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遠方に住む子供世代が最初にやること
カテゴリ:あきちゃんの不動産お役立ち情報  / 投稿日付:2026/10/02 06:53

こんにちは。神戸市北区で50年、不動産屋をやっております田中章雄、通称あきちゃんです。

前回は、実家を空き家のまま5年置くと何が起きるかをお話ししました。

今日はその続きとして、東京や名古屋、福岡など遠方に住んでいる息子さん娘さんが、北区の実家について「最初に何をすればいいのか」をお話しします。

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お母さんが施設に入られた。お父さんが亡くなって、実家に誰もいなくなった。

そういう連絡を受けて、新幹線の中で「さて、何から手をつけたらいいんやろう」と途方に暮れる方を、私はこの50年で数えきれないほど見てきました。

近くに住んでいれば、週末に様子を見に行けます。けれど遠方だと、1回帰るだけで交通費が往復3万円、有給休暇が1日か2日飛びます。

だからこそ、最初の一手を間違えると、時間もお金も何倍もかかってしまうのです。


結論から申し上げます


遠方に住む子供世代が最初にやることは、たった3つです。

名義の確認、鍵の確保、現地確認

そして大事なのは、この順番を守ることです。

多くの方は、いきなり現地へ行こうとされます。気持ちはよく分かります。

けれど、名義が誰になっているか分からないまま家を見に行っても、「この家を売れるのか」「誰と話し合えばいいのか」が決まりません。鍵がどこにあるか分からないまま行けば、玄関の前で立ち尽くすことになります。

名義、鍵、現地。この順番で動けば、帰省は1回で済むことが多いのです。


1. まず名義を確認する理由


はっきり申し上げます。

実家の名義が「親の名前になっている」と思い込んでいる方は、本当に多いのです。ところが調べてみると、名義が祖父のまま、ひどい場合は曾祖父のままということが、北区の古い住宅地では珍しくありません。

名義の確認は、家に行かなくてもできます。

固定資産税の納税通知書を見れば、土地と建物の所在地番が分かります。その地番で、法務局で「登記事項証明書」を取れば、今の名義人がはっきりします。法務局の窓口は全国どこでも取れますし、インターネットでも申し込めます。1通あたり数百円です。

ここでひとつ、覚えておいてください。

2024年4月から、相続登記は義務になりました。相続で不動産を受け継いだことを知った日から3年以内に名義を変えなければならず、正当な理由なく放っておくと10万円以下の過料の対象になります。

それより前に起きた相続も対象で、こちらは2027年3月31日が期限です。今日が2026年の秋ですから、もう半年ほどしか残っていません。

名義が祖父のままだった場合、相続人は祖父の子供たち、さらにその子供たちへと広がっていきます。人数が多いほど、話し合いにも書類集めにも時間がかかります。

だから、一番最初に、一番時間のかかるところを確認しておく必要があるのです。


2. 次に鍵を確保する理由


名義が分かったら、次は鍵です。

「鍵なんて実家に行けばあるやろう」と思われるかもしれません。ところが、親が施設に入るときや入院のとき、鍵がどこへ行ったか誰も把握していない、ということがよくあります。

私が実際に見てきた鍵のありかは、こんなところです。

  • 親の入院先のバッグの中
  • 近所の仲のいい奥さんが合鍵を持っている
  • ケアマネジャーさんや訪問介護の事業所が預かっている
  • 親戚のおじさんが「念のため」と持って帰っている
  • 郵便受けの裏や植木鉢の下

鍵が何本あって、今それぞれ誰の手にあるのか。これを電話で確かめて、全部を自分の手元に集めてください。

見つからなければ、鍵屋さんに開けてもらうことになり、出張費込みで2万円から3万円ほどかかります。玄関の鍵だけでなく、勝手口、物置、門扉の南京錠も忘れないでください。

鍵を集める理由は、もうひとつあります。誰が家に出入りできるのかを、はっきりさせるためです。

空き家になった家に、親戚が勝手に入って形見分けと称して物を持ち出し、後で兄弟げんかになった例を、私は何度も見ています。


3. 最後に現地確認をする理由


名義が分かり、鍵が手元にそろって、ようやく現地確認です。ここまで準備してから行けば、1回の帰省で見るべきものを全部見られます。

現地で確認していただきたいのは、次のところです。

  • 屋根と天井に雨漏りのしみがないか
  • 水道、電気、ガスの契約がどうなっているか
  • 郵便受けにチラシや郵便物がたまっていないか
  • 庭木が隣の家や道路にはみ出していないか
  • 冷蔵庫や台所に食べ物が残っていないか

特に食べ物は、真っ先に処分してください。夏場に冷蔵庫の電気が止まると、1か月で家中ににおいが染みつきます。

そして、もうひとつ大切なことがあります。両隣とお向かいに、ひと言あいさつをしておくことです。

「遠方に住んでいる息子です。何かあったらこちらに連絡ください」と電話番号を書いた紙をお渡しするだけで、台風のあとに瓦が落ちていた、不審な人がうろうろしていた、そういう情報が入ってくるようになります。

遠方に住む方にとって、ご近所は一番頼りになる見張り役なのです。


4. 実際にあった話


50年やってきて分かったことがあります。順番を間違えた方ほど、遠回りをされます。

東京にお住まいのAさん(54歳)は、北区鈴蘭台の実家にお母さんがひとりで住んでおられました。お母さんが特別養護老人ホームに入られたのをきっかけに、実家を売ろうと考えられたのです。

