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「駅近だから安心」は本当か
カテゴリ:あきちゃんの不動産お役立ち情報  / 投稿日付:2026/05/21 07:16

こんにちは。神戸市北区で50年、不動産屋をやっております田中章雄、通称あきちゃんです。

今日は、家を買うときに誰もが気にする「駅からの距離」の話をします。「駅近だから安心、本当ですか」というテーマです。

ekichika

「駅から徒歩7分」と書いてあれば、人は安心します。「駅徒歩15分」と書いてあれば、ちょっと考える。これは、家を探したことがある人なら誰でもやる判断です。

けれど50年、神戸市北区・西宮北部・三田の物件を見てきて、私ははっきり申し上げます。「駅近だから安心」は、半分本当で、半分嘘です。

ここで一歩、立ち止まってください。なぜ半分嘘なのか。それは、「駅徒歩◯分」という数字の中に、書かれていない条件が、いくつも隠れているからです。


結論から申し上げます


家の価値は、駅からの距離だけでは決まりません。

これは断言できます。同じ「駅徒歩10分」の家でも、価値が500万円違うことが普通にあります。場合によっては1,000万円違います。

50年やってきて分かったことがあります。駅近かどうかより、もっと大事な要素が五つある、ということです。

今日は、その五つを正直に申し上げます。チラシや広告では絶対に書かれない話です。


1. その駅は、これから10年後も今と同じ駅でいられるか


まず、これが一番大きな話です。

「駅近」と聞くと、皆さんは「駅さえあれば一生安心」と思います。けれど、駅は変わります

神戸市北区の沿線、神戸電鉄を見てください。ピーク時の乗降客数と比べて、今はどこの駅も大きく減っています。20年前ににぎわっていた駅前の商店街が、今はシャッター通りになっている場所もあります。

私が見てきた中で、はっきり言える法則があります。乗降客数が減っている駅の周辺は、家の値段も静かに下がっていきます

ですから、家を買うときに見るべきは「今の駅」ではなく、「10年後の駅」です。

具体的には、こういう点を見てください。

  • その駅から都心(三宮や大阪)まで何分で行けるか、所要時間が短くなる傾向か長くなる傾向か
  • その駅周辺で大規模な再開発、新しいマンション計画があるか
  • その駅の沿線に大学、大病院、企業の本社など、人を呼び込む施設があるか
  • その駅の市バス、神鉄バスの便数が増えているか減っているか

「徒歩何分」より、こちらの方がはるかに大事です。


2. 駅から家までの「道」の中身


これも、見落としやすい大事な点です。

「徒歩10分」と書いてあれば、皆さんは「歩いて10分なんだな」と思います。けれど、その10分が、どんな10分かはチラシに書かれていません。

50年見てきた目から言わせてもらうと、同じ「徒歩10分」でも、こんなに違います。

  • 平坦な道を10分歩く家
  • 急な上り坂を10分歩く家
  • 交通量の多い国道沿いを10分歩く家
  • 夜になると街灯が少なく、人通りも消える道を10分歩く家
  • 途中に踏切があって、待たされると実質15分かかる家

神戸市北区は、特にが問題になります。北神急行の谷上駅、神鉄の岡場駅、田尾寺駅、ウッディタウン中央駅、いずれも徒歩圏に高低差のある住宅地があります。

「岡場駅徒歩12分」の家を実際に夏に歩いてみると、汗だくになる坂道だった、ということが本当にあります。逆に「徒歩15分」でも、フラワータウンの平坦な遊歩道なら、楽に歩けます。

はっきり申し上げます。チラシの「徒歩◯分」を信じる前に、必ずその道を、雨の日か夏の暑い日に、自分の足で歩いてみてください。50代までは大丈夫でも、60代、70代になると、その坂が「資産価値の重し」になります。


3. 駅前の商業の中身が、家の価値を決めます


これは、買う人の多くが見落とします。

「駅前にスーパーがある」「駅前にコンビニがある」と書いてあると、便利そうに見えます。けれど、駅前に何があるか、というよりも、駅前が「育っているか、枯れているか」が大事です。

私が見てきた中で、価値が落ちる駅前には共通点があります。

  • 老舗の地元スーパーが撤退して、別のチェーンに替わるサイクルが早い
  • 駅前のテナントが入れ替わるたびに、規模が小さくなる(銀行→コンビニ→個人店、のような流れ)
  • 駅前のロータリーに人がいない時間帯が増えている
  • 駅前のドラッグストアが、最近撤退した

