「あきちゃんの不動産お役立ち情報」の記事一覧(59件)
カテゴリ:あきちゃんの不動産お役立ち情報 / 投稿日付:2026/07/11 05:29
こんにちは。神戸市北区で50年、不動産屋をやっております田中章雄、通称あきちゃんです。
今日は、相続のご相談で一番多い質問、「相続した家を貸すか、売るか」についてお話しします。
親御さんが亡くなって実家を相続した。自分たちはもう別の場所に家がある。さて、この家をどうするか。
「思い出のある家やから、売るのは忍びない。貸せば家賃も入るし、いつか子どもが使うかもしれん」
そう考える方が、実に多いのです。
その気持ち、痛いほど分かります。けれど、ここで一歩立ち止まってください。
答えを間違えて、数百万円損をした方を、私は50年間で何人も見てきました。
結論から申し上げます
迷ったら、売る。これが50年やってきた私の結論です。
はっきり申し上げます。相続した家を貸してうまくいくのは、条件が揃った一部の家だけです。
その条件とは、
- 駅から徒歩10分以内
- 築25年より浅い
- 大きな傷みがない
この3つです。揃っていない家を貸すのは、私はお勧めしません。
なぜそう言い切れるのか。理由を順番にお話しします。
1. 貸す前に、まずお金が出ていきます
親御さんが住んでいた家は、たいてい築40年前後です。そのまま貸せることは、まずありません。
壁紙の張り替え、水回りの交換、畳の入れ替え。人に貸せる状態にするだけで200万円から300万円かかるのが普通です。
給湯器が古ければプラス20万円。屋根や外壁に手を入れれば、あっという間に400万円を超えます。
家賃が入る前に、まず大きなお金が出ていく。これが賃貸の入り口です。
2. 家賃で回収できるとは限りません
神戸市北区の築40年の戸建なら、家賃は月7万円前後がいいところです。
年間で84万円。ここから固定資産税、火災保険、管理料、修繕費を引くと、手元に残るのは年間60万円ほどです。
先ほどの改装費300万円を回収するのに、5年かかる計算になります。
しかも、この5年間ずっと入居者がいればの話です。
空室になれば収入はゼロ。その間も税金と維持費は出ていきます。
3. 大家業は「不労所得」ではありません
貸せば家賃が勝手に入ってくる。そう思っている方が多いのですが、大家は仕事です。
雨漏りの連絡は夜中でも来ます。給湯器が壊れたら即日対応です。退去のたびに敷金の精算と原状回復で、10万円、20万円と飛んでいきます。
70歳を過ぎてから初めて大家業を始めるのは、正直、しんどいですよ。
4. 一度貸すと、売りにくくなります
これは覚えておいてください。日本の法律では、借主は強く守られています。
一度貸したら、大家の都合で「出て行ってください」とは言えません。
入居者がいるまま売る方法もありますが、これは「オーナーチェンジ」といって、相場より2割から3割安くなります。
2,000万円で売れたはずの家が、1,500万円になる。貸すという選択には、この出口の狭さがついて回ります。
5. 税金の特例には期限があります
相続した空き家を売るとき、条件を満たせば譲渡所得から3,000万円を控除できる特例があります。
ただし、この特例は一度でも人に貸すと使えなくなります。売る期限も、相続した日から3年目の年末までです。
貸してから「やっぱり売ろう」と思ったときには、この権利は消えています。
Aさんの失敗と、Bさんの成功
神戸市北区鈴蘭台のAさん(67歳)のお話です。
3年前にお母様が亡くなり、築43年の実家を相続されました。
ある不動産会社に相談したところ、「貸しましょう。家賃収入で年金の足しになりますよ」と勧められた。
Aさんは280万円かけて改装し、月7万5千円で貸し出しました。
ところが2年半で入居者が退去。給湯器の交換に18万円。次の入居者はなかなか決まらず、半年間の空室。
疲れ果てたAさんは、結局売ることにされました。
ここで問題が起きます。賃貸に出したことで、さきほどの3,000万円控除が使えなくなっていたのです。
譲渡所得税でおよそ200万円。最初から売っていれば、払わなくてよかった税金です。
Aさんは私にこう言われました。「最初にあんたに相談しとったら良かったわ」
一方で、うまくいった方もいます。
岡場駅から徒歩9分、築22年の家を相続されたBさんご夫婦。傷みが少なく、改装は60万円で済みました。家賃は月9万8千円。1年待たずに費用を回収し、今も安定して貸せています。
つまり、家の条件次第なのです。
あなたの実家はAさんの家に近いのか、Bさんの家に近いのか。そこを冷静に見てください。
業界の裏側を正直に話します
ここで、業界の裏側もお話ししておきます。
不動産会社に「貸すか売るか」を相談すると、会社によって答えが変わります。
賃貸管理が得意な会社は「貸しましょう」と言います。貸してもらえれば、毎月「家賃の5%」の管理料がずっと入ってくるからです。
売買が得意な会社は「売りましょう」と言います。仲介手数料が入るからです。
「30年一括借り上げ」のサブリースにも注意してください。
契約書には必ず家賃の見直し条項があり、数年ごとに家賃は下がっていきます。30年同じ家賃が保証されるわけではありません。
つまり、あなたが聞いている答えは、あなたのための答えではなく、その会社が儲かる答えかもしれない。
これは断言できます。貸す場合と売る場合、両方の数字を並べて説明してくれる会社だけを信用してください。
売ることにもデメリットはあります
私は「迷ったら売る」と申し上げましたが、売ることのマイナス面も正直に書いておきます。
一度売ったら、二度と取り戻せません。思い出の詰まった家を手放す寂しさは、お金では埋まりません。
希望の値段で売れるとは限りません。北区の築古戸建は、場所によっては1,000万円を切ることもあります。
解体して土地で売る場合は、解体費用が150万円から200万円かかります。
それでも私が売る方を勧めるのは、「持ち続けるコスト」と「貸す手間とリスク」を、皆さんが低く見積もりすぎているからです。
まとめ
もう一度申し上げます。相続した家は、迷ったら売る。
貸してよいのは、駅近、築浅、傷みが少ない。この条件が揃った家だけです。
条件が揃わない家を貸すのは、
- 改装費の持ち出し
- 空室のリスク
- 出口の狭さ
- 税金の特例切れ
この4つを全部引き受けるということです。
そして判断には期限があります。3,000万円控除は相続から3年目の年末まで。悩んでいる間にも、時計は動いています。
最後に、これだけは申し上げたい
相続した家をどうするかは、ご家族の歴史に関わる大きな決断です。
だからこそ、貸した場合と売った場合、両方の数字を並べて、損得を見える形にしてから決めてください。
私でよければ、50年の経験で、あなたの実家がAさんの家に近いのか、Bさんの家に近いのか、正直に申し上げます。
売らせるための査定ではなく、損をさせないための相談です。
どうぞお気軽にお声がけください。
センチュリー21・ハートピア
田中章雄
カテゴリ:あきちゃんの不動産お役立ち情報 / 投稿日付:2026/07/08 07:27
こんにちは。神戸市北区で50年、不動産屋をやっております田中章雄、通称あきちゃんです。
今日は、少し切り出しにくい話をさせていただきます。私が50年この仕事をやってきた中で、その大切さを嫌というほど見てきた「親が亡くなる前にやるべき不動産対策」についてお話しします。
縁起でもない、と思われた方もいるでしょう。親が元気なのに、死んだ後の話なんてできるか、と。そのお気持ちは、よく分かります。
けれど、親が元気なうちに準備をしていた家族と、何もしないままその日を迎えた家族とでは、その後の負担がまるで違います。今日はその「差」がどこで生まれるのか、包み隠さずお話しします。
結論から申し上げます
親が元気なうちに、確認しておくことは3つだけです。
「名義」「境界と書類」「親の気持ち」
この3つを押さえておけば、相続で大きく損をする可能性はぐっと減ります。逆に、この3つを放っておくと、あとで数百万円単位の損につながります。これは断言できます。順番にご説明します。
1. まず「名義」を確認してください
実家の土地と建物の登記名義が誰になっているか、確認したことはありますか。
50年やってきて分かったことがあります。「実家の名義は当然、父親だろう」と思い込んでいるご家族のうち、1〜2割は、実際に調べると違うのです。お祖父様の名義のまま、ひどい場合は曽祖父様の名義のまま、という家が本当にあります。
名義が古いままだと、相続人がねずみ算式に増えます。会ったこともない親戚全員の判子が必要になり、1人でも連絡が取れなければ、家は売れません。
しかも2024年4月から、相続登記は義務になりました。相続で不動産を取得したと知った日から3年以内に登記をしないと、10万円以下の過料の対象になります。
確認の方法は簡単です。法務局で登記事項証明書を取るだけ。費用は1通600円です。まずはそこから始めてください。
2. 「境界」と「書類」をそろえてください
土地の境界がはっきりしていない家は、売るときに必ずつまずきます。
境界確定測量には、お隣さんの立ち会いが必要です。費用はおおむね50万〜80万円、期間は3ヶ月から半年かかります。
