カテゴリ:あきちゃんの不動産お役立ち情報 / 投稿日付:2026/09/27 07:29
こんにちは。神戸市北区で50年、不動産屋をやっております田中章雄、通称あきちゃんです。
今日は、北区で家を売り買いするときに意外なほど値段を左右する「駐車スペースの台数」についてお話しします。
ここ数回、中古住宅を直して住むお話を続けてきました。
間取り、水回り、補助金。どれも大事な話です。
けれど、北区で家を探しているお客様をご案内していると、実はリフォームの話より先に、こう聞かれることがとても多いのです。
「ここ、車は何台停められますか」
玄関を見る前に、まず駐車場を見る。
庭を見る前に、前の道路の幅を見る。
北区のお客様は、本当にそういう順番で家を見ておられます。
今日は、なぜ北区では「駐車2台」がこれほど大きな意味を持つのか、そして売る側、買う側がどこで損をしやすいのかを、正直にお話しします。
結論から申し上げます
北区の一戸建てでは、「駐車2台」は設備ではなく、家の値段そのものを決める条件のひとつです。
同じ広さ、同じ築年数の家でも、1台しか停められない家と、2台停められる家とでは、売れるまでの期間も、最後に決まる値段も、はっきり差がつきます。
ただし、2台分を後から作れば必ず得をするかというと、そうではありません。
作ってよい家と、作ってはいけない家があります。
ここを見誤ると、工事代だけ払って、値段は少しも上がらないということが起こります。
1. 北区は「一家に2台」が当たり前の土地だから
北区は、神戸市の中でもとりわけ車がないと暮らしにくい場所です。
駅があっても、家から駅までは坂道で徒歩15分、20分というのは珍しくありません。
ご主人は車で西神や三田、六甲アイランド方面へ通勤される。奥様は子どもの送り迎えや、岡場や鈴蘭台のスーパーへの買い物に車を使う。
そうなると、自然に一家に2台になります。
50年やってきて分かったことがあります。北区で家を探しているご家族の多くは、「車が2台ある暮らし」をもう前提にしておられるのです。
ですから、1台しか停められない家は、検索の段階で最初から外されてしまうことがあります。
2. 近くで駐車場を借りると、毎月お金が出ていくから
「1台は近所の月極を借りればいい」とおっしゃる方もいます。
けれど、北区の住宅地には、そもそも月極駐車場があまりありません。
あっても家から歩いて5分、坂の上や下ということがよくあります。
仮に月6,000円としても、1年で7万2,000円、30年住めば216万円です。
買う側の方は、ここをちゃんと計算されます。
つまり、駐車1台の家は、買う側から見ると「最初から200万円ほど高い家」に見えているということです。
3. 家族の形が変わっても、2台あると対応できるから
子どもが大きくなって免許を取る。親御さんが様子を見に来る。息子さん夫婦が孫を連れて帰ってくる。
2台分あれば、こういう場面で困りません。
逆に、年を取って車を手放すことになっても、2台分の場所は来客用や自転車置き場、小さな家庭菜園として使えます。
使い道が広い場所を持っているということは、それだけで家の値打ちになります。
4. 売るときに「比べられる相手」が強いから
北区の藤原台、有野台、鹿の子台、西鈴蘭台といった造成された住宅地では、同じ時期に同じような家が建っています。
そうなると、買う方は「似た家を並べて比べる」ことになります。
そのとき、隣の通りの家が2台停められて、こちらが1台なら、まず負けます。
これは断言できます。北区の中古一戸建ての売却で、駐車台数は価格の比べ合いに直結しています。
実例:1台と2台で、270万円と6か月の差がついたお話
数年前、鈴蘭台の住宅地で、ほぼ同じ時期に2軒の家の売却をお手伝いしたことがあります。
どちらも築35年前後、土地は40坪ほど、建物も4LDKで大きな違いはありません。
1軒目はAさん(当時68歳)のお宅です。
駐車場は1台分。敷地の前の道路が少し狭く、昔のままの車庫でした。
Aさんは最初「1,780万円で出したい」とおっしゃいました。
私は正直に「駐車1台だと、この値段は厳しいと思います」とお伝えしました。
それでもまずは出してみようということで広告を出しましたが、内覧は来ても「車が1台しか停まらないので」と断られることが続きました。
結局、半年以上かかって、最終的に1,480万円で決まりました。
2軒目は、同じ町内のBさんご夫婦(当時72歳と70歳)のお宅です。
建物の傷み具合はAさんのお宅とほとんど同じでしたが、駐車場は並列で2台分ありました。
こちらは1,780万円で出して、2か月ほどで1,750万円で決まりました。
同じ町内、似たような家で、値段の差はおよそ270万円、売れるまでの期間は6か月以上違いました。
Aさんはのちに「駐車場のことをもっと早く考えておけばよかった」とおっしゃっていました。
ただ、Aさんのお宅は敷地の形から見て、2台目を作るには塀と植木を撤去し、段差を削る工事が必要で、見積りは230万円でした。