逆に、価値が保たれる駅前は、こうです。

  • スーパーが2軒以上、長く競合している
  • 病院、歯科医院、銀行、郵便局が徒歩圏に揃っている
  • 保育園、こども園、小学校が近くにある
  • 夕方、駅前に人が増える時間帯がある

神戸市北区で言えば、藤原台中町の駅前(神鉄岡場駅前のエコール・リラ周辺)は、長くスーパー、銀行、医療施設が揃って機能している、価値の落ちにくい駅前です。一方で、人口流出が止まらないニュータウンの中の駅前は、「駅は近いけれど駅前に何もない」状態に向かいつつあります。

家を買うときは、駅前を一度、平日の夕方17時から19時に歩いてみてください。本当に生きている駅前か、よく分かります。


4. その家が「車社会の駅近」か「徒歩社会の駅近」か


ここからは、神戸市北区・西宮北部・三田で家を探す方には、特に大事な話です。

都心の駅近は「車を持たなくていい駅近」です。買い物も病院も、駅周辺で完結します。

ところが北区・三田の駅近は、ほとんどが「車を持ったまま使う駅近」です。通勤には電車を使うけれど、買い物は車、子供の送り迎えも車、休日のお出かけも車。

そうすると、家を選ぶときに見るべき条件が変わります。

  • 駐車場が敷地内に2台分とれるか
  • カーポートが設置できる広さか
  • 家の前の道が、車をスムーズに出し入れできる幅か(4m未満は要注意)
  • 近所のスーパー、コストコ、ホームセンターまで車で何分か
  • 国道176号、阪神高速北神戸線への動線が良いか

「駅徒歩6分・駐車場1台」の家と、「駅徒歩12分・駐車場2台+来客スペース」の家を比べたとき、北区では後者の方が高く売れるケースがしばしばあります。

これは断言できます。地域に合った「駅近」を選ばないと、住み始めてから後悔します。


5. 駅近プレミアム価格を、あなたが本当に必要としているか


最後にもう一つ、お話しします。

不動産の世界では、駅近物件には「駅近プレミアム」と呼ばれる上乗せ価格がついています。同じ広さ、同じ築年数、同じ間取りでも、駅徒歩5分と徒歩15分では、500万円〜1,000万円の差が出ます。

ここで考えてほしいのは、その上乗せ分のプレミアムを、あなたの生活が本当に使うのか、ということです。

  • 平日、駅を使うのは家族の中で誰ですか
  • 週に何往復、その駅を使いますか
  • 65歳、70歳になっても、その駅を歩いて使いますか
  • 車中心の生活ではないですか

たとえば、ご主人だけが通勤で駅を使い、奥様は専業主婦、子供はもう独立、というご家庭で「徒歩5分」のために1,000万円上乗せして払うのは、もったいないことがあります。

逆に、共働きで、ご夫婦どちらも電車通勤、お子様が成長して塾や習い事で電車を使う、というご家庭なら、その1,000万円は十分に元が取れます。

50年やってきて分かったことがあります。「駅近だから損しない」のではなく、「自分の生活が駅近を必要としているなら、駅近は得をする」ということです。


業界の裏側を少し明かします


ここからは、聞きたくないかもしれない話です。

チラシに書かれている「駅徒歩◯分」は、不動産公正取引協議会のルールで「80m=1分」と決まっています。これは「直線距離」ではなく「道路上の距離」ですが、信号待ち、踏切待ち、坂道の登り、こういうものは一切考慮されていません。

つまり「徒歩10分」とは、健康な大人が、信号も踏切も坂もない理想の道を、80mで1分のペースで歩いた時の時間です。現実には、その通りに着くことは、まずありません。

もう一つ、お話しします。業者は「徒歩◯分」が短い物件ほど、売りやすいことを知っています。だから、不動産情報サイトに掲載するときに、いちばん駅に近い敷地の角から測ります。実際に玄関ドアまで歩くと、もう1〜2分多くかかることが普通です。

「徒歩7分」と書かれた家を、現地で玄関から駅まで実測すると「9分」「10分」だった、ということは、私の50年で数え切れないほど見てきました。

それから、もう一つだけ。「駅近=高値で売れる」は本当ですが、これは「駅前に活気が残っている駅」に限った話です。乗降客が減って、駅前のテナントがどんどん減っている駅では、駅徒歩5分でも値段は落ちます。「駅近の高値」を期待して買った人が、いざ売ろうとしたら、思ったほど値がつかなかった、というケースが現実にあります。