ここで大事なことを申し上げます。親が元気なうちなら、「昔からこの塀がうちとお宅の境や」という話を、親自身が隣近所と直接できるのです。亡くなった後では、それができません。昔の経緯を知る人がいなくなった境界の話し合いは、こじれると本当に長引きます。
それから、書類です。以下の4つがどこにしまってあるか、親御さんに聞いておいてください。
- 権利証(登記識別情報)
- 測量図
- 建築確認済証
- 購入したときの契約書
仏壇の引き出し、タンスの奥、貸金庫。亡くなった後に家中を探し回るご家族を、私は何十組も見てきました。
3. 親の「気持ち」を聞いてください
実は、これが一番大事で、一番後回しにされます。
親は実家をどうしたいのか。誰に残したいのか。施設に入ることになったら、売ってもいいと思っているのか。
これを聞かないまま親が認知症になると、はっきり申し上げます、家は売れなくなります。
不動産の売買には、所有者本人の意思確認が必須です。意思確認ができない状態になれば、家庭裁判所で成年後見人を立てるしか方法がありません。成年後見人がつくと、報酬が月2万〜6万円、親御さんが亡くなるまで払い続けることになります。しかも自宅を売るには家庭裁判所の許可が必要で、自由に売ることはできません。
「親が元気なうちに、気持ちを聞いておく」。たったそれだけで、この事態は防げるのです。
4. できれば遺言を。せめて兄弟で一度だけ話を
公正証書遺言の手数料は、財産の額にもよりますが、おおむね5万〜15万円です。この15万円を惜しんだ結果、兄弟の関係が壊れ、弁護士費用に100万円以上かかった例を、私は何件も見てきました。
遺言まではハードルが高い、というご家庭も多いでしょう。それなら、せめて兄弟が集まる正月やお盆に、一度だけでいい、「実家、将来どうする」という話をしておいてください。
そして一つだけ。「とりあえず兄弟の共有名義で」というのだけは、やめてください。共有名義は、将来「全員の合意がないと売れない家」を作る、一番の火種です。
実例:準備しなかったAさんと、準備したBさん
三田市にお住まいだったAさん(享年82歳)のご家族の話です。
Aさんが亡くなった後、息子さん(55歳)が実家を売りたいと私のところへ相談に来られました。ところが登記を調べてみると、土地の名義は大正生まれのお祖父様のまま。相続人を確定させると、会ったこともない親戚を含めて11人いました。
判子集めに2年。戸籍集めや司法書士への費用に約130万円。その間に「買いたい」と言ってくださっていた方は離れてしまい、最終的に当初の査定より330万円安い1,850万円での売却になりました。
一方、藤原台のBさん(当時80歳)は、3年前に娘さんと一緒に私の店へ来られました。名義の確認、境界確定測量(65万円)、公正証書遺言(11万円)を済ませ、権利証や測量図は一つの箱にまとめて、置き場所を家族全員で共有しました。
昨年Bさんが亡くなられた後、娘さんは相続登記から売却まで4ヶ月、査定通りの2,480万円で売り切りました。準備にかかった費用は合計80万円ほど。Aさんのご家族との差は、歴然です。
業界の裏側:相続直後のご家族は「狙われて」います
ここからは、業界の裏側の話です。
親御さんが亡くなった直後の家には、買取業者のダイレクトメールが束になって届きます。「現金で今すぐ買い取ります」「面倒な手続きはすべてこちらで」。登記の情報などから相続が発生した家を調べて、送ってくるのです。
悲しみの中にいて、手続きに疲れているご家族に、「面倒から解放されますよ」とささやく。その買取価格は、相場の2〜3割安が当たり前です。2,000万円で売れる家なら、1,400万円。それでも「楽になるなら」と判を押してしまう方がいるのです。
準備ができているご家族は、急ぐ必要がありません。急がない売主は、買い叩かれません。事前の準備こそ、最大の防御なのです。
デメリット:事前準備にも、お金と気まずさがかかります
正直に、マイナス面も申し上げます。
事前準備はタダではありません。境界確定測量に50万〜80万円、公正証書遺言に5万〜15万円。合わせれば100万円近くかかることもあります。
それから、気まずさです。親に「死んだ後の話」を切り出すのは、誰だって嫌なものです。一度で話がまとまらないことも多いですし、親のほうが「まだ早い」と怒ってしまうこともあります。
それでも、何もしなかった場合の数百万円の損や、兄弟の争いと比べれば、安い保険だと私は思います。切り出し方のコツは、「相続登記が義務になったらしいよ」というニュースの話から入ることです。国の制度の話なら、親も聞く耳を持ってくれます。
まとめ
もう一度申し上げます。親が元気なうちに確認するのは、3つだけです。
- 名義は誰か(法務局で600円)
- 境界と書類はそろっているか
- 親は実家をどうしたいのか
この3つを、親御さんがお元気なうちに。早すぎるということは、絶対にありません。
最後に、これだけは申し上げたい
「何から手をつけていいか分からない」「親への切り出し方が分からない」。その段階のご相談で構いません。
私は神戸市北区で50年、相続と売却の現場を見てきました。名義の調べ方から、境界の話、ご兄弟での話し合いの進め方まで、実家の一軒一軒に合わせてお手伝いします。
親御さんがお元気なうちのご相談こそ、一番の親孝行だと私は思っています。どうぞお気軽にお声かけください。
センチュリー21・ハートピア
田中章雄
カテゴリ:あきちゃんの不動産お役立ち情報 / 投稿日付:2026/07/07 06:35
こんにちは。神戸市北区で50年、不動産屋をやっております田中章雄、通称あきちゃんです。
今日は、相続した空き家を売るときに使える「3000万円の特別控除」について、その落とし穴をお話しします。
「空き家を売っても3000万円まで税金がかからない制度があるらしい」。最近、相談に来られる方の多くがこれを口にされます。たしかにありがたい制度です。
けれど、この制度ほど「知らなかった」「一年違いで使えなかった」と悔しがる方が多いものはありません。
結論から申し上げます
この3000万円控除は、条件が一つでも外れると、まったく使えません。
昭和56年5月31日以前に建った家であること。亡くなった方が一人で住んでいたこと。相続開始から3年目の年末までに売ること。この3つが特に外れやすい落とし穴です。
順番にお話しします。
1. そもそもこれは何の制度か
正しくは「被相続人の居住用財産を売ったときの3000万円特別控除」、通称「空き家特例」といいます。
親御さんが一人で住んでいた家を、相続した方が売る。そのときに出た利益(譲渡所得)から、最大3000万円を差し引ける。差し引いた残りにだけ税金がかかる、という制度です。
たとえば古い実家を売って「2500万円」の利益が出たとします。本来ならその利益に約2割の税金、つまり「500万円」近くが持っていかれます。ところがこの控除が使えれば、2500万円まるごと差し引けて、税金はゼロ。これは大きいです。
だからこそ、みなさん飛びつく。けれど、飛びつく前に条件を確かめてください。
2. 落とし穴その一 昭和56年5月31日以前の家であること
これが一番多い取りこぼしです。
この制度が使えるのは、昭和56年(1981年)5月31日以前に建てられた家に限られます。いわゆる旧耐震の建物です。
つまり「昭和57年築」だと、たった1年違いで使えません。「昭和56年の秋に完成した家」も、5月31日を過ぎているので対象外です。
はっきり申し上げます。建てた年を「だいたい昭和50年代だったかな」で済ませてはいけません。登記簿や建築確認の記録で、正確な建築時期を確かめてください。ここを勘違いしたまま話を進めて、売ったあとで「使えませんでした」と分かる。これが本当に多いのです。
それともう一つ。マンションは対象外です。区分所有の建物、つまり分譲マンションの一室は、どれだけ古くてもこの特例は使えません。あくまで一戸建てのお話です。
3. 落とし穴その二 亡くなった方が「一人で」住んでいたこと
この制度は、亡くなった方が「一人暮らし」だった家が前提です。
同居しているご家族がいた場合は、原則として使えません。「親と一緒に住んでいた息子さんが相続して売る」というケースは、この特例からは外れてしまいます。
ここでよく聞かれるのが、老人ホームのことです。亡くなる前に施設へ入っていた場合はどうなるのか。
これは、要介護認定を受けて老人ホームに入っていたなど、一定の条件を満たせば、施設に入る前に一人で住んでいた家として認められます。ただし、家を空き家にしたあと、誰かを住まわせたり、人に貸したりしていると、その時点で崩れます。ここは細かいので、必ず税理士か税務署に確認してください。
4. 落とし穴その三 「3年目の年末まで」という期限
これも見落とす方が非常に多い落とし穴です。
この控除には期限があります。相続が始まった日、つまり親御さんが亡くなった日から、3年を経過する日の属する年の12月31日まで。この日までに売買を終えていないと使えません。
「3年もあるなら余裕だ」。そう思った方ほど、危ないのです。
相続の話は、そう簡単に進みません。兄弟で「どうする」「いつ売る」と言い合っているうちに、あっという間に1年、2年と過ぎます。名義変更が済んでいない、遺品の片づけが終わっていない、そうこうしているうちに3年目の年末が来る。
私が実際に見た、Aさんのお話をします。
