カテゴリ:あきちゃんの不動産お役立ち情報 / 投稿日付:2026/07/21 10:32
こんにちは。神戸市北区で50年、不動産屋をやっております田中章雄、通称あきちゃんです。
今日は、私が50年この仕事をやってきて、一番たくさん立ち会ってきた場面についてお話しします。相続です。
家を買う人、売る人、いろんなお客さんと付き合ってきましたが、一番多かったのは、やっぱり親御さんが亡くなったあとの実家をどうするか、という相談でした。
ここで一歩、立ち止まってください。相続というのは、法律の話でもなければ、税金の話が中心でもありません。私が50年見てきたのは、もっと生々しい、家族の話でした。
結論から申し上げます
相続でもめる家族と、もめない家族の差は、財産の多さではありません。
「早く動いたか、後回しにしたか」。これだけです。
はっきり申し上げます。何千万の財産があってもきれいにまとまる家族はまとまりますし、実家一軒しかなくてもバラバラになる家族はバラバラになります。50年やってきて、それだけは断言できます。
1. 「うちは仲がいいから大丈夫」が一番危ない
一番多い失敗パターンから申し上げます。生前、ご兄弟の仲がとても良かった。だから何も決めずに親御さんが亡くなった。そういうご家庭ほど、あとでもめます。
神戸市北区のAさんとBさん、ご兄弟の話をします。お父さんが残したのは、北区の実家一軒だけ。評価額でだいたい2,400万円ほどの家でした。お二人とも「仲がいいから話し合えばすぐ決まる」と思っていた。
ところが、いざ売る段になって食い違いが出ました。お兄さんは「早く売って現金で半分ずつ分けたい」。弟さんは「思い出のある家だから、もう少し置いておきたい」。どちらも間違っていません。だからこそ、決着がつかない。
その間、誰も住まない家の固定資産税は毎年12万円かかり続けます。庭は荒れ、雨漏りが始まり、家の価値はどんどん下がっていきました。3年後、ようやく売れたときの値段は1,800万円。600万円下がっていました。
2. 相続した家は「早く売る」だけが正解ではない
今、逆のことを言うようですが、これも本音です。「相続したらとにかく早く売れ」という業者がいます。私は、そう単純ではないと思っています。
なぜなら、相続した家の売却には「税金の期限」というものが絡むからです。亡くなった方が一人で住んでいた実家を、相続した人が売る場合、一定の条件を満たせば3,000万円まで税金がかからない特例があります。これを使えるかどうかで、手取りが数百万円変わることもあります。
ただし、この特例には期限があります。おおまかに言うと、亡くなった年から数えて数年以内に売らないと使えなくなる。ここが、業界が意外と丁寧に教えてくれないところです。
「早く売れ」と急かす業者は多いのに、「なぜ早く売ったほうがいいのか」「いつまでに売れば税金が有利なのか」を、数字できちんと説明してくれる業者は少ない。これは覚えておいてください。急がされる理由と、あなたが本当に急ぐべき理由は、別物です。
3. 「とりあえず名義はそのまま」が一番あとで泣く
もう一つ、50年で山ほど見てきた失敗があります。親御さんが亡くなったあと、名義変更をしないまま放置する。「今は住む予定もないし、面倒だから、名義はお父さんのままでいいか」。これが、10年後、20年後に地獄を生みます。
実際にあった話です。北区のCさん(当時70歳)が、私のところに相談に来られました。お母さまの実家を売りたい、と。ところが調べてみると、その家の名義は、亡くなったお母さまのそのまた父親、つまりCさんのおじいさんのままでした。50年近く、名義がそのままだったのです。
こうなると、おじいさんの相続人が全員関わってきます。すでに亡くなっている方も多く、その子や孫まで相続の権利を持っている。全部で11人の同意が必要でした。
会ったこともない親戚に頭を下げて、実印をもらって回る。中には「ハンコ代をよこせ」と言う人もいる。Cさんは、家を売るだけのために、一年以上を費やしました。名義変更というのは、面倒でも、その代の人が元気なうちにやっておくものです。これは断言できます。
4. 相続で本当にもめるのは「お金」より「気持ち」
ここが、税理士さんや弁護士さんとは違う、私たち現場の人間だから見えることかもしれません。相続でもめるとき、表向きの理由はお金です。「取り分が不公平だ」と。けれど本音を聞いていくと、たいていお金の裏に別のものがあります。
- 自分だけが親の介護をした
- 兄さんは家を出て何もしなかった
- 妹ばかり可愛がられた
こういう長年の気持ちが、相続をきっかけに一気に噴き出す。家という財産は、それを表に出す引き金になりやすいのです。
だから私は、相続の相談を受けたとき、いきなり「いくらで売れます」とは言いません。まず、ご家族がどういう気持ちでこの家と向き合っているのかを聞きます。家の値段より先に、家族の気持ちを整理する。遠回りに見えて、これが一番もめない道でした。
業界の裏側も、正直に申し上げます
相続がからむ売却は、実は不動産業者にとって「おいしい仕事」です。売主が複数いて、みんな不動産に詳しくない。急いでいる。土地勘もない。こういう状況は、業者からすると、値段を安めに誘導しやすい。
たとえば、相続人の代表者一人とだけ話を進めて、他の兄弟の目が届かないうちに「これくらいが相場です」と、相場より少し安い金額で話をまとめてしまう。買取業者に横流しして、両手で手数料を取る。そういう業者が、残念ながらいます。
だから相続の売却こそ、相続人全員が同じ情報を共有できる、信頼できる一社に頼むべきなのです。
デメリットも隠さず言います
正直に申し上げると、相続の相談は、私たちにとって手間のかかる仕事です。話し合いが長引くこともあれば、ご家族の間に入って気まずい思いをすることもある。すぐにお金にならないことも多い。
だから、相続案件をあまり歓迎しない業者もいます。「まとまってから来てください」と、突き放されることもあるでしょう。でも私は、まとまる前の、一番ぐちゃぐちゃな段階でこそ、相談してほしいと思っています。まとまってから来られても、もう手遅れなことが多いからです。
まとめ
もう一度申し上げます。相続でもめるかどうかは、財産の多さではありません。早く動いたか、後回しにしたかです。
親御さんがお元気なうちに、家をどうするか、名義はどうなっているか、一度でいいから家族で話しておく。それだけで、あとの何年分もの苦労が消えます。縁起でもない、と思わずに。それが、残される家族への一番の思いやりです。
最後に、これだけは申し上げたい
相続は、誰にとっても初めての経験です。分からなくて当たり前です。売る売らないを決める前で構いません。名義がどうなっているか分からない、という段階でも構いません。神戸市北区、西宮北部、三田で実家のことが気にかかっている方は、どうぞ一度、気軽にお声がけください。
50年、この街で家族の相続を見てきた人間として、あなたの側に立ってお話しします。
センチュリー21・ハートピア
田中章雄


