上の区画と下の区画では、売るときの値段が違います。同じ築年数、同じ広さでも、200万円から300万円は変わります。
これは私が実際に何度も経験してきた金額です。買うときにこの差を意識していない方が本当に多い。「安いほうを買った」つもりが、実は「売りにくいほうを買った」になっているのです。
もう一つが、神戸電鉄粟生線です。
粟生線は、これまでに存廃をめぐる議論が公に出てきた路線です。今すぐどうこうという話ではありません。けれど、有馬線に比べて将来の不確実性が一段大きい、というのは事実です。
私は、お客さんにこの話を必ずします。言わずに売って、10年後に「聞いていない」と言われるのが一番いけない。
星和台を買うということは、粟生線という路線に乗るということでもあります。そこは覚悟のうえで決めてください。
5. 実例をお話しします
ひよどり台のAさんご夫婦の話です。
ご主人44歳、奥さん41歳、お子さん二人。三宮に職場があり、通勤時間をとにかく短くしたいという理由でご相談に来られました。
最初は灘や東灘で探しておられました。けれど予算が合わない。築30年のマンションでも4,000万円を超えてくる。
そこでひよどり台を見ていただきました。築28年、土地52坪、延床34坪の戸建で「1,880万円」。
Aさんは驚かれました。同じ通勤時間で、この値段で、庭付きの家が買える。
私は、買っていただく前にこう申し上げました。「この家は、車が二台置けます。けれど、車がないと成り立たない家でもあります。ご夫婦とも車に乗り続けられるうちはいい。ご主人が70歳になったとき、どうされますか」
Aさんは正直な方で、こう言われました。「そこまで考えていませんでした」
そのうえで、一週間考えて、買われました。理由は「子どもが独立する20年後に、住み替える前提で買う」と決められたからです。
これが正しい買い方です。ひよどり台は、永住前提ではなく、20年区切りで考えると非常に強い街になります。
もう一つ、星和台のBさんの話です。
Bさん、71歳。奥さんを亡くされて、一人で暮らしておられました。星和台の坂の上の区画、築42年、土地48坪の家です。
「もう坂がしんどい。息子のところの近くに移りたい」
査定に伺いました。同じ星和台でも下の平坦な区画なら「1,150万円」は狙える家でした。けれど坂の上です。私が出した査定は「880万円」でした。
Bさんは、当然いい顔をされませんでした。「近所の家は1,100万円で売れたと聞いている」
その家は、下の区画でした。同じ町名でも、別の商品なのです。
結局、Bさんは最初、他社が出した「1,180万円」の査定に乗られました。半年、動きませんでした。内覧すら月に一件あるかどうか。
一年後、私のところに戻ってこられて、「920万円」で売り出し、三か月で「890万円」で決まりました。
一年、余計にかかりました。固定資産税も、水道の基本料金も、その間ずっと出ていっています。
6. 業界の裏側を申し上げます
バス便の街、坂の上の物件。この二つには、業者側の決まったやり方があります。
まず、査定を高く出します。
Bさんのケースがまさにそれです。1,180万円という数字に根拠はありません。専任媒介の契約を取るためだけの数字です。
なぜそんなことをするか。バス便や坂の物件は、そもそも問い合わせが少ない。だから業者は、まず預かってしまう。預かってしまえば、あとは時間をかけて値段を下げていけばいい。
三か月経ったころ、こう言われます。「反響が弱いので、少し価格を見直しましょうか」
さらに三か月経つと、こうです。「今、買取のご提案もできます。すぐに現金化できますよ」
この買取の金額が、市場価格の6割から7割です。1,100万円で売れる家が、700万円台で買われていきます。そしてその業者が、簡単な手直しをして1,200万円で売り直します。
私は、これを何度も見てきました。
もう一つ、広告の話です。
バス便の物件は、広告に「バス10分、徒歩5分」と書かれます。合計15分に見えます。
けれど実際は違います。バス停での待ち時間が入っていません。朝の便が一時間に三本しかない街で、乗り遅れたら20分待ちです。
「バス10分」は、乗っている時間です。生活の時間ではありません。
ひよどり台でも星和台でも、必ず、平日の朝7時台に現地に行ってください。バス停に何人並んでいるか、次のバスまで何分か、実際に立って確かめてください。
日曜の昼間に車で見に行った印象は、まったく当てになりません。
7. デメリットを、もう一度はっきり書いておきます
いいことばかり書く不動産屋を、私は信用しません。だから自分も書きます。
ひよどり台のデメリット。
- 駅が永久にできる見込みはありません
- バスの本数は、今後増えることはありません
- 高齢化が進んでおり、空き家が徐々に出ています
- 車を手放した瞬間に、生活の難易度が跳ね上がります
- 出口、つまり売るときの買い手が限られます
星和台のデメリット。
- 坂です。上の区画は、歳をとると本当にきついです
- 西鈴蘭台の駅まで、思っているより歩きます
- 粟生線の将来に、不確実性があります
- 街が静かすぎて、若い方には物足りない場合があります
- 同じ町名でも、区画によって売値が数百万円変わります
これを読んで「やめておこう」と思われるなら、それでいいのです。私は売るために書いていません。
損をさせないために書いています。
まとめ
ひよどり台は、三宮への近さという、北区で唯一の武器を持った街です。ただし駅がないという、取り返しのつかない弱点も同時に持っています。
星和台は、静けさと安さという確かな価値を持った街です。ただし坂と粟生線という、二つの前提を飲み込む必要があります。
どちらも、悪い街ではありません。50年やってきて分かったことがあります。悪い街というものは、実はほとんどありません。あるのは、その街の性格と合っていない買い方だけです。
ひよどり台は、車に乗れる20年を全力で使い切る街。
星和台は、坂を歩けるうちに静けさを味わい尽くす街。
そう決めて買われた方は、私の知る限り、後悔しておられません。
最後に、これだけは申し上げたい
家を買うときも、売るときも、いちばん怖いのは「街の名前だけで判断してしまうこと」です。
ひよどり台も星和台も、同じ町名の中で、坂の上と下、バス停までの距離で、数百万円の差がつきます。その差は、パソコンの画面を見ているだけでは絶対に分かりません。
私は50年、この北区を歩いてきました。どの坂がきついか、どのバス停の朝が長いか、どの区画が売りやすいか、頭に入っています。
買う前でも、売る前でも構いません。まだ何も決まっていない段階でも構いません。
「うちの区画は、上ですか、下ですか」
その一言だけでも、聞きに来てください。それだけで、数百万円の判断を間違えずに済むことがあります。
センチュリー21・ハートピア
田中章雄