Aさんは、まず有給を取って現地へ行かれました。ところが鍵がありません。

お母さんに聞いても覚えておられず、結局その日は鍵屋さんを呼んで2万8千円かかりました。家に入ってみると、冷蔵庫の中は大変なことになっていて、片付けだけで2日つぶれたそうです。

東京へ戻ってから、Aさんはうちに電話をくださいました。「査定をお願いしたい」とのことでしたので、私は最初に名義を調べることをおすすめしました。

取ってみると、土地の名義は、30年前に亡くなったAさんのおじいさんのままでした。おじいさんの子供は5人、そのうち3人がすでに亡くなっていて、相続人はいとこまで広がり、全部で11人になっていました。

司法書士さんに頼んで、戸籍を集め、全国に散らばった親戚に一人ずつ手紙を書いて判をもらうのに、1年4か月かかりました。費用は司法書士報酬と実費で約55万円です。その間に、Aさんは東京と神戸を4回往復されています。

名義を最初に確かめていれば、その手続きを進めながら、鍵を集め、現地を見るのは1回で済んだはずです。

最後にAさんがおっしゃったのは「最初に田中さんに電話しとけばよかった」という言葉でした。ありがたい言葉ですが、私としては、ご自分で名義を取るだけでも半年は早く進んだと思います。

もうひとり、うまくいった例もお話しします。

大阪にお住まいのBさんご夫婦(ご主人60歳)は、北区藤原台のご主人の実家が空き家になったとき、まず納税通知書を探して登記事項証明書を取られました。名義はお父さんひとりで、相続人はご主人と妹さんの2人だけ。

次に、ケアマネジャーさんと妹さんに電話して鍵3本を全部集め、そのうえで1泊2日で帰省されました。ご近所へのあいさつも済ませ、帰りの新幹線の中で妹さんと「売る方向で」と話がまとまったそうです。

最初の連絡から売買契約まで、7か月でした。


5. 業界の裏側


ここからは、あまり言いたくない話です。

遠方に住む相続人の方は、業者から見ると「早く手放したい人」に見えます。実際、実家の住所に届いたチラシや、ネットの一括査定から連絡してくる業者の中には、こう言う会社があります。

「遠方だと管理も大変でしょう。うちで今すぐ現金で買い取ります」

これは断言できます。現地も見ず、名義も確認せずに出てくる買取価格は、たいてい相場の6割から7割です。

藤原台で1,500万円で売れる家に、「すぐ買えます、900万円です」と言われたら、600万円は業者の儲けと手間賃です。遠方の方は相場を知らず、何度も帰るのがしんどいので、その値段で判を押してしまうのです。

もうひとつは、空き家の管理契約です。月1万円ほどで「定期巡回します」と言いながら、実際は外から写真を1枚撮るだけ、という会社もあります。

年間12万円払って、雨漏りに気づいたのは半年後だった、という話も聞きました。管理を頼むなら、何を、月に何回、どこまで見てくれるのかを、契約の前に紙で確認してください。

それから、査定の段階で「専任で任せてもらえたら」と言いながら、他社から買いたい人が来ても紹介せず、自社の客だけで売ろうとする「囲い込み」もあります。遠方の売主さんは現地の動きが見えないので、気づかないまま値下げを持ちかけられることがあるのです。


6. この順番のデメリットも正直に


ここまで「名義、鍵、現地」の順番をおすすめしてきましたが、マイナス面もお話ししておきます。

まず、名義を整えるのにはお金がかかります。

親から子への単純な相続でも、司法書士さんに頼めば10万円から15万円、登録免許税は固定資産税評価額の0.4%です。評価額1,000万円なら4万円です。Aさんのように相続人が広がっていれば、50万円を超えることもあります。

次に、親御さんがご存命で、施設に入っておられる場合です。名義が親御さんのままだと、子供が勝手に売ることはできません。親御さんの判断力が落ちていれば、成年後見の手続きが必要になり、これにも数か月と費用がかかります。

名義を確認して「すぐには動かせない」と分かるのは、つらいことです。けれど、知らずに動いて途中で止まるよりは、ずっとましだと私は思います。

そして、この順番で動いても、結局は1回は現地に行かなければなりません。写真や電話だけで、家の傷み具合やにおいは分からないのです。「全部遠隔で済ませたい」という方には、残念ながら向いていません。


まとめ


もう一度申し上げます。遠方に住む子供世代が、実家のために最初にやることは、

  • 名義の確認
  • 鍵の確保
  • 現地確認

この3つを、この順番で進めることです。

名義は、家に行かなくても調べられます。鍵は、電話で集められます。そこまで済ませてから帰省すれば、1回の帰省でやるべきことが全部できます。

相続登記の期限は待ってくれません。家も、1日ずつ傷んでいきます。

けれど慌てて業者の言い値で手放す必要もありません。順番さえ守れば、遠方からでも実家のことはきちんと片付けられます。


最後に、これだけは申し上げたい


遠方に住んでいると、実家のことはどうしても後回しになります。それは仕方のないことです。

ただ、「何から手をつけたらいいか分からない」という段階で、ひとりで悩み続けないでください。

登記事項証明書の取り方が分からない、鍵がどこにあるか見当もつかない、帰省する前に家の様子だけでも知りたい。そういうご相談でもかまいません。

北区、西宮北部、三田の家であれば、私が現地の様子を見に行くこともできます。売るかどうかは、そのあとゆっくり決めていただければ結構です。

お電話一本、お気軽にどうぞ。

センチュリー21・ハートピア
田中章雄

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