カテゴリ:あきちゃんの不動産お役立ち情報 / 投稿日付:2026/07/05 08:10
こんにちは。神戸市北区で50年、不動産屋をやっております田中章雄、通称あきちゃんです。
今日は、空き家を放置すると、いったいどうなるのか、というお話をします。
親御さんが亡くなって、誰も住まなくなった実家。とりあえず、そのままにしている。荷物もそのまま、鍵をかけて、たまに風を通しに行くだけ。
こういうお宅、北区にも本当にたくさんあります。ここで一歩立ち止まって、私の話を聞いてください。
結論から申し上げます
空き家は、放置すればするほど、お金が出ていきます。
しかも、住んでいないのに、です。誰も使っていない家が、毎年、静かにあなたのお財布からお金を抜いていく。これは断言できます。
「今は忙しいから、落ち着いたら考えよう」。その「落ち着いたら」が、一番お金のかかる選択なのです。
1. 誰も住んでいなくても、税金は毎年かかる
まず、これです。
空き家でも、固定資産税と都市計画税は、毎年きっちりかかります。北区の戸建てなら、土地と建物で、年に「10万円から15万円」ほどです。
仮に年12万円だとして、10年放置すれば、120万円。誰も住んでいない家に、120万円を払い続けることになります。
これだけでも大きいのに、もっと怖い話があります。
2. 「特定空家」に指定されると、税金が一気に上がる
これを知らない方が、本当に多い。
家が建っている土地は、「住宅用地の特例」というもので、固定資産税が最大6分の1に軽減されています。つまり、更地にするより、古い家でも建っていたほうが税金は安い。だから「壊さずに置いておこう」となるのです。
ところが、あまりにひどく放置して、倒れそうになったり、ゴミ屋敷になったり、周りに迷惑をかける状態になると、行政から「特定空家」に指定されます。
こうなると、あの6分の1の軽減が外れます。土地の固定資産税が、いきなり数倍に跳ね上がるのです。年12万円だったものが、一気に数十万円になることもあります。
放置した罰として、税金が重くなる。国も本気で「空き家を何とかしろ」と言っているのです。
3. 家は、人が住まないほど早く傷む
これは、50年見てきて分かったことがあります。
家というのは、人が住んでいるほうが長持ちします。空気を入れ替え、水を流し、少し掃除をする。それだけで家は保たれる。
逆に、閉め切って誰もいない家は、驚くほど早く傷みます。
- 湿気がこもって畳が腐る
- 雨漏りに気づかず、天井が抜ける
- シロアリに柱を食われる
- 庭木が伸び放題になって、隣の敷地にはみ出す
5年も放置すれば、「まだ使えたはずの家」が、「もう住めない家」になります。そうなると、売るにも「解体してから」となり、その解体費用がまた100万円、200万円とかかってくるのです。
4. 近所への迷惑が、いつか自分に返ってくる
空き家を放置して困るのは、あなただけではありません。
草木が伸びて、蚊や虫がわく。落ち葉が隣の家に飛んでいく。塀が傾いて、道にはみ出す。台風で瓦が飛んで、隣の車を傷つける。不審者が住み着く。放火される。
こういうことが起きると、ご近所との関係が一気に悪くなります。そして、もし空き家の屋根や塀が崩れて、通行人や隣の家に被害を出したら、その責任は所有者であるあなたに来ます。
「知らなかった」「遠くに住んでいた」では済みません。持っているだけで、リスクを抱え続けることになるのです。
ここで、業界の裏側の話をします
はっきり申し上げます。
空き家の相談に行くと、「解体して更地にして、それから売りましょう」と、すぐに解体を勧める業者がいます。
もちろん、解体したほうが売りやすいケースもあります。でも、中には、提携している解体業者からの紹介料が目当てで、必要のない解体まで勧めてくる者もいます。
解体して更地にすると、さっき言った「住宅用地の特例」が外れて、土地の税金が上がります。売れるまでの間、高い税金を払い続けることになる。だから、「解体するか、古家付きのまま売るか」は、慎重に判断しないといけません。
「とりあえず更地に」という言葉を鵜呑みにしてはいけない。これは覚えておいてください。
実例をお話しします
数年前、北区にお住まいのBさん(58歳)から相談を受けました。
Bさんは、10年前に亡くなったお母様の家を、そのまま空き家にしていました。「いつか自分が住むかもしれない」「売るのは寂しい」と、ずるずる10年。
その間、固定資産税は毎年12万円。10年で120万円を払い続けました。たまに様子を見に行く交通費や、庭の草刈りを頼む費用もかかっていました。
いざ「もう手放そう」と決めて、私が家を見に行くと、雨漏りで天井が抜け、シロアリで床がぶかぶか。とても人が住める状態ではありませんでした。
結局、その家は解体するしかなく、解体費用が180万円。更地にして、やっと土地が売れました。もし10年前、お母様が亡くなってすぐに動いていれば、家はまだ住める状態で、そのまま売れていたはずです。
払わなくてよかった税金120万円、いらなかった解体費180万円。合わせて300万円。これが、「空き家を放置した」ことの、本当の値段でした。
デメリットも正直に申し上げます
では、すぐに売ればすべて解決かというと、そう単純でもありません。
思い出の詰まった実家を手放すのは、寂しいものです。仏壇やお墓のこと、ご兄弟の気持ち、簡単には割り切れません。急いで売って、あとから「もっと考えればよかった」と後悔する方もいます。
それに、相続した空き家を売るときには、税金の特例が使えることがあります。一定の条件を満たせば、売った利益から3000万円まで控除できる制度です。ただし、この制度は使える期限や細かい条件があります。使えるはずだったのに、放置している間に期限が過ぎてしまった、という方もいます。
だからこそ、「放置」でも「あわてて売る」でもなく、早めに一度、状況を整理することが大事なのです。
まとめ
もう一度、結論を申し上げます。
空き家は、放置すればするほど、お金が出ていきます。毎年の税金、特定空家に指定されての増税、傷んでいく家、増えていく解体費用、そして近所への迷惑とリスク。
「落ち着いたら考えよう」の間にも、お金は毎年、静かに出ていっています。空き家は、置いておくだけでコストがかかる、数少ない財産なのです。
最後に、これだけは申し上げたい
空き家をどうするかは、税金のことも、家族の気持ちも絡んで、なかなか自分一人では決めきれないものです。
でも、決めずに放っておくと、その一年一年が、そのままお金になって出ていきます。売る、貸す、しばらく持つ。どの道を選ぶにしても、まずは今どういう状態なのかを知ることから始めてください。
神戸市北区、西宮北部、三田あたりで、空き家のことでお悩みでしたら、どうぞ一度ご相談ください。すぐ売りましょう、という話はしません。あなたが損をしないために、50年見てきた者として、正直にお話しします。
センチュリー21・ハートピア
田中章雄


