カテゴリ:あきちゃんの不動産お役立ち情報 / 投稿日付:2026/05/12 07:00
こんにちは。神戸市北区で50年、不動産屋をやっております田中章雄、通称あきちゃんです。
今日は、私が50年この仕事をやってきた中で、何度も何度も繰り返し見てきた「なぜ同じ家なのに、不動産屋によって500万円も査定が違うのか」というお話をします。
「3社に査定を頼んだら、A社は2,800万円、B社は3,000万円、C社は3,300万円だった。一番高いC社にお願いしようかな」
そう考える方が、ほとんどです。
ですが、これは非常に危険な判断です。
結論から申し上げます
「査定価格が一番高い会社」を選んで売主が得をするケースは、私の50年の経験で言うと半分以下です。
むしろ、最初の3か月で売れず、結局一番安い金額で売る羽目になる人を、私は山ほど見てきました。
「査定価格」と「売れる価格」は、まったくの別物です。
なぜ500万円もの差が出るのか。それは、査定の仕組みそのものに、業者側の都合が入り込んでいるからです。
1. 査定はそもそも「正解のないもの」
不動産の査定は、中古車のように年式と走行距離で機械的に決まるものではありません。
基本は「取引事例比較法」と呼ばれる方法で、近隣で似た条件の家がいくらで売れたかを比較し、補正をかけて価格を出します。
ここで重要なのは、「補正」の部分です。
築40年でも管理状態がいい家は、補正でプラスになります。道路付けが悪ければ、マイナスになります。南向きならプラス、北向きならマイナス。角地ならプラス、旗竿地ならマイナス。
こうした補正の付け方に、業者ごとの「考え方」が、はっきり出ます。
つまり、机上の査定価格は「数字で出ているように見えて、人の判断の塊」なのです。だから、3社で500万円差が出ることは、普通にあります。
2. 高すぎる査定価格には、ほぼ100%、裏があります
ここからが本題です。
3社のうち、頭ひとつ抜けて高い査定を出してきた会社。ほとんどのケースで、そこには理由があります。
業界では、これを「高預かり」と呼びます。
要は「他社より高い金額を提示して、ひとまず媒介契約を取りに行く」やり口です。
実例をお話しします。
神戸市北区の藤原台で、築28年の戸建てを売りたいというAさんご夫婦(ともに70代)がいらっしゃいました。3社に査定を依頼。結果はこうです。
- 私の会社:2,650万円
- B社:2,800万円
- C社:3,180万円
Aさんは当然、一番高いC社に頼みました。
ところが、3,180万円で売り出したものの、3か月で1件も内覧申し込みがありません。
価格を3,000万円に下げ、また1か月。さらに2,850万円。やっと内覧が入りだし、最終的に「2,500万円」で売却となりました。
売り出しから半年。Aさんは仲介手数料やハウスクリーニング代を引いて、手元に残るお金が大幅に減りました。
私が最初に提示した2,650万円なら、ほぼその金額で売れていたケースです。これは断言できます。
3. なぜ業者は「取れもしない高い査定」を出すのか
理由はシンプルです。
媒介契約を取らないと、その業者は1円にもならないからです。
媒介契約を取れば、3か月間「うちが売り出します」と独占できます。売れなければ売れないで、値段を下げる提案をすればいい。本当に売れなかったとしても、その3か月は「他社にチラシも入れさせない、ネットでもうちだけが扱っている」という状態を作れます。
これを業界では「囲い込み」と組み合わせて使うことがあります。本当に売る気で動いているのか、ただ預かっているだけなのか、売主からは見えません。
50年やってきて分かったことがあります。
「他社より高い査定を出す」のは、簡単です。口で言うだけだから、いくらでも言えます。
本当に難しいのは「現実に売れる価格を、根拠を持って示すこと」です。それができる業者は、はっきり申し上げて、北区でも一握りです。
4. 査定価格を決める「5つの要素」
私が査定するときに必ず見るのは、以下の5つです。
- 立地
- 建物の状態
- 土地の形状と接道
- 近隣の取引事例
- 今その地域に買い手が何人いるか
このうち「立地」「土地の形状」「接道」は、もう動かせません。動かせるのは、建物の見た目を整えること、そして「いつ売り出すか」のタイミングだけです。
逆に言えば、査定が500万円高い会社というのは、この5要素のどこかを甘く見ているか、わざと甘く見せているかのどちらかです。たいていは、後者です。
5. 査定書を見るときの3つのポイント
査定書を業者から受け取ったら、必ずこの3点を確認してください。
- 近隣の取引事例が具体的に何件、いつ、いくらで掲載されているか
- 査定価格の上限・下限・想定値の3つが書かれているか
- 売り出し価格と成約予想価格の差が、どれくらいあるか
近隣事例が書かれていない、あるいは1〜2件しか出ていない査定書は、はっきり申し上げます、信用できません。机上で適当に出した数字です。
逆に、近隣事例が5件以上書かれていて、「成約価格はここまで下がる可能性があります」と正直に下限を書いている査定書は、それだけで信頼できます。
「うちは絶対この金額で売れます」と言い切る査定書は、むしろ警戒してください。不動産に「絶対」はありません。
6. デメリットも正直に書きます
ここまで「高い査定は危険」とお話ししてきました。
ですが、本当に売れる地域、たとえば駅近で買い手が多くついている物件であれば、最初に強気の価格を付けて挑戦する戦略も間違いではありません。
問題は、北区の郊外、たとえば道場・八多・大沢といった、もともと買い手の数が限られている地域です。
こういう地域で強気の価格を付けると、最初の2か月で物件が「枯れます」。
「枯れる」というのは、買い手側の業者の間で「あの物件は高すぎて売れない物件」というレッテルを貼られ、紹介リストから外されることです。一度枯れた物件は、価格を下げても買い手の目に止まりにくくなります。
これが、強気査定の本当のリスクです。
500万円高い査定を信じた結果、最終的に1,000万円安く売る羽目になる。これが現実に、北区でも何度も起きています。
7. では、どう査定を頼めばいいのか
私のおすすめはシンプルです。
3社に査定を頼んでください。ただし、選ぶのは「一番高い会社」ではなく、「査定書がちゃんとしている会社」です。
そして、その3社に、直接こう聞いてください。
- この価格で売れる根拠は何ですか
- この価格で売れなかった場合、どれくらい下げる必要がありますか
- 最終的にいくらで成約すると考えていますか
この3つに、具体的な数字と地域の事例で答えられる業者を選んでください。
「大丈夫です、絶対売れます」と言うだけの業者は、お引き取り願いましょう。
まとめ
査定価格に500万円の差が出るのは、不動産の査定がそもそも「人の判断」だからです。そして、その判断には、業者の都合が入り込みます。
高い査定に飛びつくと、結局、最初の値段で売るより、安く売る羽目になります。
これは断言できます。50年で何百件と見てきましたが、強気査定で得をした売主より、損をした売主のほうが圧倒的に多いです。
最後に、これだけは申し上げたい
ご自身の家の査定で迷ったら、まず1社だけでも、私のような地元の業者に話を聞きに来てください。
他社の査定書を持っていただければ、その数字が本物かどうか、その場で正直にお話しします。
家を売るのは、人生で1〜2回あるかどうかです。最初の判断を間違えると、500万円どころか、1,000万円損する人もいます。
ご相談は無料です。神戸市北区・西宮北部・三田の物件であれば、私が直接お話しします。
センチュリー21・ハートピア
田中章雄