神戸市北区にお住まいのAさん(65歳)は、藤原台のご自宅とは別に、亡くなったお父様の実家を相続されました。昭和55年築の木造一戸建て。まさにこの控除が使える家でした。
ところが、Aさんと弟さんの間で「もう少し様子を見よう」「相場が上がるかも」という話になり、動き出したのが亡くなってから3年半後でした。売れたのは良かったのですが、3年目の年末をわずかに過ぎていた。控除は使えず、利益「2300万円」にそのまま課税され、およそ「450万円」の税金を納めることになりました。
「あと半年早く動いていれば」。Aさんは何度もそうおっしゃいました。これは断言できます。この制度で損をする人は、たいてい「期限を甘く見た人」です。
5. 落とし穴その四 令和6年から控除額が変わった
これは新しい話なので、特に気をつけてください。
令和6年(2024年)1月1日以降に売る場合、相続した人が3人以上いるときは、一人あたりの控除額が3000万円から「2000万円」に減らされました。
相続人が1人か2人なら、これまで通り一人3000万円。ですが3人以上で分けると、一人2000万円まで。兄弟が多いご家庭は、ここで思ったより控除が小さくなることがあります。
それともう一点。売った値段が「1億円」を超えると、この特例は一切使えません。共有名義でそれぞれが持ち分を売った場合も、全員の売却代金を合算して1億円で判定します。「自分の取り分は1億円以下だから大丈夫」ではないのです。
6. 落とし穴その五 空き家のまま売らないといけない
意外と知られていないのがこれです。
この控除を使うには、相続してから売るまでの間、その家を空き家のまま保っておく必要があります。
一時的に人に貸した。物置として使った。誰かを住まわせた。こういうことがあると、原則として使えなくなります。「どうせ空いているから」と親戚に貸したりすると、それだけで控除が飛びます。
そして家の状態にも条件があります。古い家をそのまま売る場合は、耐震リフォームをしてから売るか、家を取り壊して更地にして売るか、どちらかが必要でした。
ここは令和6年から少し緩みました。売ったあと、買主が翌年の2月15日までに耐震改修か取り壊しをすれば、売主が事前に工事をしていなくても認められるようになりました。少し使いやすくなったのは確かです。ただし、この制度そのものの適用期限は令和9年(2027年)12月31日まで。いつまでもある制度ではありません。
7. ここが業界の裏側です
正直に、業界の裏の話もしておきます。
相続で空き家が出ると、どこで聞きつけたのか、買取業者が次々と声をかけてきます。「うちで買い取りますよ」「今なら高く買えます」。親切そうに見えます。
ですが、彼らはこの3年の期限を知っています。だからこそ、期限が近づくほど足元を見てきます。「もう時間がないでしょう」「早く決めないと控除も使えなくなりますよ」。そう言って焦らせ、相場よりずっと安い金額で買い叩く。私はこういう場面を、何度も見てきました。
それから、これも本音で言います。不動産屋の中には、この特例の細かい条件を正確に把握していない者もいます。「たぶん使えますよ」と気軽に言われて信じたら、あとで税理士に「使えません」と言われる。税金の最終判断は不動産屋ではなく、税務署と税理士の領分です。ここを混同してはいけません。
8. デメリットも正直に申し上げます
良いことばかりではありません。
まず、この控除を使うには、必ず確定申告が要ります。「税金がゼロなら申告もいらないだろう」ではありません。申告して初めて控除が認められます。ここを忘れると、せっかくの3000万円がまるごと無駄になります。
それから、取り壊して更地で売る場合、その解体費用は自分持ちになることが多いです。木造一戸建ての解体で、およそ「150万円から250万円」はかかります。控除が使えるからといって、手元にまるまる残るわけではありません。
そして繰り返しますが、条件が一つでも外れれば、この話は全部ゼロになります。中途半端な理解で「使えるはず」と動くのが、一番危ないのです。
まとめ
もう一度申し上げます。
相続した空き家の3000万円控除は、たしかに大きな制度です。けれど、昭和56年5月31日以前の家であること、亡くなった方が一人で住んでいたこと、そして相続から3年目の年末までに売ること。この条件をどれか一つでも外すと、まったく使えません。
50年やってきて分かったことがあります。相続の不動産で得をする人は、早く、正確に、専門家を交えて動きます。損をする人は、「まだ大丈夫」と先延ばしにして、期限や条件で足をすくわれます。
最後に、これだけは申し上げたい
相続した空き家をお持ちで、「これは控除が使えるのだろうか」と少しでも気になったら、売る前に一度ご相談ください。建築年、住んでいた方の状況、相続の時期。この3つを確認するだけで、使えるか使えないかの見当はつきます。
私は50年、この北区で不動産を見てきました。税金の最終判断は税理士の仕事ですが、どういう順番で、いつまでに動けばいいのか、その道筋はお示しできます。損をしてからでは遅いのです。動く前に、まずお声がけください。
センチュリー21・ハートピア
田中章雄
カテゴリ:あきちゃんの不動産お役立ち情報 / 投稿日付:2026/07/06 07:44
こんにちは。神戸市北区で50年、不動産屋をやっております田中章雄、通称あきちゃんです。
今日は、相続した不動産を「売らないでいると、かえって損をしてしまう」というお話をします。
親から家や土地を受け継いだとき、多くの方が「せっかく親が遺してくれたものだから、手放すのは忍びない」とおっしゃいます。その気持ちは、痛いほど分かります。
けれど、私はこの50年で、その「持ち続けたい」という気持ちのせいで、何百万円も損をしてしまったご家族を何組も見てきました。ここで一歩、立ち止まって聞いてください。
結論から申し上げます
使わない、貸せない、毎年お金が出ていく。この3つがそろった相続不動産は、早く売ったほうが得です。
これは断言できます。相続した不動産で失敗する人は、「いつか使うかもしれない」「もう少し様子を見よう」と言って、判断を先延ばしにします。そして先延ばしにしている間、その家は毎年あなたの財布からお金を吸い取り続けます。
売る、売らないを決める判断基準は、実はそんなに難しくありません。今日はそれを、順を追ってお話しします。
1. 空き家は「持っているだけ」で毎年お金が出ていく
まず、これを知っておいてください。
誰も住んでいない実家でも、固定資産税は毎年かかります。神戸市北区の一般的な戸建てで、年に「10万円から15万円」ほど。ここに、火災保険や、たまに草を刈りに行く交通費、庭木の手入れなどが加わります。
年に「15万円」出ていくとして、10年放っておけば「150万円」です。
住んでいれば「住むための費用」ですが、空き家の場合は、ただ持っているだけで、何も生み出さないまま、お金だけが出ていきます。
2. 建物は空き家になった瞬間から、傷むスピードが上がる
これは意外に思われるかもしれません。
人が住まなくなった家は、住んでいる家より早く傷みます。窓を閉め切ったままだと湿気がこもり、畳や柱が傷みます。水を流さないと排水管が乾いて、においや詰まりの原因になります。
私が見てきた中で、こういうケースが本当に多いのです。相続した直後なら「築40年、あと少し手を入れれば住める家」だったのに、5年放置したら「もう建物には値段がつかない家」になっていた。
築45年の家を5年放置して、建物の価値がゼロになる。これは、決して珍しい話ではありません。
3. 相続した空き家を売るなら「期限」がある
ここは大事なので、覚えておいてください。
親が亡くなって、その実家を売る場合、条件を満たせば「3000万円まで税金がかからない」という特例があります。相続した空き家を売るときの、大きな味方です。
ただし、この特例には期限があります。おおまかに言うと、相続が始まった年から数えて「3年目の年末まで」に売らないと使えません。さらに、昭和56年より前に建てられた古い家であることなど、いくつか条件があります。相続人が3人以上いる場合は、控除の枠が一人あたり2000万円に下がります。
「そのうち売ろう」とのんびりしているうちに、この3年の期限を過ぎてしまい、本来払わなくてよかった税金を何百万円も払う羽目になった。私はそういう方を、何人も見てきました。
4. 兄弟の共有名義は、時間が経つほど売りにくくなる
これも正直に申し上げます。
相続した不動産を、とりあえず兄弟3人の共有名義にしたまま置いておく。これが一番危ない持ち方です。
最初は仲が良くても、時間が経つと、誰かが結婚し、誰かが病気になり、誰かが亡くなって、その子どもが権利を継ぎます。売るには全員の合意がいるのに、関係者がどんどん増えて、話がまとまらなくなる。
これは覚えておいてください。共有名義の不動産は、放置するほど売れなくなります。
ここで、実際にあったお話をします
神戸市北区にお住まいのAさん(68歳)。藤原台の実家を、お母様から相続されました。Aさんご自身は別に持ち家があり、実家に住む予定はありませんでした。それでも「母の思い出が詰まった家だから」と、5年ほどそのままにしておられました。
固定資産税と手入れの費用で、5年間で「およそ80万円」。そして久しぶりに私が中を見せてもらうと、雨漏りが天井まで広がり、畳はふかふかに傷んでいました。相続してすぐなら「土地建物で2200万円」で売れたであろう家が、その時点では「土地代から解体費を引いて1800万円」まで下がっていました。
