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「専任媒介にしてください」の裏側
カテゴリ:あきちゃんの不動産お役立ち情報  / 投稿日付:2026/05/15 12:27

こんにちは。神戸市北区で50年、不動産屋をやっております田中章雄、通称あきちゃんです。

今日は、不動産売却を考えている方なら一度は耳にしたことがあるはずの言葉、「専任媒介にしてください」、この裏側についてお話しします。

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家を売ろうと業者に相談に行くと、たいていの場合、こう言われます。

「ぜひ専任でお願いします」「専任にしてもらえれば、しっかり広告に力を入れます」「責任を持って売らせていただきます」。

ここで一歩立ち止まってください。なぜ業者は、こんなにも「専任にしてください」と言ってくるのか。50年やってきて見えてきた、その本当の理由を、今日はお話しします。


結論から申し上げます


業者が「専任媒介にしてください」と言うのは、あなたのためではありません。業者自身のためです。

これは断言できます。専任媒介には、業者側にとって3つの大きな利益があります。

  • 他社と競争しなくて済む
  • 両手仲介で手数料を2倍取れる
  • あなたの物件を「自社の在庫」として確保できる

「専任にしたら一生懸命やってくれるんでしょう?」と思われるかもしれません。中にはそういう業者もいます。

けれど、はっきり申し上げます。専任を取ったとたんに動きが鈍くなる業者が、この業界には驚くほど多いのです。


1. まず媒介契約の3種類を知ってください


家を売るとき、業者と結ぶ契約には3種類あります。一般媒介、専任媒介、専属専任媒介。それぞれ何が違うかを、ざっくりお話しします。

一般媒介は、複数の業者に同時に頼める契約です。A社にもB社にもC社にも、同じ家の売却をお願いできます。自分で買い手を見つけてきても問題ありません。

専任媒介は、頼めるのは1社だけです。けれど、自分で買い手を見つけてきた場合は、業者を通さずに売却できます。契約期間は最長3カ月。

専属専任媒介は、頼めるのは1社だけ。さらに、自分で買い手を見つけてきても、必ずその1社を通さなければなりません。これも最長3カ月。

ここで覚えておいてほしいのは、業者にとって一番おいしいのが専属専任、次が専任、一番うまみが薄いのが一般、ということです。

だから業者は、できるだけ専任、できれば専属専任で契約したがります。


2. 業者が専任を欲しがる本当の理由


50年やってきて分かったことがあります。業者が「専任にしてください」と言うとき、口では「広告に力を入れます」「責任を持って売ります」と言います。けれど、本音は別のところにあります。

一つ目の本音は、競争相手がいないこと。一般媒介だと、他社と比べられます。「A社は問い合わせを3件持ってきたのに、うちは0件か」と、依頼者から見比べられてしまう。これは業者にとってつらい状況です。専任なら、そもそも比較する相手がいません。

二つ目の本音、これが一番大きい。両手仲介を狙えることです。

不動産仲介の手数料は、売主と買主の両方から取れます。両方から取ることを「両手」、片方からだと「片手」と呼びます。専任で物件を抱えていれば、自社のお客様に売った瞬間に両手が取れます。手数料が単純に2倍になります。

例えば3,000万円の家を売って両手で取ると、片方から約100万円、両方で約200万円の手数料が業者に入ります。一般媒介で他社にお客様を取られたら、片手の100万円しか入りません。倍も違うのです。

三つ目の本音は、物件を「在庫」として持てること。業者にとって、抱えている専任物件の数は「持ち駒の数」です。お客様が来店したとき、自社の専任物件を勧めれば両手が取れる。だから業者は、できるだけたくさんの専任物件を抱えたい。「広告のため」というのは、半分は本当でも、半分は方便です。


3. 「囲い込み」という業界の裏側


ここからは、業界の人間がなかなか口にしない話をします。専任媒介を取った業者がやってしまう一番の問題行為、それが「囲い込み」です。

専任媒介や専属専任媒介を結ぶと、業者はその物件情報を「レインズ」という業者間のネットワークに登録する義務があります。専任なら契約から7日以内、専属専任なら5日以内。レインズに登録すれば、全国の業者がその物件を知ることができ、お客様に紹介できる仕組みです。

ところが、ここに抜け道があります。

レインズには登録しているけれど、他社から「お客様を紹介したい」と問い合わせが入ると、「すみません、もう商談中です」「先に申し込みが入りました」と断ってしまう。実際にはまだ動いていないのに、です。

なぜそんなことをするか。簡単です。他社経由で売れたら片手の手数料しか取れない。自社で買い手を見つけて売れば両手で取れる。だから「他社のお客は断り、自社の客が来るまで待つ」のです。

囲い込みされている物件は、表向きはレインズに載っているのに、実際にはどこの業者も紹介できません。家は塩漬けになり、最終的に「売れないから値下げしましょう」と言われ、値下げをするとその業者の自社の客が買って、両手の手数料が業者に入る。こういう仕組みです。


4. 実例:藤原台のAさんの場合


実際にあった話をします。神戸市北区の藤原台にお住まいのAさんご夫婦、ご主人は60代後半でした。築25年の戸建てを、住み替えのために売りに出したいというご相談でした。

Aさんは最初、3社に査定をお願いされました。A社が「3,400万円で売れます」、B社が「3,300万円」、C社が「3,800万円で売ってみせます、ぜひ専任で」。Aさんは当然、一番高く言ってくれたC社に、専任媒介を出しました。

