カテゴリ:あきちゃんの不動産お役立ち情報 / 投稿日付:2026/05/13 07:23
こんにちは。神戸市北区で50年、不動産屋をやっております田中章雄、通称あきちゃんです。
今日は、私が50年この仕事をやってきた中で見てきた「最悪の売却パターン」についてお話しします。
これからお家を売ろうとされている方、いつかは売るかもしれないと思っている方には、絶対に知っておいてほしい話です。
ここで一歩立ち止まって聞いてください。お家の売却で失敗する方には、共通したパターンがあります。これは断言できます。
結論から申し上げます
50年やってきて分かったことがあります。
売却で大失敗する方は、「焦り」「思い込み」「人任せ」のどれか、もしくは全部に当てはまっています。
逆に言えば、この3つを避けるだけで、損する金額が数百万円単位で変わってきます。
今日はその典型例を、実際にあったお話としてお伝えします。
1. ローンの残債を基準に売値を決めてしまうパターン
これは50年で本当によく見てきました。一番多い失敗です。
「ローンがあと2,800万円残っているから、最低でも2,800万円で売りたい」
この発想で動き始めた方は、ほぼ確実に売れません。
ご相談に来られたAさんご夫婦(50代)のお話です。神戸市北区藤原台に築22年のマンションをお持ちでした。残債は2,650万円。「これ以下では売れない」とおっしゃいました。
しかし、当時の藤原台の同じ間取りの相場は2,300万円前後です。
それでもAさんは「ローンがあるから無理」と、2,750万円で売り出しを強行しました。
結果どうなったか。
半年動かず、内覧は3組だけ。問い合わせもどんどん減っていきました。最終的に2,150万円まで下げてようやく売却。当初の希望から600万円下がりました。
ここでお伝えしたいのは、市場はあなたのローン残債を知りませんし、興味もありません。買い手は「同じ予算で隣のマンションが買えるか」しか見ていないのです。
2. 高額査定に飛びついて時間切れになるパターン
これも本当に多い失敗です。
Bさん(70代)は、奥様の介護施設入居資金を作るため、相続したご実家を売る必要がありました。期限は半年です。
3社に査定を依頼されました。
- C社「2,400万円でいけます」
- D社「2,500万円で売りましょう」
- E社「3,200万円で勝負しましょう」
Bさんは迷うことなくE社を選びました。当然です。800万円も違うのですから。
ここで、はっきり申し上げます。査定価格が他社より飛び抜けて高い会社は、ほぼ間違いなく「高預かり」を狙っています。
高預かりとは、まず非現実な高値で媒介契約を取り、3か月経ってから「やはり相場では売れません」と言って大幅値下げを誘導する手口です。
Bさんの場合、3,200万円で出して2か月で問い合わせゼロ。3か月目に「2,800万円に下げましょう」、5か月目に「2,400万円が限界です」と言われ、最終的に2,250万円で手放しました。
最初から2,500万円で動いていれば、もっと時間に余裕を持って、買い手と交渉する立場で売れていたはずです。
3. 一社にすべてを任せて囲い込みされるパターン
「専任にしてくれれば一生懸命やります」
この言葉を信じすぎた結果、損をする方が後を絶ちません。
「囲い込み」という言葉をご存知でしょうか。
業者は売主から売却を任され、買主からも仲介を頼まれると、両方から手数料が取れます。これを両手取引と言います。
そのため、他社が「お客さんを連れてきたい」と問い合わせても、「もう申込が入っています」「内覧の予定が詰まっています」と嘘をついて断り、自社の客付けだけを待つ業者がいます。
これが囲い込みです。
Cさん(60代)のお話です。神戸市北区の戸建てを大手F社に専任で任せました。3か月、問い合わせはほとんど無いと聞かされ続けました。
たまたま私の知人(別の不動産屋)が、その物件の買主候補を見つけて問い合わせたところ、「すでに申込が入っています」と断られたそうです。しかし2週間経ってもまだF社のサイトには載っている。
これが現実です。
専任にすること自体は悪くありません。問題は「一社に任せたら何もチェックしない」という姿勢です。レインズ(業者間のデータベース)への登録状況、内覧件数の報告、他社からの問い合わせ件数、これらを毎週確認するだけで、囲い込みはかなり防げます。
