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50年前の不動産と今の違い
カテゴリ:あきちゃんの不動産お役立ち情報  / 投稿日付:2026/08/07 06:31

こんにちは。神戸市北区で50年、不動産屋をやっております田中章雄、通称あきちゃんです。

今日は、私がこの仕事を始めた50年前の不動産と、今の不動産が、何がどう変わったのかという話をします。

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私が不動産屋の見習いとして働き始めたのは、昭和50年です。

北区の山を切り開いた新しい団地が、次から次へとできていた頃でした。

「昔はよかった」という話をしたいのではありません。

むしろ逆です。今のほうが良くなったところは、たくさんあります。でも、今のほうが危なくなったところもあります。

50年ずっと同じ場所で、同じ商売を見てきた人間として、何が変わって、何が変わらなかったのかを正直に書きます。


結論から申し上げます


50年で一番変わったのは「情報」です。そして一番変わらなかったのは「人が家を手放す理由」です。

昔、不動産の情報は、不動産屋の頭の中と、手書きの台帳の中にしかありませんでした。今は、スマホで誰でも見られます。

けれど、お客様が家を売りに来る理由は、50年前も今もまったく同じです。お金、家族、そして死。この3つ以外の理由で家を売った人を、私はほとんど見たことがありません。

これは断言できます。道具は変わりました。人は変わっていません。


1. 情報が「不動産屋の秘密」から「誰でも見られるもの」になった


昭和50年当時、相場を知っているのは不動産屋だけでした。

店の壁に手書きの物件広告を貼って、それを見にお客様が歩いて来る。図面は手描き、契約書はカーボン紙の複写。店にコピー機すらありませんでした。

ですから、売主さんも買主さんも「この値段が高いのか安いのか」を自分で確かめる手段がなかったのです。不動産屋が「このあたりは坪15万円ですわ」と言えば、それが正解になってしまいました。