ところが、3カ月経っても問い合わせが1件もありません。C社の担当者は「広告は出しています、ただ今は市況が悪くて」と言うばかりでした。

Aさんからご相談を受けて、私はレインズで確認しました。物件は確かに登録されていました。

けれど、こっそり他社の知り合いに「あの物件、紹介したいんだけど」と問い合わせてもらったら、答えは「商談中で止まっています」。3カ月間、ずっと「商談中」のままです。

これは断言できます。完全に囲い込まれていました。

Aさんはその後、C社との専任を解除して、私のところに一般媒介で出し直されました。すぐに3社から問い合わせが入り、最終的に3,250万円で売れました。

C社が言っていた3,800万円という査定価格、あれは業界で言う「高預かり」というやつです。高い金額を言って専任を取り、3カ月放置して、最後に「値下げしましょう」と言う。よくある手口です。


5. もう一つの実例:三田のBさんの場合


三田市のBさん、70代の男性です。奥様を亡くされて、戸建てを売って高齢者向け住宅に移りたいというご相談でした。

Bさんは大手の有名な業者に依頼されました。「広告も全国規模でできます、安心です」と言われて、専属専任媒介で契約してしまわれた。専属専任です。これは一番厳しい契約です。自分で買い手を見つけてきても、必ずその業者を通さなければなりません。

ところが半年経っても売れません。担当者は「価格を見直しましょう」「2,800万円2,500万円にしましょう」と言う。Bさんは渋々値下げに応じられた。それでも売れない。さらに「2,250万円ではどうですか」と言われ、また下げる。

結局、最初の査定から700万円下げて、ようやくその業者の自社の客が買い取りました。

私はBさんから後でご相談を受けたのですが、もうどうしようもありませんでした。専属専任を3カ月ごとに更新し続けていたので、解約のタイミングを逃しておられたのです。

はっきり申し上げます。専属専任は、よほど信頼できる業者でない限り、おすすめしません。


6. それでも専任媒介を使うべき場合


ここまで読むと「じゃあ専任は絶対にダメなのか」と思われるかもしれません。そうではありません。専任媒介にも、ちゃんとしたメリットはあります。

業者には依頼者への報告義務があります。専任なら2週間に1回以上、専属専任なら1週間に1回以上、売却活動の状況を文書で報告しなければなりません。一般媒介には、この義務がありません。

また、専任を取った業者は、その物件に広告予算をかけてくれることが多い。ポータルサイトの上位掲載、折込チラシ、自社ホームページ、店頭ボード。力の入れ方が違います。

ただし、これはあくまで「ちゃんとした業者を選んだ場合」の話です。業者を見極められない段階で、いきなり専任にしてはいけません。


7. 私がおすすめする選び方


50年やってきて、私がお客様にいつもおすすめしているのは、こういう順番です。

まず、一般媒介で2〜3社にお願いして、様子を見る。3カ月くらい見ていれば、どの業者が一番動いてくれるかが分かります。

見るのは、こういうポイントです。

  • 問い合わせの数
  • 内覧の数
  • 報告書の中身
  • 担当者の人柄や対応の速さ

これらを見比べて、「この業者なら任せられる」と判断できたら、そのときに専任に切り替える。これが一番安全な順番です。

最初から「専任にしてください」と言ってくる業者には、こう聞いてみてください。

  • レインズに登録したら、他社からの問い合わせにちゃんと紹介で応じてくれますか?
  • 囲い込みは絶対にしない、と約束していただけますか?
  • 2週間に1回の報告書に、他社からの問い合わせ件数も書いていただけますか?

ちゃんとした業者なら、即答で「はい」と答えます。口ごもったり、話をそらしたり、「いやそれはちょっと」と言葉を濁す業者は、囲い込みをやる業者だと思って、まず間違いありません。


8. 専任媒介のデメリットを正直にお話しします


専任媒介には、業者が説明しないデメリットがあります。

一つ目は、契約期間中は他社に頼めないこと。専任媒介の契約期間は最長3カ月。その間、別の業者がいいお客様を連れてきても、契約している業者を通さなければなりません。

二つ目は、業者が動かなくても解約しづらいこと。「もう少し様子を見ましょう」「あと1カ月で動きそうです」と言われ続けると、ずるずると3カ月が経ってしまう。途中解約は、契約違反になる場合もあります。

三つ目は、業者の力量に売却結果が完全に依存すること。担当者が新人だったり、他の物件で忙しすぎて手が回らなかったりすると、専任を取られたまま物件が放置されます。「会社の看板」ではなく「担当者個人」の動き次第なのです。

これらのデメリットは、専任を取りたい業者の口から、まず説明されません。だから私が代わりに申し上げています。


まとめ


「専任媒介にしてください」と言われたら、まず一度立ち止まってください。業者が専任を欲しがるのは、業者の都合です。あなたのためではありません。

専任にするなら、その業者が信頼できるかを慎重に見極めてから。最初は一般媒介で複数社を試して、一番動いてくれる業者に専任を出す。この順番が安全です。

そして、専任を出すときは「囲い込みはしませんね?」と必ず釘を刺してください。それだけで、業者の動きはまったく変わります。


最後に、これだけは申し上げたい


家を売るというのは、人生で何度もないことです。だからこそ、業者の言葉を鵜呑みにせず、ご自身で判断する材料を持っていただきたい。

「専任にしてください」という言葉の裏には、業者の本音があります。その本音を知ったうえで納得して選んでいただければ、損をすることはありません。

もし媒介契約のことで迷われましたら、いつでもご相談ください。神戸市北区・西宮北部・三田で50年、地元の方の不動産のお手伝いをしてきました。

無理に専任を取ろうとは思いません。一般媒介で結構です。その代わり、ちゃんと動きます。

センチュリー21・ハートピア
田中章雄

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