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「あきちゃん」と呼ばれる理由
カテゴリ:あきちゃんの不動産お役立ち情報  / 投稿日付:2026/08/09 06:07

こんにちは。神戸市北区で50年、不動産屋をやっております田中章雄、通称あきちゃんです。

今日は、少し照れくさい話をさせてください。なぜ私が、この歳になっても「あきちゃん」と呼ばれているのか。その理由をお話しします。

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77歳の爺さんが「あきちゃん」です。おかしいでしょう。自分でも、たまにおかしいと思います。

けれど、これには理由があります。そして、その理由は、あなたが不動産屋を選ぶときに本当に見るべきものと、ちょうど重なっています。

結論から申し上げます


私が「あきちゃん」と呼ばれているのは、人柄がいいからではありません。

はっきり申し上げます。私は気が短いですし、口も悪いほうです。亡くなったうちの家内に聞くことができたなら、たぶん3分は文句が出ます。

理由はもっと単純です。

50年、この街から一度も逃げなかったからです。

名前で呼ばれる不動産屋は、逃げられないのです。


1. 始まりは、27歳のときのひとことでした


私がこの仕事を始めたのは、20代の半ばです。まだ神戸市北区が今のように住宅地として整う前、山と田んぼと古い集落が混ざっていた頃の話です。

27歳のとき、近所に住んでいたおばあちゃんに、土地のことで相談を受けました。そのおばあちゃんが、私をこう呼んだのです。

「章雄ちゃん、ちょっと来て」

田中さんでも、担当者さんでもありません。「章雄ちゃん」です。その頃の私は、それが少し悔しかった。一人前に見られていない気がしたのです。

けれど、そのおばあちゃんの土地の件を半年かけて片づけたあと、近所の人が次々に同じ呼び方をするようになりました。「章雄ちゃん」が、いつの間にか「あきちゃん」になりました。50年、それがそのまま残っただけの話です。


2. 私は「営業マン」ではなく「近所の人」でした


50年やってきて分かったことがあります。お客様は、不動産の知識で不動産屋を選んでいるのではありません。

「この人は、来年もここにいるか」で選んでいます。

私は、この街で子どもを育てました。同じスーパーで買い物をして、同じ病院に通って、同じ神社の掃除に出ています。契約が終わったあとも、道で会うのです。

これは断言できます。道で会う関係の商売は、いいかげんなことができません。半年後に会ったときに目をそらさなければいけないような売り方をしたら、この街では生きていけないからです。

大手の営業マンは、そうではありません。彼らは悪い人ではないのですが、2年から3年で異動します。転勤です。売ったあと、その街にいないのです。

ここで一歩立ち止まってください。あなたの家を担当する人は、3年後もその街にいますか。これは、意外と大事なことです。


3. 名前で呼ばれる不動産屋は、逃げられません


肩書きで呼ばれる商売と、名前で呼ばれる商売は、まったく別物です。

「支店長」「営業部長」「不動産コンサルタント」。こういう呼び方は、責任が肩書きに乗ります。人ではなく、役職に乗るのです。

だから、その人が異動しても、話は次の支店長に引き継がれて終わりです。

「あきちゃん」は違います。失敗したら、田中章雄という個人が、この街で50年言われ続けます。逃げ場がありません。

だから私は、無理な売り方をしません。できないのです。臆病だからです。正直に申し上げると、それだけの話です。


4. 「売らないほうがいい」と言えるかどうか


人柄という言葉を、私はあまり信用していません。不動産屋の人柄は、笑顔でも、腰の低さでも、丁寧な言葉づかいでもありません。

自分の手数料が消える提案を、口に出せるかどうかです。

去年、60歳のBさんという男性から相談を受けました。「2,780万円の中古戸建てを買おうと思っている。どう思うか」

現地を見に行きました。日当たりもよく、間取りも悪くない。奥様も気に入っておられました。けれど、裏の擁壁が古かったのです。

業者に見てもらったら、10年以内に手を入れる必要があり、その費用がおよそ400万円でした。売主側は、その話を一切していませんでした。

私は、Bさんに止めていただきました。その取引が成立していれば、うちに入るはずだった仲介手数料は98万円です。それが消えました。

けれど、Bさんは今も年に一度、うちに顔を出してくださいます。先月も来られて、笑いながらこう言われました。「あきちゃんに止めてもろて助かったわ」

98万円と、10年通ってくださる関係。どちらが商売として得か。50年やっていれば、答えは出ています。


5. Aさんの話をさせてください


もう一人、忘れられない方がいます。藤原台にお住まいだったAさん。72歳の女性です。

ご主人を亡くされて、築48年の一戸建てを売ることになりました。駅から徒歩12分、固定資産税は年に9万8千円かかっていました。

Aさんは、他社の査定も取っておられました。その会社の査定額は2,480万円です。うちの査定は1,980万円でした。500万円も差があります。

普通なら、高いほうに頼みます。Aさんも、最初はそちらに預けられました。けれど、半年経っても売れませんでした。そして半年後、その会社が持ってきた提案が「1,850万円に下げましょう」でした。