作っても値段の差を埋めきれたかどうかは分かりません。
ここが、この話の難しいところです。
もうひとつ、失敗のお話もしておきます。
Cさん(当時65歳)は、売る前に「2台停められるようにすれば高く売れる」と工事業者に勧められ、道路から1メートルほど高い庭を削って2台目の駐車スペースを作られました。
ところが、庭を削ったことで古いブロック塀の足元がむき出しになり、土留めのやり直しも必要になって、工事代は合計310万円にふくらみました。
売れた値段は、工事前に私が見立てていた値段より150万円ほど高かっただけです。
差し引き160万円の持ち出しになってしまいました。
業界の裏側:広告の「駐車2台」をうのみにしてはいけない
ここからは、業界の人間があまり言わない話をします。
まず、広告に書かれている「駐車2台可」という言葉です。
はっきり申し上げます。この「2台可」には、かなり幅があります。
- 縦に2台並べる縦列駐車で、奥の車を出すたびに手前の車を動かさなければならない
- 軽自動車なら2台停まるが、普通車だとはみ出す
- 前の道路が狭く、何度も切り返さないと入らない
- 実は1台分は近くの月極駐車場を含めて「2台」と書いている
こういう家でも「駐車2台」と広告に出ていることがあります。
買う側の方は、必ず実際に自分の車で入れてみてください。私はご案内のとき、できるだけお客様ご自身の車で来ていただくようにしています。
次に、「駐車場を作れば高く売れますよ」という勧め方です。
売却の相談に来られた方に、リフォーム業者や、業者と付き合いのある不動産会社が、この言葉で工事を勧めることがあります。
工事をすれば、その業者には工事代が入ります。紹介した側に紹介料が入ることもあります。
けれど、工事をした分だけ高く売れるかどうかは、誰も約束してくれません。
それから、買取業者の査定です。
「駐車1台なので、この値段になります」と大きく値を下げてくる業者がいます。
ところが、その業者は買い取ったあとに庭をつぶして2台分にし、リフォームして売り出す、ということをよくやります。
つまり、売主さんがご自分でもできたかもしれない工夫の分まで、買取価格から差し引かれているわけです。
買取が悪いとは言いません。ただ、その値段の中身は一度疑ってみてください。
デメリット:2台分にこだわりすぎると損をすることもある
ここまで2台分の良い話ばかりしてきましたが、マイナス面も正直に書いておきます。
まず、後から作るのは思った以上にお金がかかります。
北区は坂と段差の多い土地です。平らな敷地ならコンクリートを打つだけで数十万円で済むこともありますが、道路との高低差がある家では、土を削り、擁壁や土留めをやり直すことになり、200万円、300万円という話になります。
さらに、歩道の縁石を切り下げて車の出入り口を広げる場合は、道路を管理している役所への申請と承認が必要で、思いどおりの位置に作れないこともあります。
次に、庭がなくなります。
駐車場を広げれば、そのぶん庭や植木はなくなります。
「庭いじりをしたい」「子どもを庭で遊ばせたい」という買い手の方には、かえって魅力が下がることもあります。
それから、駅に近い家では、2台分の価値はそれほど大きくありません。
北鈴蘭台や岡場の駅から歩いて5分、10分という家なら、車は1台で十分という方も多く、2台にこだわる意味は薄くなります。
最後に、これから先のことです。
北区もお年寄りの世帯が増えて、免許を返納される方も多くなりました。
20年後、30年後も今と同じように「2台が当たり前」かどうかは、私にも分かりません。
今の価値は確かに大きい。けれど、2台分を作るために大きなお金をかけるなら、その先のことも少しだけ頭に置いておいてください。
まとめ
北区で家を売り買いするなら、「駐車2台」は間取りや日当たりと同じくらい大事な条件です。
売る側の方は、1台しか停められない家なら、値段の付け方や売り出し方を最初から工夫しなければいけません。
後から2台目を作るなら、工事代と、上がる値段を必ず比べてから決めてください。平らな敷地で安く作れるなら検討する価値があります。高低差があって大がかりな工事になるなら、慌てて作らないほうがいいこともあります。
買う側の方は、広告の「2台可」をうのみにせず、自分の車で実際に出し入れしてみてください。
駐車場の台数ひとつで、何百万円という差がつく。それが北区という土地です。
最後に、これだけは申し上げたい
「うちは1台しか停められないけれど、売れるだろうか」
「売る前に駐車場を作ったほうがいいのか」
こういうご相談は、工事の見積りを取る前に、一度私にさせてください。
敷地と前の道路を実際に見て、作るべきか、作らずに売るべきか、どのくらいの値段が見込めるのか、正直にお話しします。
工事を勧めて儲けるつもりはありません。損をしないための判断を、一緒に考えましょう。
センチュリー21・ハートピア
田中章雄