つまり、5年間持ち続けたことで、出ていったお金と下がった価値を合わせて「500万円近く」を失っておられたのです。Aさんは、こうおっしゃいました。「もっと早く、あきちゃんに相談すればよかった」と。
一方で、こういうご夫婦もいらっしゃいました。Bさんご夫婦は、お父様が亡くなってすぐ、まだ気持ちの整理もつかないうちに私のところへ来られました。私は正直に「今のうちに動けば、空き家の特例が使えて税金がかかりません」とお伝えしました。相続してから2年目に売却され、手取りで大きく得をされました。
同じ相続でも、動く時期が違うだけで、結果はこれだけ変わるのです。
業界の裏側を、正直にお話しします
相続不動産を売ろうとすると、必ずと言っていいほど「買取業者」が現れます。「相続なら、面倒な手続きは全部こちらでやります。すぐに現金化できます」と。
聞こえはいいのですが、買取の値段は、普通に売るときの「6割から7割」がほとんどです。2000万円で売れる家を、1300万円くらいで買い叩かれる。これが買取査定のカラクリです。
もう一つ。相続で焦っている売主さんに対して、「今は売り時ではないので、しばらく預からせてください」と言って、実は他社に情報を回さず、自分の会社だけで抱え込む業者もいます。これを「囲い込み」と言います。売主さんは「待っていれば高く売れる」と思わされ、その間に建物はどんどん傷んでいく。
はっきり申し上げます。相続不動産で「急いで買い取ります」と言う業者と、「ゆっくり預からせてください」と言う業者、この両極端には、気をつけてください。
売ることのデメリットも、隠さず申し上げます
ここまで「早く売ったほうがいい」と申し上げてきましたが、売ることにマイナスがないわけではありません。
一つは、当たり前ですが、親の家がなくなるという寂しさです。お金には換えられない思い出があるのは事実です。ここは、ご家族でよく話し合ってください。
もう一つ。相続してから時間が経ちすぎた不動産や、期限を過ぎたものは、売っても税金が思ったより重くのしかかることがあります。だからこそ「早いうちに」なのです。そして、急いで売ろうとするあまり、最初に来た業者の言い値で手放してしまうのも、また損です。早く動くことと、焦って安く売ることは、別の話です。
まとめ
50年やってきて分かったことがあります。相続不動産は「気持ち」で持ち続けて、「お金」で損をする。これが一番多いパターンです。
売る、売らないの判断基準は、この3つで考えてください。
- その家に自分や家族が住む予定が、本当にあるか
- 人に貸して、家賃が入る見込みがあるか
- 毎年出ていく固定資産税や手入れの費用を、この先ずっと払い続けられるか
この3つがすべて「いいえ」なら、それは売ったほうがいい不動産です。そして売ると決めたら、傷む前に、税の特例が使える期限内に、動いてください。
最後に、これだけは申し上げたい
相続した家をどうするかは、人生でそう何度もある決断ではありません。だからこそ、一人で、あるいはご兄弟だけで抱え込まず、一度、地元を知っている人間に相談してください。
私は「売るため」ではなく「損をさせないため」に、正直なことをお話しします。売らないほうがいい場合は、はっきり「持っておきなさい」と申し上げます。まずは今の値段と、使える特例があるかどうか、いっしょに確かめましょう。
センチュリー21・ハートピア
田中章雄
カテゴリ:あきちゃんの不動産お役立ち情報 / 投稿日付:2026/07/05 08:10
こんにちは。神戸市北区で50年、不動産屋をやっております田中章雄、通称あきちゃんです。
今日は、空き家を放置すると、いったいどうなるのか、というお話をします。
親御さんが亡くなって、誰も住まなくなった実家。とりあえず、そのままにしている。荷物もそのまま、鍵をかけて、たまに風を通しに行くだけ。
こういうお宅、北区にも本当にたくさんあります。ここで一歩立ち止まって、私の話を聞いてください。
結論から申し上げます
空き家は、放置すればするほど、お金が出ていきます。
しかも、住んでいないのに、です。誰も使っていない家が、毎年、静かにあなたのお財布からお金を抜いていく。これは断言できます。
「今は忙しいから、落ち着いたら考えよう」。その「落ち着いたら」が、一番お金のかかる選択なのです。
1. 誰も住んでいなくても、税金は毎年かかる
まず、これです。
空き家でも、固定資産税と都市計画税は、毎年きっちりかかります。北区の戸建てなら、土地と建物で、年に「10万円から15万円」ほどです。
仮に年12万円だとして、10年放置すれば、120万円。誰も住んでいない家に、120万円を払い続けることになります。
これだけでも大きいのに、もっと怖い話があります。
2. 「特定空家」に指定されると、税金が一気に上がる
これを知らない方が、本当に多い。
家が建っている土地は、「住宅用地の特例」というもので、固定資産税が最大6分の1に軽減されています。つまり、更地にするより、古い家でも建っていたほうが税金は安い。だから「壊さずに置いておこう」となるのです。
ところが、あまりにひどく放置して、倒れそうになったり、ゴミ屋敷になったり、周りに迷惑をかける状態になると、行政から「特定空家」に指定されます。
こうなると、あの6分の1の軽減が外れます。土地の固定資産税が、いきなり数倍に跳ね上がるのです。年12万円だったものが、一気に数十万円になることもあります。
放置した罰として、税金が重くなる。国も本気で「空き家を何とかしろ」と言っているのです。
3. 家は、人が住まないほど早く傷む
これは、50年見てきて分かったことがあります。
家というのは、人が住んでいるほうが長持ちします。空気を入れ替え、水を流し、少し掃除をする。それだけで家は保たれる。
逆に、閉め切って誰もいない家は、驚くほど早く傷みます。
- 湿気がこもって畳が腐る
- 雨漏りに気づかず、天井が抜ける
- シロアリに柱を食われる
- 庭木が伸び放題になって、隣の敷地にはみ出す
5年も放置すれば、「まだ使えたはずの家」が、「もう住めない家」になります。そうなると、売るにも「解体してから」となり、その解体費用がまた100万円、200万円とかかってくるのです。
4. 近所への迷惑が、いつか自分に返ってくる
空き家を放置して困るのは、あなただけではありません。
草木が伸びて、蚊や虫がわく。落ち葉が隣の家に飛んでいく。塀が傾いて、道にはみ出す。台風で瓦が飛んで、隣の車を傷つける。不審者が住み着く。放火される。
こういうことが起きると、ご近所との関係が一気に悪くなります。そして、もし空き家の屋根や塀が崩れて、通行人や隣の家に被害を出したら、その責任は所有者であるあなたに来ます。
「知らなかった」「遠くに住んでいた」では済みません。持っているだけで、リスクを抱え続けることになるのです。
ここで、業界の裏側の話をします
はっきり申し上げます。
空き家の相談に行くと、「解体して更地にして、それから売りましょう」と、すぐに解体を勧める業者がいます。
もちろん、解体したほうが売りやすいケースもあります。でも、中には、提携している解体業者からの紹介料が目当てで、必要のない解体まで勧めてくる者もいます。
解体して更地にすると、さっき言った「住宅用地の特例」が外れて、土地の税金が上がります。売れるまでの間、高い税金を払い続けることになる。だから、「解体するか、古家付きのまま売るか」は、慎重に判断しないといけません。
「とりあえず更地に」という言葉を鵜呑みにしてはいけない。これは覚えておいてください。
実例をお話しします
数年前、北区にお住まいのBさん(58歳)から相談を受けました。
Bさんは、10年前に亡くなったお母様の家を、そのまま空き家にしていました。「いつか自分が住むかもしれない」「売るのは寂しい」と、ずるずる10年。
その間、固定資産税は毎年12万円。10年で120万円を払い続けました。たまに様子を見に行く交通費や、庭の草刈りを頼む費用もかかっていました。
いざ「もう手放そう」と決めて、私が家を見に行くと、雨漏りで天井が抜け、シロアリで床がぶかぶか。とても人が住める状態ではありませんでした。
結局、その家は解体するしかなく、解体費用が180万円。更地にして、やっと土地が売れました。もし10年前、お母様が亡くなってすぐに動いていれば、家はまだ住める状態で、そのまま売れていたはずです。
払わなくてよかった税金120万円、いらなかった解体費180万円。合わせて300万円。これが、「空き家を放置した」ことの、本当の値段でした。
デメリットも正直に申し上げます
では、すぐに売ればすべて解決かというと、そう単純でもありません。
思い出の詰まった実家を手放すのは、寂しいものです。仏壇やお墓のこと、ご兄弟の気持ち、簡単には割り切れません。急いで売って、あとから「もっと考えればよかった」と後悔する方もいます。
それに、相続した空き家を売るときには、税金の特例が使えることがあります。一定の条件を満たせば、売った利益から3000万円まで控除できる制度です。ただし、この制度は使える期限や細かい条件があります。使えるはずだったのに、放置している間に期限が過ぎてしまった、という方もいます。
だからこそ、「放置」でも「あわてて売る」でもなく、早めに一度、状況を整理することが大事なのです。