ここが、業界のよくある流れです。最初から高く売る気などありません。高い査定で預かって、時間をかけて疲れさせて、下げるのです。

Aさんは、うちに来られました。私は2,050万円で出しました。実際に売れる値段より、ほんの少しだけ上に置いた数字です。3か月で売れました。仲介手数料は74万円です。決して大きな金額ではありません。

なぜAさんがうちに来られたか。30年前、Aさんの息子さんがアパートを探していたときに、私が3日かけて一緒に歩いたからです。賃貸の仲介です。手数料など、たかが知れています。

その3日が、30年後に戻ってきました。私が「あきちゃん」と呼ばれる理由は、こういうことの積み重ねです。


6. 業界の裏側を、正直にお話しします


不動産の世界には、あえて「先生」と呼ばせたがる人たちがいます。資格の名前を名刺に7つも8つも並べて、権威で信用させようとするやり方です。

はっきり申し上げます。資格の数と、あなたが損をしないかどうかは、ほとんど関係ありません。

もっと言いにくいことも申し上げます。大手にお願いすると、担当者が変わります。売却の話をした担当者と、契約のときの担当者と、引き渡しのときの担当者が別人だった。これは珍しくありません。

それから、「囲い込み」です。自社で買主も見つければ、手数料が売主と買主の両方から入ります。いわゆる「両手」です。

だから、他社から「その物件を見せてください」と問い合わせが来ても、「商談中です」と断る会社があります。売主には知らされません。売主は、ただ「売れませんねえ」と言われ続けます。

なぜこんなことが起きるか。担当者が、その街の人ではないからです。半年後にスーパーで売主と鉢合わせしないなら、断ることに痛みがありません。

逆に言えば、道で会う不動産屋には、それができません。これが、地域の不動産屋を選ぶ、いちばん現実的な理由です。


7. 正直に、デメリットも申し上げます


いいことばかり書くと、嘘くさくなります。ですから、うちの弱いところも書きます。

まず、広告力では大手に勝てません。全国のネットワークも、テレビCMも、専任の宣伝部隊もありません。県外から神戸に移ってこられる方への露出は、大手のほうが強いです。

次に、人数が少ないです。私と、限られた人数でやっています。夜中に電話をいただいても、その場では出られないことがあります。

それから、これは私の悪いところですが、はっきり言いすぎます。

「その値段では売れません」「その家は買わないほうがいいです」。こういう言い方をされるのが嫌な方には、うちは向きません。夢を壊されたと感じられる方もいます。実際、そう言われて帰られたお客様も何人もいらっしゃいます。

最後に、あきちゃんと呼ばれることのデメリットも申し上げます。親しくなりすぎると、値段の話がしにくくなる方がおられます。近所づきあいの延長で相談に来られて、こちらが厳しい数字を言うと、裏切られたように感じてしまう。これは、私の側の課題でもあります。

ですから私は、親しい方ほど、数字の話は他人行儀に、はっきり言うようにしています。そこだけは、あきちゃんではなく田中章雄でいるようにしています。


まとめ


私が「あきちゃん」と呼ばれる理由は、人柄でも、愛想でも、営業のうまさでもありません。50年、この街から逃げなかったからです。そして、逃げられない場所に自分を置いてきたからです。

不動産屋を選ぶとき、笑顔や肩書きや査定額の高さを見てはいけません。見るべきものは、たった三つです。

  • その人は3年後もこの街にいるか
  • その人は自分の手数料が消える話を口に出せるか
  • その人はデメリットを先に言うか

この三つがそろっている相手なら、名前が何であろうと、たいてい大丈夫です。

逆に、この三つがない相手は、どれだけ丁寧で、どれだけ笑顔でも、危ないと思ってください。これは断言できます。50年見てきて、例外はほとんどありませんでした。


最後に、これだけは申し上げたい


家や土地の話は、一生に一度か二度のことです。聞くのが恥ずかしい話でも、まだ売ると決めていない段階でも、まったく構いません。

「うちの実家、どうしたらいいんやろか」。その程度の入り口で、十分です。

売るべきでないと思えば、売らないほうがいいと申し上げます。今は待ったほうがいいと思えば、そう申し上げます。それで私に一円も入らなくても、それが50年やってきた者の仕事だと思っています。

どうぞ、気楽に「あきちゃん」と呼んでください。

センチュリー21・ハートピア
田中章雄

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