実際にあった話を一つ


三田に住むCさんご夫婦(ご主人62歳・元会社員、奥様59歳)の話です。

ご夫婦は、定年後に「駅近のマンションに移って、車を手放したい」と考えておられました。神戸市北区から三田にかけて、いくつかの駅近マンションを見て回りました。

候補は二つに絞られました。

一つ目は、ある駅の「徒歩4分・3LDK・2,950万円」。築15年、駅前にスーパーもコンビニも揃っている、便利そうな立地です。

二つ目は、別の駅の「徒歩11分・3LDK・2,380万円」。築18年、駅前には小さなコンビニが1軒、駅自体は無人化が進んでいる小さな駅です。

普通に考えれば、徒歩4分の一つ目を選ぶでしょう。Cさんも最初はそう傾いていました。

ところが、私のところに相談に来られたとき、私はこうお聞きしました。「Cさん、その徒歩4分の駅、これから10年、20年、賑わいが続くと思いますか。徒歩11分の駅は、これからどうなると思いますか」と。

二つを並べて、駅前の商業の体力、乗降客数の推移、再開発の予定、周辺の人口動態を、一緒に見ました。すると、徒歩4分の駅の方が、実は乗降客が大きく減っており、駅前商業が縮小傾向にある、ということが見えてきました。一方、徒歩11分の駅は、駅は小さいけれど、徒歩圏に新しい大型病院ができる計画があり、人の流れが増えそうだ、ということも分かりました。

最終的にCさんは、徒歩4分のマンションを選ばれました。けれど「駅近だから」ではなく、「自分たちが10年後もこの駅を使い、徒歩4分が本当に必要だから」という理由で選ばれた。これが、大事なところです。

もし「駅近だから安心」とだけ考えて、私のところに来ずに即決していたら、20年後に売ろうとしたとき、思った値段がつかなかったかもしれません。


デメリットも正直に書きます


ここまで「駅近だけで決めるな」と申し上げてきましたが、「駅近は意味がない」と言っているわけではありません。

駅近には、はっきりとした強みがあります。

  • 将来、家を売るときに買い手が見つかりやすい
  • 高齢になって運転を辞めても、最低限の移動手段が残る
  • 子供が中学、高校、大学と成長したときに、本人だけで電車を使える
  • 災害時に、徒歩で職場や学校から帰れる安心感がある

これらは、軽い話ではありません。特に、これからの時代、70代以降に「車を運転しない生活」を考えるなら、駅近の価値はむしろ上がっていきます。

それと、もう一つ正直に申し上げます。私のような地元の小さな不動産屋にとって、「駅近物件」は売りやすい商品です。何も言わなくても売れます。だから本来は、駅近物件を黙って勧めたい立場です。

それでも今日こうしてお話ししているのは、「駅近だから」というだけで2,000万、3,000万のお金を動かして、5年後、10年後に後悔されるのを、何度も見てきたからです。


まとめます


もう一度、結論を繰り返します。

「駅近だから安心」は、半分本当で、半分嘘です。本当に大事なのは、駅からの距離そのものではなく、「その駅が10年後も活きているか」「駅までの道がどんな道か」「駅前が育っているか」「自分の生活が駅近を必要としているか」、この四つです。

50年やってきて分かったことがあります。家を買うときに「徒歩◯分」だけを見ると、必ずどこかで損をします。逆に、駅と道と街と自分の生活を一緒に見れば、判断は大きく狂いません。

家を選ぶ前に、こう自分に問いかけてください。

  • 10年後、この駅は今と同じくらい使われているだろうか
  • 雨の日、夏の暑い日に、この道を歩いて駅まで通えるだろうか
  • 平日の夕方、この駅前に人はいるだろうか
  • 私たちの生活は、本当に駅近を必要としているだろうか

この四つを思い出すだけで、家選びの精度はぐっと上がります。


最後に、これだけは申し上げたい


私は、神戸市北区・西宮北部・三田の駅と街を、50年見てきました。にぎわっていた駅前がシャッター通りになる現場も、寂れていた駅前が再開発で生き返る現場も、両方見てきました。

「駅徒歩◯分」だけで家を決めようとしている方、駅近マンションのチラシで心が動いている方、いつかは駅近に住み替えたいと考えている方、どうぞ気軽にお声がけください。

その駅が10年後どうなりそうか、その道があなたの脚で歩ける道か、その駅前が本当に生きているか、地元の50年の目から正直にお話しします。値段の話ではなく、まずあなたの生活と将来をうかがいます。

お電話一本でも、お店に立ち寄っていただくだけでも、構いません。50年の現場が、あなたの判断のお手伝いになるなら、私にとってこれほど嬉しいことはありません。

センチュリー21・ハートピア
田中章雄

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