まとめ
もう一度、結論を申し上げます。
空き家は、放置すればするほど、お金が出ていきます。毎年の税金、特定空家に指定されての増税、傷んでいく家、増えていく解体費用、そして近所への迷惑とリスク。
「落ち着いたら考えよう」の間にも、お金は毎年、静かに出ていっています。空き家は、置いておくだけでコストがかかる、数少ない財産なのです。
最後に、これだけは申し上げたい
空き家をどうするかは、税金のことも、家族の気持ちも絡んで、なかなか自分一人では決めきれないものです。
でも、決めずに放っておくと、その一年一年が、そのままお金になって出ていきます。売る、貸す、しばらく持つ。どの道を選ぶにしても、まずは今どういう状態なのかを知ることから始めてください。
神戸市北区、西宮北部、三田あたりで、空き家のことでお悩みでしたら、どうぞ一度ご相談ください。すぐ売りましょう、という話はしません。あなたが損をしないために、50年見てきた者として、正直にお話しします。
センチュリー21・ハートピア
田中章雄
カテゴリ:あきちゃんの不動産お役立ち情報 / 投稿日付:2026/07/04 09:03
こんにちは。神戸市北区で50年、不動産屋をやっております田中章雄、通称あきちゃんです。
今日は、共有名義がなぜ危険なのか、というお話をします。
これは、私が50年やってきた中で、一番「あとで大変なことになる」と分かっていながら、みなさんが軽く考えてしまうものです。
不動産の登記簿に、名前が二人以上並んでいる。これを共有名義と言います。ご兄弟で実家を相続したとき。ご夫婦でお金を出し合って家を買ったとき。親子でローンを組んだとき。こういうときに、自然と共有名義になります。
ここで一歩立ち止まって、私の話を聞いてください。
結論から申し上げます
共有名義は、できるだけ避けてください。
そして、もしすでに共有になっているなら、元気なうちに、仲が良いうちに、早く解消してください。
これは断言できます。共有名義は、時間が経てば経つほど、ほどけなくなる糸です。放っておいて良くなることは、まずありません。
1. 全員が「うん」と言わないと、何もできない
共有名義の一番やっかいなところは、これです。
売るのも、貸すのも、建て替えるのも、大きなリフォームをするのも、共有者「全員」の同意がいります。一人でも「嫌だ」と言えば、そこで止まります。
たとえば、三人兄弟で実家を相続したとします。長男は「売りたい」。次男も「売りたい」。ところが三男が「思い出のある家だから残したい」と言う。
これだけで、その家は売れません。二人が賛成でも、一人が反対なら動かせないのです。
多数決ではありません。全員一致です。ここを、みなさん驚くほど軽く考えています。
2. 相続のたびに、共有者がねずみ算式に増える
これが、共有名義の本当の恐ろしさです。
はじめは兄弟二人の共有だったとします。仲も良く、特に問題はなかった。ところが、片方が亡くなると、その持分が、その人の奥さんや子どもに相続されます。
二人だった共有者が、次の代で五人、六人になります。さらに次の代になると、顔も見たことのない親戚同士が、一つの土地を共有している、という状態になります。
こうなると、もう誰も手がつけられません。売ろうにも、全員の実印と印鑑証明を集めないといけない。中には行方が分からない人も出てきます。
私は、名義人が十人以上に膨れ上がって、完全に塩漬けになった土地を、北区でいくつも見てきました。50年やってきて分かったことがあります。共有名義を放置した土地は、次の世代への「負の遺産」になるのです。
3. 費用と管理の負担が、必ず不公平になる
共有名義の家や土地でも、固定資産税は毎年かかります。北区の戸建てなら、年に12万円ほどです。
この税金、誰が払うのか。
多くの場合、実家の近くに住んでいる人や、真面目な人が、一人で立て替えて払い続けることになります。遠くに住んでいる共有者は、だんだん他人事になっていく。
草むしり、雨漏りの修理、近所への対応。こういう手間も、結局は誰か一人にのしかかります。
「持分は平等」なのに、「負担は不平等」。これが、家族の間に少しずつ、しかし確実に、しこりを残していきます。仲の良かった兄弟が、この税金の話でもめて、口をきかなくなった。そういうご家族を、私は何組も見てきました。
4. 「あなたの持分だけ買いますよ」という業者がいる
ここからは、業界の裏側の話です。はっきり申し上げます。
世の中には、共有持分「だけ」を専門に買い取る業者がいます。
たとえば、共有名義でもめて、お金に困った共有者の一人に近づく。「あなたの三分の一の持分だけ、うちが買い取りますよ」と持ちかける。もちろん、安く買い叩きます。
そして、その業者が共有者の一人になったあと、どうなるか。
残った家族に対して、「共有物分割請求」という裁判を起こしてくるのです。「この共有状態を解消しろ。無理なら競売にかけて、みんなで分けよう」と迫ってくる。
こうなると、家族は、その業者から持分を高く買い戻すか、家全体を競売で失うか、という選択を迫られます。穏やかに暮らしていた家に、ある日突然、見知らぬ業者が「共有者です」と乗り込んでくる。共有名義には、こういう入り口が、常に開いているのです。
実例をお話しします
数年前、北区にお住まいのAさん(64歳)から相談を受けました。
Aさんは、亡くなったお父様の家を、弟さん(60歳)と二人で相続していました。持分は半分ずつ。家にはAさんが一人で住み、固定資産税もAさんがずっと払っていました。
はじめは、それで良かったのです。ところが、弟さんが事業でお金に困った。そして、Aさんに何の相談もなく、自分の持分二分の一を、持分買取の業者に売ってしまったのです。
ある日、Aさんのところに、その業者から一通の手紙が届きました。「私どもがお宅の共有者になりました。この持分を2000万円で買い取っていただくか、応じられない場合は共有物分割の裁判を検討します」という内容でした。
Aさんは真っ青になって、私のところへ来られました。自分が住んでいる家に、突然、見知らぬ会社が「半分の権利者だ」と名乗り出てきたのですから、無理もありません。
弁護士も入れて、最終的にAさんは、当初の要求よりは下げてもらったものの、それでも1500万円近くを払って、その持分を買い戻すことになりました。
もし、お父様が亡くなったあの時点で、きちんと話し合って共有を解消していれば。あるいは、はじめからAさん一人の名義にして、弟さんには別の財産を渡す形にしていれば。こんなことにはなりませんでした。
これが、共有名義を「まあ、兄弟だから大丈夫だろう」で放置した結果です。
デメリットも正直に申し上げます
では、共有を解消すればすべて解決かというと、そう簡単でもありません。
共有を解消するには、誰か一人が他の共有者の持分を買い取るか、家を売って現金を分けるか、土地を分筆して分けるか、といった方法をとります。
どの方法にも、お金がかかります。持分を買い取るなら、その資金がいります。売って分けるなら、思い出の家を手放すことになります。分筆するなら測量や登記の費用がかかりますし、そもそも分けられない土地も多い。
さらに、持分の贈与や、身内での安い売買には、贈与税や税務署のチェックがついて回ります。
正直に申し上げて、共有名義は「作らないのが一番」なのです。一度できてしまうと、解消するにも、必ず痛みとお金が伴います。だからこそ、入り口で止めることが、何より大事なのです。
まとめ
もう一度、結論を申し上げます。
共有名義は、できるだけ避けてください。全員一致でないと動かせず、相続のたびに人数が増え、負担は不公平になり、そして見知らぬ業者が入り込む入り口にもなります。
相続で「とりあえず兄弟で半分ずつ」。ご夫婦で「二人の家だから共有で」。この「とりあえず」「二人だから」が、何年か後に、大きな火種になります。
もしすでに共有になっているなら、みんなが元気で、仲が良い、今のうちに手を打ってください。もめてからでは、選べる道がぐっと減ってしまいます。
最後に、これだけは申し上げたい
共有名義の問題は、家族の関係が絡むだけに、なかなか自分たちだけでは切り出しにくいものです。
でも、切り出さずに放っておくと、いつか必ず、もっと言い出しにくい形で問題が表に出てきます。
相続のとき、家の名義をどうするか。すでに共有になっている実家を、これからどう整理していくか。神戸市北区、西宮北部、三田あたりで、こういうことでお悩みでしたら、どうぞ一度ご相談ください。売ることを勧めるためではありません。あなたのご家族が、あとで損をしないために、50年見てきた者として、正直にお話しします。
センチュリー21・ハートピア
田中章雄
カテゴリ:あきちゃんの不動産お役立ち情報 / 投稿日付:2026/07/03 07:35
こんにちは。神戸市北区で50年、不動産屋をやっております田中章雄、通称あきちゃんです。
今日は、私が50年この仕事をやってきて、一番「見ていてつらい」と思ってきた話をします。兄弟で揉める土地の話です。
親御さんが亡くなって、実家と土地が残る。それまで仲の良かった兄弟が、その土地をきっかけに口をきかなくなる。ひどいときは、裁判所で顔を合わせることになる。
私はこれを、50年で何十件も見てきました。
結論から申し上げます
兄弟で揉める土地には、共通点があります。
それは「一つの土地を、複数人で持ってしまっている」ことです。