4. 家族で話し合わずに進めて骨肉の争いになるパターン
相続絡みの売却で、これが一番つらいケースです。
Dさんご兄弟(長男50代・次男48歳・長女45歳)のお話です。お父様が亡くなり、神戸市北区の実家を相続されました。
長男のDさんが「自分が長男だから」と、ご兄弟に詳しく相談せず話を進めました。査定を取り、業者を決め、売り出し価格も独断で決定。
売却途中で次男が「なぜ俺に相談しない」と激怒。長女も「私の取り分はどうなるの」と参戦。3人の話し合いがまったくつかず、売却は途中で凍結されました。
その間、家は空き家のまま2年放置。
固定資産税は2年分(年12万円×2=24万円)を払い続け、雨漏りで内装が傷み、修繕費用が80万円かかりました。最終的に売れた金額も、最初の査定から200万円下がりました。
合計300万円以上、誰も得しないお金が消えました。
これは断言できます。相続物件は売る前に必ず家族会議を開いてください。それも「とりあえず兄貴に任せる」ではなく、配分まで紙に書いて全員サインするくらいの本気度で。
ここを省略すると、必ず後で揉めます。
5. 焦って買取業者に投げて半額で手放すパターン
最後にお伝えしたいのが、これです。
「とにかく早く現金が欲しい」と思った瞬間に、判断力が落ちます。
Eさん(65歳)は、ご主人を亡くされた直後で精神的に参っておられました。広い戸建てを早く手放したい、現金にしたい、一刻も早く小さな家に移りたい、そういうお気持ちでした。
買取業者G社が来て、「今すぐ1,400万円で買い取ります。1か月で現金化できます」と提示しました。
Eさんは即決でサインされました。
ここで、これは覚えておいてください。買取業者の提示価格は、相場の60〜70%が普通です。
そのEさんの戸建ては、普通に仲介で売っていれば、2,100〜2,200万円で売れる物件でした。
3か月の時間さえあれば、700〜800万円多く手元に残っていたのです。
買取は便利な仕組みですが、「半額で手放す代わりにスピードを買う」という選択であることを忘れてはいけません。
業界の裏側を正直に申し上げます
ここまでお読みいただいた方には、もう一つお伝えしておきたいことがあります。
正直なところ、上の5つのパターンのうち、いくつかは業者側にも責任があります。
高預かりも、囲い込みも、買取の急かしも、業者が儲かる仕組みです。
私は50年この業界にいて、こういう手口を山ほど見てきました。だからこそ、お客様にはぜひ「業者の言うことを鵜呑みにしないでください」とお伝えしたいのです。
複数の業者の話を聞く。査定価格の根拠を必ず聞く。媒介契約の前にレインズの仕組みを理解する。家族と必ず事前に話し合う。
これだけで、最悪のパターンの大半は避けられます。
デメリットもお伝えしておきます
正直な話、慎重に売ろうとすると時間がかかります。
3社に査定を頼めば、それぞれと面談する手間があります。価格を相場で出せば、買取よりは時間がかかります。家族会議も、面倒で、時には感情的になります。
楽な道はありません。
しかし、その手間を惜しんで失敗した方を、私は50年で何百人と見てきました。手間を惜しんで500万円失うのか、手間をかけて500万円残すのか。それだけの話です。
まとめ
50年やってきて分かったことを、最後にもう一度繰り返します。
売却で大失敗するパターンは、
- ローン残債を基準に値段を決める
- 高額査定に飛びつく
- 一社に任せきりにする
- 家族で話し合わずに進める
- 焦って買取に流れる
この5つです。
逆に、この5つさえ避ければ、お家の売却で大きな失敗をすることは、まずありません。
最後に、これだけは申し上げたい
お家の売却は、人生で何度もあることではありません。多くの方にとって、生涯で一度か二度の大きな決断です。
だからこそ、最初の相談相手を間違えないでください。
私たちセンチュリー21・ハートピアは、神戸市北区で長く地域に根ざしてやってきました。「売るため」ではなく「損をさせないため」のご相談を、いつでもお受けしています。
「うちの場合はどうなんだろう」と少しでも思われたら、査定の前にまず一度、雑談でも構いません。お話を聞かせてください。
センチュリー21・ハートピア
田中章雄