今は違います。スマホで、同じ町の似た物件が3秒で並びます。

これは間違いなく良い変化です。私は歓迎しています。私ら不動産屋にとっては、嘘がつけなくなったということですから。


2. 土地が「持っていれば上がるもの」から「選ばないと下がるもの」になった


昭和50年代、北区の団地の土地を買った人は、ほぼ全員が儲かりました。

買って10年放っておいたら、値段が倍になっている。そういう時代でした。当時は「どこを買うか」を真剣に考える必要すらなかったのです。

今は、真逆です。

同じ神戸市北区の中でも、駅から歩けるところは値段が保たれています。一方で、バス便で坂の上にある団地は、30年前の3分の1になっているところもあります。

50年やってきて分かったことがあります。昔は「買うこと」自体が正解でした。今は「どこを買うか」だけが正解を決めます。


3. 主役が「買う若夫婦」から「売る高齢者」に入れ替わった


昔、店に来られるお客様のほとんどは、30代のご夫婦でした。子どもができたから家がほしい、という相談です。

今、うちの店に来られるお客様の半分以上は、70代から80代の方か、その息子さん娘さんです。相談の中身は「親の家をどうするか」です。

北区の団地は、昭和40年代から50年代に一斉に開発されました。同じ時期に、同じくらいの年代の方が一斉に入居されました。ですから、一斉に高齢化しました。

そして今、その家が一斉に売りに出てきています。


4. 規制が厳しくなって、素人が丸ごと騙される事故は減った


昔の重要事項説明は、紙が数枚でした。今は分厚い束です。

正直に申し上げると、書類仕事は昔の何倍にも増えて、現場は大変です。けれど、これは必要な変化でした。

昔は、道路に接していない土地を「家が建ちます」と言って売った業者が、実際にいました。今それをやったら免許が飛びます。

面倒くさくなった代わりに、素人の方が丸ごと騙される事故は、確実に減りました。


5. 私が50年前に土地を売ったAさんの話


昭和51年に、北区の団地の土地を買われたAさんという方がいます。当時38歳、私は27歳でした。

土地は約60坪、値段は350万円でした。当時のサラリーマンの年収が150万円ほどですから、年収の2年分ちょっとです。

Aさんはその土地に家を建てて、お子さんを2人育てられました。

平成の初め、この土地の値段は3,200万円まで上がりました。Aさんは店に来て「章雄くん、わしは天才やな」と笑っておられました。

そして去年、Aさんの息子さんから電話がありました。

Aさんは90歳を超えて施設に入られ、家は空き家になっていました。

その土地の査定額は、980万円でした。

息子さんは、しばらく黙っておられました。「親父はずっと、あの土地は3,000万円やと言うてました」と。

私は正直に申し上げました。3,200万円だったのは事実です。でもそれは35年前の話で、今の値段は980万円です、と。

これが50年の変化です。同じ土地で、同じ場所で、こういうことが起きます。


6. 昔の不動産屋が儲かった仕組みと、今も残っているもの


はっきり申し上げます。昔の不動産屋が儲かったのは、情報を独占できたからです。

売主さんには「相場は安いですよ」と言い、買主さんには「このあたりは高いですよ」と言う。そして両方から手数料をもらう。今でいう両手取引ですが、当時はそれが当たり前でした。

ネットが出てきて、その手はほとんど使えなくなりました。

ただ、形を変えて残っているものがあります。それが「囲い込み」です。

自分の会社で買主も見つけて手数料を両方から取りたいので、他社から「あの物件をお客様に紹介させてください」と問い合わせが来ても、「すみません、今ちょうど商談中でして」と断ってしまう。そのことを、売主さんには一言も言いません。

売主さんから見ると、ただ「反応がない」だけに見えます。そして半年後、「そろそろ値下げしましょうか」と言われるわけです。

情報を独占する道具が、手書きの台帳からシステムに変わっただけです。中身は50年前と同じことをやっています。

もう一つ、これは新しい手口です。ネットの一括査定です。

査定額が高い会社から順に並ぶ仕組みですから、業者は実際より高い数字を出します。契約さえ取ってしまえば、あとから下げればいいと思っているからです。

昔は口頭で盛りました。今は画面で盛ります。やっていることは、何も変わっていません。


7. 昔のほうが良かった、と正直に思うこと


今のほうが良くなったという話ばかり書きましたが、正直に申し上げると、悪くなったところもあります。

  • 情報が多すぎて、かえって判断できなくなった
  • 数字は見えるのに、その裏の事情が見えなくなった
  • 顔を合わせずに話が進むようになった

昔は、隣の家の事情まで全部分かっていました。「あそこの裏は昔田んぼで水が出る」「あの道は将来広がるという話がある」。そういう話は、台帳には載りません。人の口にしか載りません。

今のお客様は、ネットで調べた数字を持って来られます。数字は正確です。でも、その土地の「地面の下」の話は、画面には出てきません。

そして、これが一番残念なことですが、今は契約が終わったらそれきり、という取引が増えました。

昔は、家を買った方が10年後に「章雄さん、雨漏りがする」と店に来られました。20年後には「息子が結婚する」と報告に来られました。そういう付き合いが、商売の中身でした。

情報が便利になった代わりに、人の付き合いが薄くなりました。これは、正直に言って寂しいです。


まとめ


50年で変わったこと。情報が誰にでも開かれました。土地は選ばないと下がるようになりました。主役が買う人から売る人に変わりました。規制が厳しくなって、大きな詐欺は減りました。

50年で変わらなかったこと。人が家を手放す理由は、今も昔も、お金と家族と死です。そして、情報を隠して儲けようとする業者が一定数いることも、変わっていません。

道具は新しくなりました。人間は、そんなに新しくなっていません。


最後に、これだけは申し上げたい


ネットで調べれば、相場はすぐに出てきます。それは良いことです。どんどん調べてください。

ただ、画面に出てくるのは「値段」だけです。その土地が昔どういう場所だったか、これから10年でどう変わりそうか、隣にどんな方が住んでおられるか。そういうことは、その町に長くいる人間の頭の中にしかありません。

ご実家をどうするか、今の土地がいくらなのか、売るべきか持っておくべきか。迷っておられるなら、一度お話を聞かせてください。査定も相談も無料ですし、その場で「売りましょう」とは申し上げません。50年分の話を、ただお聞かせするだけでも構いません。

センチュリー21・ハートピア
田中章雄

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