専門用語で「共有」と言います。この共有名義こそが、兄弟仲を壊す一番の原因です。
はっきり申し上げます。相続でもらった土地を、そのまま兄弟の共有名義にして放っておくのは、一番やってはいけないことです。
なぜそう言い切れるのか。今日はその理由と、実際に私が見てきた失敗を正直にお話しします。
1. 共有名義が「なぜ揉めるのか」を先に言います
まず、共有というのがどういうことか、簡単に説明させてください。
たとえば、お父さんが土地と家を残して亡くなった。相続人が長男、次男、長女の3人だとします。
このとき「とりあえず3人で3分の1ずつ分けておこう」とすることがあります。これが共有名義です。
一見、平等で公平に見えます。けれど、ここに落とし穴があります。
共有名義の土地は、一人では何もできません。
売るにも、貸すにも、建て替えるにも、原則として共有者「全員」の同意が必要になります。
3人のうち2人が「売りたい」と言っても、1人が「売りたくない」と言えば、売れないのです。これが、兄弟仲を壊します。
2. 実際にあった話をします
神戸市北区の、あるご家族の話です。
お父さんが亡くなって、藤原台の一戸建てと土地が残りました。相続人は長男のAさん(当時58歳)、次男のBさん(当時55歳)、それに嫁いだ長女の3人です。
そのときは、みんな仲が良かった。葬儀のあとも「とりあえず3人の名義にしておこう」と、深く考えずに共有にしました。
問題が起きたのは、それから7年後です。
長男のAさんが「実家はもう誰も住んでいないし、固定資産税(年間12万円)も払い続けるのはもったいない。売ろう」と言い出しました。長女も賛成しました。ところが、次男のBさんが「思い出のある家だ。売りたくない」と反対したのです。
Aさんと長女は「2対1だから売れるだろう」と思っていました。けれど、売れないのです。共有は全員の同意がいるからです。
Bさんは「自分は住むわけじゃないが、売るのは反対」と言うだけ。話し合いは平行線。そのあいだも、固定資産税と、傷んでいく空き家の管理費だけがかかり続けました。
最終的にどうなったか。AさんとBさんは、10年近く口をきかなくなりました。
家は誰も手を入れないまま傷み、当初「2,400万円」で売れたはずの土地が、揉めているあいだに周辺の相場も下がり、10年後にやっと売れたときには「1,700万円」になっていました。
700万円が、兄弟の意地の張り合いで消えたのです。
3. 揉める土地には、もう一つ共通点があります
共有名義に加えて、私が見てきた「揉める土地」には、もう一つの共通点があります。
それは「誰か一人が、その家に住んでいる」ケースです。
たとえば、親と同居していた長男が、そのまま実家に住み続ける。土地は兄弟3人の共有のまま。住んでいる長男からすれば「自分の家」です。けれど、名義上は次男や長女も権利を持っています。
次男が「自分の分をお金で欲しい」と言い出したとき、住んでいる長男には、その分を払うお金がない。ここから泥沼が始まります。
- 住んでいる人は「出ていけと言うのか」と怒る
- 住んでいない人は「こっちの権利はどうなる」と怒る
- どちらも間違っていない。だから、余計にこじれる
こういうケースは、親御さんが元気なうちに決めておかないと、まず揉めます。これは断言できます。
4. 業界の裏側も、正直に話します
ここで、少し業界の話をします。
共有名義で兄弟が揉めている土地。実は、これを狙っている業者がいます。「共有持分の買取業者」というものです。
さきほどのBさんのように「売りたくない」と一人が反対しているとき、売りたい側の持分だけを、こういう業者が安く買い取るのです。たとえば本来なら800万円の価値がある持分を「今すぐ現金化できますよ」と言って、300万円や400万円で買い取る。
そして、その業者が今度は「共有者」の立場で、残った兄弟に対して「この持分を買い取ってくれ」「でなければ土地を分割してくれ」と、法的手段で迫ってくるのです。
赤の他人が、いきなり共有者として家族の中に入ってくる。こうなると、もう家族だけの問題では収まりません。
「早く現金にできますよ」という甘い言葉には、必ず裏があります。持分を安く買い叩かれたうえに、残った兄弟にも迷惑がかかる。誰も得をしません。
5. デメリットも正直に申し上げます
ここまで「共有はダメだ」と申し上げてきました。ただ、正直に言えば、共有名義がすぐに悪さをするわけではありません。
みんなが元気で、仲が良くて、その土地に誰も執着がないうちは、共有のままでも問題は起きません。問題が表に出るのは「10年後、20年後」です。
- 相続した兄弟が、さらに亡くなる
- すると、その持分が、今度は「甥や姪」に相続される
- 気がつけば、一つの土地の名義人が「7人」「10人」に膨れ上がる
こうなると、もう誰と話をつけていいのかも分かりません。会ったこともない親戚に、印鑑をもらいに頭を下げて回ることになります。
私は、名義人が12人にまで増えてしまった土地を扱ったことがあります。全員の同意を集めるのに、2年かかりました。
共有は「今」は楽です。決めなくていいから。けれど、その先送りのツケは、必ず次の世代が払うことになります。
まとめ
もう一度、結論を申し上げます。兄弟で揉める土地の共通点は「共有名義のまま放っておくこと」です。
避けるために、できることは3つあります。
- 相続のとき、できるだけ共有にせず「誰か一人の名義」にまとめる。かわりに他の兄弟には現金や別の財産で埋め合わせる
- 分けにくいなら、いっそ売ってお金で分ける。土地は分けられないが、お金なら1円単位で公平に分けられる
- 親御さんが元気なうちに「この家と土地をどうするか」を家族で話しておく
「まだ元気だから」「縁起でもない」と、この話を先延ばしにする家族ほど、あとで揉めます。50年やってきて分かったことがあります。揉める家族は、みんな「話し合いを避けてきた」家族です。
最後に、これだけは申し上げたい
土地やお金の話を、家族でするのは気が引けるものです。私もよく分かります。
けれど、その話を避けたばっかりに、仲の良かった兄弟が一生口をきかなくなる。私はそういう場面を、何度も見てきました。土地は分けられても、壊れた家族の仲は、元には戻りません。
もし今、実家の相続や、兄弟での土地の分け方に少しでも不安があるなら、揉める前に、一度お話を聞かせてください。売る売らないの前に「どう分けるのが一番揉めないか」を、50年の経験からお話しします。相談だけでも構いません。損得より先に、ご家族の仲を守る方法を一緒に考えます。
センチュリー21・ハートピア
田中章雄
カテゴリ:あきちゃんの不動産お役立ち情報 / 投稿日付:2026/07/02 08:09
こんにちは。神戸市北区で50年、不動産屋をやっております田中章雄、通称あきちゃんです。
今日は、私がこの50年で数え切れないほど見てきた「相続した不動産の失敗」について、一番多い典型例をお話しします。
相続は、誰にでも一度は回ってくる話です。
そして、はっきり申し上げます。相続不動産の失敗は、たいてい同じところでつまずいています。
結論から申し上げます
相続不動産で一番多い失敗は、「何もしないまま時間だけが過ぎること」です。
もっと具体的に言うと、次の三つが重なったときです。
- 名義を親のまま放置する
- 兄弟の共有名義にしてしまう
- 空き家のまま何年も置いておく
この三つがそろうと、本来なら普通に売れたはずの家が、売れない家に変わっていきます。これは断言できます。
1. 名義を放置したまま、時間だけが過ぎる
一番多いのがこれです。お父さん、お母さんが亡くなって、家や土地はあるけれど、名義はそのまま。「そのうちやろう」と思っているうちに、5年、10年と過ぎていきます。
ここで一歩立ち止まってください。亡くなった方の名義のままでは、その不動産は売ることも、担保に入れることもできません。
そして令和6年、2024年の4月から、相続登記は義務になりました。正当な理由なく3年放っておくと、10万円以下の過料の対象になります。「知らなかった」では済まなくなったのです。
2. 兄弟の共有名義が、後で一番揉める
これも本当に多い失敗です。「とりあえず兄弟で仲良く半分ずつ」と、共有名義にしてしまう。一見、公平で良さそうに見えます。けれど、これが後で一番の火種になります。
共有名義の不動産は、売るときに共有者全員の同意が必要です。一人でも「まだ売りたくない」と言えば、その家は動きません。
さらに怖いのは、その兄弟の誰かが先に亡くなったときです。その持ち分が、その人の子どもや配偶者に相続されていきます。気がつけば、名義人が5人、6人、会ったこともない甥や姪まで含まれる。こうなると、まとめるだけで何年もかかります。
3. 空き家を放置して、期限を逃す
相続した実家を、誰も住まないまま空き家にしておく。これも損の始まりです。まず、住んでいなくても固定資産税は毎年かかります。築40年、50年の家なら、傷むのもあっという間です。
そしてもう一つ、大きな期限があります。相続した空き家を売るとき、「3000万円の特別控除」という制度が使える場合があります。これは、譲渡益から最大3000万円を差し引ける、非常に大きな制度です。
ただし、これには厳しい条件があります。
- 昭和56年5月31日より前に建てられた家であること
- 相続が始まった日から3年を過ぎる年の12月31日までに売ること
- 売った金額が1億円以下であること
特に「3年」という期限を、多くの方が知らないまま過ぎてしまいます。
実際にあった話をします
三田で、ご実家を相続された兄弟がいました。兄のAさん(62歳)と、弟のBさん(58歳)です。お母さまが亡くなって、「思い出のある家だから」と、二人ともなかなか決められませんでした。
名義は共有のまま、家は空き家のまま。そのまま5年が過ぎました。その間、固定資産税は年に12万円。5年で60万円を払い続けました。
いざ売ろうとしたら、弟さんは「売りたい」、お兄さんは「もう少し置いておきたい」。話がまとまらず、さらに1年止まりました。やっと売る決心がついたときには、家は雨漏りで傷み、旧耐震の古家。解体して更地にするのに180万円かかりました。
固定資産税と解体費を合わせて、200万円以上が消えていったのです。早く動いていれば、その多くは残せたお金でした。
もう一つ、税金で損をした話です
神戸市北区で、昭和54年築のご実家を相続されたCさん(65歳)がいました。相談に来られたのは、相続から3年と10か月が過ぎた頃でした。先ほどの「3000万円の特別控除」の期限を、数か月過ぎていたのです。
もし期限内に売っていれば、譲渡益にかかる税金を大きく抑えられました。数十万円から、場合によっては100万円を超える差です。Cさんは「もっと早く誰かに聞いていれば」と、ずっとおっしゃっていました。制度があること自体を、知らなかったのです。
業界の裏側も正直に話します
相続の相談で、こういう業者がいます。「相続税の支払いがあるでしょう。早く売りましょう」こう言って、急がせるのです。慌てさせて、自社の買取に持ち込む。
買取だと、相場の7割ほどに叩かれることが珍しくありません。3000万円で売れる家が、2100万円になる。その差は、まるまる業者の利益です。
もちろん、本当に急ぐ事情がある方には買取が向くこともあります。けれど、時間に余裕があるのに急かされているなら、一度立ち止まってください。
正直に、デメリットもお伝えします
売れば固定資産税からは解放されます。ただし、売った利益には譲渡所得税がかかります。だからこそ、3000万円の控除が使えるかどうかで、手元に残るお金が全然違うのです。
それから、更地にするタイミングにも注意が必要です。家を壊して更地にすると、土地の固定資産税が上がることがあります。住宅が建っていると受けられる軽減が外れるからです。年をまたいで解体すると、その分だけ税金が増えることもあります。このあたりは、感覚で動くと必ず損をします。
まとめ
50年やってきて分かったことがあります。相続不動産の失敗は、ほとんどが「名義放置・共有名義・空き家放置」の三つです。逆に言えば、この三つを避けるだけで、たいていうまくいきます。
名義は早めに一人に決める。共有はできるだけ避ける。そして「3年」という期限を意識して動く。それだけで、失うはずだったお金の多くが残ります。
最後に、これだけは申し上げたい
相続の話は、誰にとっても初めての経験です。分からなくて当たり前です。だからこそ、決める前に一度、地元をよく知る者に相談してください。
売る、売らない、いつ動く。その前に聞いていただくだけで、防げる失敗がたくさんあります。神戸市北区・西宮北部・三田で相続した不動産のことなら、いつでもお気軽にご相談ください。損をさせないために、正直にお話しします。
センチュリー21・ハートピア
田中章雄
カテゴリ:あきちゃんの不動産お役立ち情報 / 投稿日付:2026/07/01 07:45
こんにちは。神戸市北区で50年、不動産屋をやっております田中章雄、通称あきちゃんです。
今日は、親御さんの家を相続した方が、まず最初に何をすればいいのか、その初動の順番についてお話しします。
相続というのは、ある日突然やってきます。葬儀が終わって、ひと息ついた頃に、ふと「あの家、どうしよう」と思う。そこからが本当のスタートです。
私のところには、毎年たくさんの相続のご相談が来ます。そして、はっきり申し上げます。最初の一手を間違えて、何百万円も損をした方を、私は50年で何人も見てきました。
ここで一歩立ち止まってください。今日の話は、慌てる前に読んでおいてほしい内容です。
結論から申し上げます
相続した家で最初にすべきことは、「売ること」ではありません。
順番があります。
一番最初は、慌てて不動産屋に電話しないこと。
次に、誰の名義で、相続人が何人いるかを確認すること。
そして、お金にまつわる期限を把握すること。
売るか、貸すか、持ち続けるか。それを決めるのは、一番最後でいいのです。
これは断言できます。順番を守った人は損をしません。順番を飛ばした人が、損をします。
1. 慌てて不動産屋に電話してはいけません
これが一番大事なので、最初に言います。
相続が発生すると、なぜか不動産会社からのDMや電話が増えます。「無料査定します」「すぐ買い取ります」というやつです。
なぜ向こうから来るか、分かりますか。
登記簿は誰でも見られます。名義が変わった家、つまり相続が起きた家は、外から分かるのです。だから相続案件を狙って営業をかけてくる業者がいます。
50年やってきて分かったことがあります。相続直後の、まだ気持ちが落ち着いていない時期は、一番安く買い叩かれる時期です。
「とりあえず査定だけ」のつもりが、向こうのペースに乗せられて、気づけば相場よりずっと安い金額で手放してしまう。そういう方を、私は何度も見ています。
まず、深呼吸してください。家は逃げません。
2. 名義と相続人を確認してください
次にやることは、その家が「誰のものになるか」をはっきりさせることです。
亡くなった方の名義のままでは、家は売れません。貸すこともできません。
ここで確認することは三つです。
- 亡くなった方の名義になっているか
- 相続人は全部で何人いるか
- 遺言書があるかどうか
兄弟が3人いれば、その家は3人の共有財産です。一人の判断だけでは動かせません。ここを曖昧にしたまま話を進めると、後で必ずもめます。
3. 相続登記は「義務」になりました
ここは覚えておいてください。
令和6年、2024年の4月から、相続登記が義務化されました。
相続で不動産を取得したことを知った日から、3年以内に登記の申請をしなければなりません。正当な理由がないのにこれを怠ると、10万円以下の過料、つまり罰金のようなものを取られる可能性があります。
昔は「名義はおじいちゃんのまま」という家が、北区にもいくらでもありました。けれど、もうその時代は終わりました。
相続したら、まず名義を自分たちに移す。これが土台です。土台ができていないと、売ることも貸すこともできません。
4. お金には「期限」があります
相続には、いくつか期限があります。これを知らずに過ぎてしまうと、選べたはずの道が消えます。
- 相続放棄をするなら、原則3か月以内
- 亡くなった方の所得税の申告(準確定申告)は4か月以内
- 相続税の申告と納付は10か月以内
特に大事なのは3か月の相続放棄です。
家だけでなく、借金も一緒に相続してしまうことがあります。「実家を継いだら、知らない借金までついてきた」という話は、本当にあります。プラスとマイナス、両方を確かめてから決めてください。
5. 家の中と建物の状態を見てください
名義と期限の目処がついたら、ようやく家そのものを見ます。
まず、家の中の荷物です。遺品や残置物が片付いていない家は、そのままでは売りにくい。片付けの費用も、決して安くありません。北区の戸建てで、業者に頼むと数十万円かかることも珍しくないです。
次に、建物の状態です。雨漏り、シロアリ、傾き。築40年を超えた家だと、見えないところが傷んでいることがあります。
これを正直に把握しておくことが、後の判断を楽にします。
6. 私が見た、ある相続の話
藤原台に住む、Aさん(64歳)のお話をします。
Aさんはお父様を亡くされて、北区の実家(築47年の戸建て)を相続しました。葬儀が終わってすぐ、ポストに入っていた「すぐ買い取ります」というチラシを見て、その業者に電話をかけたそうです。
業者はすぐ来て、こう言いました。「古いお家ですし、片付けも大変でしょう。980万円で、来週には現金でお支払いできます」と。
Aさんは、相続税の心配もあって気持ちが焦っていました。「もうこれでいいかな」と、ハンコを押す寸前まで行ったそうです。
その前夜、たまたま近所の方に「あきちゃんに一回聞いてみたら」と言われて、私のところに来られました。
私は家を見て、すぐに分かりました。場所は悪くない。土地もしっかりしている。これは買取に出す家ではありません。
結局、慌てず仲介で売り出して、1,580万円で買い手がつきました。買取の話より、600万円高く売れたのです。
Aさんは「あの夜に相談していなかったらと思うと、ぞっとします」とおっしゃいました。慌てなかったこと。たったそれだけで、600万円違ったのです。
業界の裏側を一つ話します
相続の現場では、「買取」という言葉がよく出てきます。
業者がその場で現金で買い取る。早いし、手間もない。一見ありがたい話です。
でも、はっきり申し上げます。買取の値段は、仲介で普通に売る値段より、だいたい2割から3割安いです。業者は買い取った家を直して、利益を乗せて売り直すからです。
急いでいる人ほど、買取を勧められます。「相続税の支払いが近いですよね」「片付けも大変でしょう」と、こちらの弱みに寄り添うふりをして、安い金額に誘導してくる。
買取が悪いわけではありません。本当に急ぐ事情があるなら、買取が正解のこともあります。ただ、急いでいないのに買取に流されるのは、もったいない。それだけは言っておきます。
デメリットも正直に話します
ここまで「慌てるな」と言ってきましたが、放っておけばいいという話ではありません。
空き家を持ち続けると、固定資産税が毎年かかります。北区の戸建てでも、年間で10万円前後は出ていきます。
さらに、管理せずに荒れた家は、行政から「特定空家」に指定されることがあります。そうなると、土地の固定資産税が最大で6倍になることもあります。
そして、相続した空き家を売るときに使える「3000万円特別控除」という制度がありますが、これには厳しい条件があります。
- 昭和56年5月以前に建てられた古い家であること
- 亡くなった方が一人で住んでいた家であること
- 相続から3年を経過する年の年末までに売ること
- 今のところ、令和9年の年末までの売却であること
条件に合えば、税金がぐっと軽くなります。けれど、知らずに期限を過ぎてしまうと、この恩恵は受けられません。
だから「慌てるな」と「放っておくな」は、両方とも正しいのです。
まとめ
もう一度、順番を申し上げます。
- 慌てて不動産屋に電話しない
- 名義と相続人を確認する
- 相続登記をする(3年以内、義務です)
- お金の期限を知る(放棄3か月、相続税10か月)
- 家の中と建物を見る
- 売る・貸す・持つを決めるのは、最後
この順番を守れば、大きな失敗はしません。
逆に、いきなり「いくらで売れますか」から入った人ほど、損をします。これは50年見てきた、私の正直な実感です。
最後に、これだけは申し上げたい
相続した家のことで、何から手をつけたらいいか分からない。そういう方は、売る前に一度、相談だけでもしてください。
私は「売らせるため」ではなく、「損をさせないため」にお話しします。売らないほうがいい家なら、売らないほうがいいと、はっきり言います。
慌てて決める前に、まず順番を確かめる。それだけで、結果は大きく変わります。
センチュリー21・ハートピア
田中章雄
カテゴリ:あきちゃんの不動産お役立ち情報 / 投稿日付:2026/06/29 07:12
こんにちは。神戸市北区で50年、不動産屋をやっております田中章雄、通称あきちゃんです。
今日は、北区で家を探す人が必ずぶつかる「坂」の問題について、正直にお話しします。
北区に住むということは、坂と付き合うということです。これは50年ここで商売をしてきた私が、はっきり申し上げられることです。
「坂のない平らな北区」を探そうとする方がいますが、それはほとんど見つかりません。だからこそ、坂を嫌って避けるのではなく、どう付き合うかを先に考えておくことが大事なんです。ここで一歩立ち止まって、最後まで読んでください。
結論から申し上げます
北区で家を選ぶとき、問題なのは「坂があるかどうか」ではありません。「どの坂か」です。
同じ坂でも、将来あなたを助ける坂と、あなたを苦しめる坂があります。これは断言できます。
そして多くの人が、若くて元気なときに、苦しめるほうの坂を選んでしまうんです。
1. なぜ北区はこんなに坂が多いのか
50年やってきて分かったことがあります。北区の坂は、たまたまではなく、地形ではっきり決まっているということです。
北区は六甲山の北側に広がる、もともと山と谷の土地です。藤原台も、鈴蘭台も、山を削り、谷を埋めて造成してできた住宅地です。
平らに見える街並みでも、一歩道を入れば上り下りがあります。これは北区の宿命のようなものです。だから「坂が嫌だから避ける」では、そもそも家が選べません。坂とどう付き合うかを考えるしかないんです。
2. 坂が将来あなたに効いてくる三つの場面
坂は、買うときには大した問題に見えません。問題になるのは、もっと後です。
- 体力が落ちたとき
- 車を使う冬の朝
- その家を売るとき
この三つの場面で、坂は静かに、しかし確実に効いてきます。順番に申し上げます。
3. 一番こわいのは「歳をとってからの坂」です
はっきり申し上げます。坂の本当のこわさは、20年後、30年後に出てきます。
50歳で買った家なら、そのとき坂はなんともありません。むしろ「健康にいい」くらいに思います。ですが、その家に70歳、80歳で住み続けることを想像してください。
- 買い物袋を提げて、上り坂を登る
- 雨の日に、濡れた坂を下りる
- 膝を悪くして、毎日の坂が苦痛になる
私のお客さんで、Aさん(73歳)という方がいました。45歳のとき、藤原台の見晴らしのいい坂の上の家を「2,900万円」で買われました。当時はバス停まで坂を下って5分、なんともなかったそうです。
ところが70歳を過ぎて膝を悪くされてから、その坂が毎日つらくなった。結局、家を売って駅の近くの平らなマンションに移ることにされました。そのとき売れた値段が「1,650万円」です。立地が坂の上で不便だということで、なかなか買い手がつかず、値段を下げざるを得なかったんです。
4. 冬の坂は、車を持つ人の問題です
北区の坂は、冬にもう一つの顔を見せます。凍るんです。
北区の冬は神戸の中心部より明らかに寒く、朝晩は氷点下になる日があります。坂道が凍ると、車が上れません。下りでもブレーキが効かず、ヒヤッとすることがあります。特に、家の前がそのまま急な上り坂になっている家。ここは冬の朝、車を出すだけでひと苦労です。
Bさんご夫婦は、そこをちゃんと考えた方でした。坂の上の見晴らしのいい土地と、坂の下の平らな土地で迷われて、最後に平らなほうを選ばれました。決め手は奥さんの一言だったそうです。「私たちは80歳までここに住む。眺めは10年で飽きるけど、坂は30年つらい」と。
そのとおりだと、私は思いました。これは覚えておいてください。眺望は慣れます。坂は慣れません。
5. 業界の裏側を正直に申し上げます
ここからは、私たち不動産屋が坂をどう「見せている」か、本音でお話しします。
坂の上の家は、不便だから安い。けれど、売る側はそれを「不便」とは言いません。言い換えるんです。
- 「眺望が抜群です」
- 「高台で静かです」
- 「日当たりが最高です」
どれも嘘ではありません。坂の上は確かに見晴らしがよく、静かで、日当たりもいい。ですが、その裏には必ず「坂を登らないと帰れない」という事実があります。そこは、聞かれないかぎり進んで言わない業者が多いです。
もう一つ、内見のときのやり方があります。お客さんを車に乗せて、坂を車でスーッと上って家に着ける。歩いて登っていないから、お客さんは坂のきつさを体で感じないままになる。これも、よくある見せ方です。
私は逆をやります。坂のある家を案内するときは、必ず一度、お客さんに自分の足で坂を登ってもらいます。「この坂を、70歳のあなたが毎日登れますか」と。それで気持ちが冷めるなら、その家はやめたほうがいいんです。
6. では、坂とどう付き合えばいいのか
避けられないなら、選び方で備える。これが答えです。具体的に申し上げます。
- 家の前が平らで、坂は「家に着く手前まで」で終わっている立地を選ぶ。家の真ん前が急坂の家は避ける
- 坂の途中より、坂を登りきった先が平坦に開けている場所を選ぶ。登り切ればフラット、という地形は意外と楽
- バス停・スーパー・駅まで、上りで帰る動線になっていないか確認する。行きが下りで帰りが上り、これが毎日効く
- 擁壁(ようへき)のある土地は、その擁壁が古くないか必ず見る。古いと将来「数百万円」の作り直しが要ることがある
この四つを押さえるだけで、坂のリスクはかなり下げられます。
7. デメリットも正直に申し上げます
平らで便利な土地を選べば安心か、というと、そう単純でもありません。
北区で平らで駅にも近い土地は、当然ながら人気で、値段も高いです。坂の上の家より「500万円から1,000万円」高いことも珍しくありません。逆に、坂の上の不便な家は、安く買えます。眺めも静けさも手に入る。若くて車があって、体も元気なうちは、これほどお得な買い物もありません。
つまり、坂の上の家が悪いのではないんです。「自分が何歳まで、どんな体で、そこに住むのか」を考えずに買うのが危ないんです。10年で住み替える前提の若いご夫婦なら、坂の上の安くて眺めのいい家は、立派な正解になります。終のすみかにするなら、多少高くても平らを選ぶ。そういう判断です。
まとめ
北区で坂は避けられません。だから「坂のあるなし」で悩むのは、あまり意味がないんです。
大事なのは、その坂が30年後の自分に効いてくるかどうかを、買う前に見ておくこと。体力が落ちたとき。冬の凍った朝。そして、売るとき。この三つの場面を想像してから決めてください。
眺望は慣れます。坂は慣れません。これだけは、もう一度申し上げておきます。
最後に、これだけは申し上げたい
坂のある家を見に行くときは、どうか一度、自分の足でその坂を登ってみてください。そして「20年後の自分が、ここを毎日登れるか」を考えてみてください。
その判断に迷ったら、私のような地元の人間に、遠慮なく聞いてください。北区のどの坂が将来きついか、どの坂なら大丈夫か、50年見てきた私はだいたい分かります。家は、買うときより、何十年も住んだあとのことで決まります。坂はその最たるものです。一緒に、後悔のない選び方を考えましょう。
センチュリー21・ハートピア
田中章雄


